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第67話 表彰式
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鈴木は、海外出向で子会社の立ち上げの中心人物として貢献したことと、帰国後の海外部門での実績を評価され社内表彰を受けることになった。
社内表彰は毎年、人事部主導で行われ総務部も裏方の手伝いをしていたが、今回は鈴木の受賞を配慮してくれたのか早苗は会場の一番後ろでサポートが必要な時に声をかけられたら動くという役割を任された。
社内の人間だけの式典で、よほどのことがない限り呼ばれることはないらしい。
「今年度の成績優秀者に選ばれたのは、海外事業部の鈴木浩太部長、木更津支店の松島さゆりさん、福岡支店の……」
司会が受賞者を順番に表彰していく。
各自、結婚式など祝いの席にある丸いテーブルに着席