異世界転移物語

月夜

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時間の渦

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「ただいま~」

 桂坂さんの声だ。安食さんと一緒に新しい人を迎えに行ってたはずだが、今日はどうだったんだろう?

「よっ!」

 桂坂さんに続いて姿を現したのは、予想外の人物だった。僕は反射的に声を上げる。

「林さん!」

 林さんは相変わらず精悍な表情で何事もなかったように軽く手を上げる。そしてその後ろでは、こちらも再び帰ってきた海原君が「えへへ」と笑っていた。安食さんもすぐ後ろにいた。林さんと海原君、それに栗原さんと楓さんの四人は数日前に突然行方不明なっていたのだが、まさかこのタイミングで帰ってくるとは。

「あらま、どうしたんですか?」

 食事準備の手を止めた料子さんが、予想外の男二人を見て目をパチクリさせる。

「びっくりしたわ。今日はこの二人が現れたのよ」と桂坂さん。

「一体、今までどこに行ってたんですか? 急にいなくなるからこっちは大変だったんですよ」

 僕はマシンガンのように早口で問いただす。僕や料子さんが興奮しているのに対して、事情を知らない和也や理科さんたちはポカンとしている。林さんがゆっくり口を開く。

「それがな……ちょっと説明しづらいんだが、俺たちの感覚で言えば、俺たちは消えてすぐまた現れたんだよ。いや、消えてってのも実感ないな……。つまり歩いてて突然めまいがしたんだが、気づいたら優子ちゃんたちが待ってたというわけだ。俺たちも話聞いてびっくりしてるところさ。あれからもう何日も経ってるって?」

 そんなことがあるのだろうか。いわゆるタイムスリップというやつではないか。尤もこちらに転移する時に変則的なタイムスリップは経験しているのだが。ただ、もしその話が本当だとすれば、この世界においても各自で時間の流れに齟齬が出来ているのが決定的になる。

「そうなんです。僕らの感覚だとついさっきまで栗原さんたちと一緒だった記憶があるんです」

 海原君の言葉で思い出した。

「そういえば、栗原さんと楓さんは? 一緒じゃないの?」

「どうやら俺たちだけみたいだな。このぶんだと彼らも後日、ここに戻ってくるかもしれないがな」

 とりあえず林さん海原君には中にもらって、理科さんたちも加わって詳しく説明してもらうことにした。

「事情は聞いてると思うが、栗原さんと楓さんに家の周りを案内してやろうと思ったんだ。二人からせがまれたからね。二人はこの世界に来たばかりだったしな」

「それを聞いた僕も同行をお願いしたんです」と海原君が付け加える。

「でな、四人でしばらく森の中をあちこち回ってたんだが、途中でいきなりめまいに襲われてな。たぶん他の連中もそうだったんだと思う」
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