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第36話 それぞれの場所
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朝食後、二人は支度をして空港へと向かった。
またしばらく逢えなくなり、次がいつになるかは分からなかったが昨夜にお互いの存在を感じあったことで今回は大丈夫という安心感と強い気持ちがあり不安をぬぐい切っていた。
空港に着き、チェックインを済ませて手荷物検査場の前まで来た。
「行ってらっしゃい」
「ああ、行ってくる」
鈴木は、早苗の笑顔に安心感を覚えながらも少しだけ寂しさを感じていた。
「何かあったらいつでも連絡して」
「うん、分かった」
「浩太も何かあったら連絡してね」
「ああ、分かった」
「じゃあ、行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
鈴木は、早苗に背を向け手荷物検査場へと歩いて行った。 鈴木の背中がだんだんと小さくなっていく。少しだけ寂しさを感じたがすぐに笑顔を取り戻した。
『大丈夫。私たちは、繋がっている……』
早苗は、そう信じていた。
手荷物検査を終え、搭乗ゲートへと向かう鈴木の足取りはどこか軽やかだった。
振り返ると早苗が小さく手を振っているのが見えた。 鈴木もまた手を振り返す。
『 ああ……これでよかったんだ』
昨夜の温もりと早苗の笑顔が鈴木の背中を押す。不安がないわけではない。 それでも前を向いて歩いていける気がした。
鈴木は早苗のことを、 そして自分自身のことも信じていた。 二人の関係は、もう以前のような脆いものではない。 もっと強くもっと深いものになっている。 鈴木はそう感じていた。
それは早苗も同じだった。 空港からの帰り道、早苗の心は穏やかだった。 次に会う日がいつになるかは分からない……それでも鈴木との繋がりが途切れることはない。
そんな確信が早苗の胸を満たしていた。
自宅に戻り、早苗はリビングのソファに腰を下ろした。キッチンには昨夜鈴木が持ってきてくれたワインボトルが水気を切るためにひっくり返して置かれている。
『浩太……』
早苗は、心の中で呟き微笑んだ。 鈴木のいない部屋は少しだけ寂しい。でも、決して悲しい寂しさではない。 むしろ温かい寂しさだった。
鈴木の存在を感じられることが嬉しかった。
玄関に置かれた鍵を手に取る。
最初の出国時にエールを送った時、別れを告げて悲しくなった時、鈴木と何かあった時に側で寄り添ってくれた合鍵は太陽の光を浴びて反射している。その光が一筋の希望のように小さな虹を作り明るく照らしていた。
その日の夕食、食卓には昨夜の残りの豚汁が並んでいる。鈴木が好きだからと張り切って作りすぎてしまった。
『浩太、今頃何してるかな……』
早苗は、そう思ったがすぐに首を振った。
『浩太のことを考えすぎずに、私は私の時間を過ごそう。』
早苗は気持ちを切り替え、自分の時間を楽しむことにした。
部屋の隅に積まれたままの本から1冊を手に取る。止まっていた時間が再び動き出したかのように早苗は本の世界に没頭した。
何かに集中することは久々だった。別れたばかりは何もする気がおきなかった。仕事中は気持ちがぐらついてしまいそうで淡々と作業をこなしていた。何かを楽しんだり、集中することはなく、心がない状態で目の前のことを片付けていた。
夜になり、早苗は眠りにつく前にもう一度鈴木のことを考えた。
『浩太、頑張れ。』
その夜、早苗は鈴木と一緒にいる夢を見た。 二人は笑顔で話しながら散歩をしている、 幸せな夢だった。
以前の二人なら、 次逢えるか分からない状態に疑心暗鬼になっていたかもしれない。 でも、今の二人は違った。お互いのことを信じることができた。
言葉や行動ではなく心と心で通じ合い大丈夫だと思えた。 二人の間には何もないようでいて確かな絆があった。
早苗にとって鈴木はなくてはならない存在だった。 それは鈴木も同じだった。
離れ離れになっても、二人の繋がりは変わらない。 お互いを想いあう気持ちは、より一層強くなった。
次に会う日を楽しみにしながら二人はそれぞれの場所で自分のことに集中することにした。 いつかまた一緒に過ごせる日が来ることを信じていた。
またしばらく逢えなくなり、次がいつになるかは分からなかったが昨夜にお互いの存在を感じあったことで今回は大丈夫という安心感と強い気持ちがあり不安をぬぐい切っていた。
空港に着き、チェックインを済ませて手荷物検査場の前まで来た。
「行ってらっしゃい」
「ああ、行ってくる」
鈴木は、早苗の笑顔に安心感を覚えながらも少しだけ寂しさを感じていた。
「何かあったらいつでも連絡して」
「うん、分かった」
「浩太も何かあったら連絡してね」
「ああ、分かった」
「じゃあ、行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
鈴木は、早苗に背を向け手荷物検査場へと歩いて行った。 鈴木の背中がだんだんと小さくなっていく。少しだけ寂しさを感じたがすぐに笑顔を取り戻した。
『大丈夫。私たちは、繋がっている……』
早苗は、そう信じていた。
手荷物検査を終え、搭乗ゲートへと向かう鈴木の足取りはどこか軽やかだった。
振り返ると早苗が小さく手を振っているのが見えた。 鈴木もまた手を振り返す。
『 ああ……これでよかったんだ』
昨夜の温もりと早苗の笑顔が鈴木の背中を押す。不安がないわけではない。 それでも前を向いて歩いていける気がした。
鈴木は早苗のことを、 そして自分自身のことも信じていた。 二人の関係は、もう以前のような脆いものではない。 もっと強くもっと深いものになっている。 鈴木はそう感じていた。
それは早苗も同じだった。 空港からの帰り道、早苗の心は穏やかだった。 次に会う日がいつになるかは分からない……それでも鈴木との繋がりが途切れることはない。
そんな確信が早苗の胸を満たしていた。
自宅に戻り、早苗はリビングのソファに腰を下ろした。キッチンには昨夜鈴木が持ってきてくれたワインボトルが水気を切るためにひっくり返して置かれている。
『浩太……』
早苗は、心の中で呟き微笑んだ。 鈴木のいない部屋は少しだけ寂しい。でも、決して悲しい寂しさではない。 むしろ温かい寂しさだった。
鈴木の存在を感じられることが嬉しかった。
玄関に置かれた鍵を手に取る。
最初の出国時にエールを送った時、別れを告げて悲しくなった時、鈴木と何かあった時に側で寄り添ってくれた合鍵は太陽の光を浴びて反射している。その光が一筋の希望のように小さな虹を作り明るく照らしていた。
その日の夕食、食卓には昨夜の残りの豚汁が並んでいる。鈴木が好きだからと張り切って作りすぎてしまった。
『浩太、今頃何してるかな……』
早苗は、そう思ったがすぐに首を振った。
『浩太のことを考えすぎずに、私は私の時間を過ごそう。』
早苗は気持ちを切り替え、自分の時間を楽しむことにした。
部屋の隅に積まれたままの本から1冊を手に取る。止まっていた時間が再び動き出したかのように早苗は本の世界に没頭した。
何かに集中することは久々だった。別れたばかりは何もする気がおきなかった。仕事中は気持ちがぐらついてしまいそうで淡々と作業をこなしていた。何かを楽しんだり、集中することはなく、心がない状態で目の前のことを片付けていた。
夜になり、早苗は眠りにつく前にもう一度鈴木のことを考えた。
『浩太、頑張れ。』
その夜、早苗は鈴木と一緒にいる夢を見た。 二人は笑顔で話しながら散歩をしている、 幸せな夢だった。
以前の二人なら、 次逢えるか分からない状態に疑心暗鬼になっていたかもしれない。 でも、今の二人は違った。お互いのことを信じることができた。
言葉や行動ではなく心と心で通じ合い大丈夫だと思えた。 二人の間には何もないようでいて確かな絆があった。
早苗にとって鈴木はなくてはならない存在だった。 それは鈴木も同じだった。
離れ離れになっても、二人の繋がりは変わらない。 お互いを想いあう気持ちは、より一層強くなった。
次に会う日を楽しみにしながら二人はそれぞれの場所で自分のことに集中することにした。 いつかまた一緒に過ごせる日が来ることを信じていた。
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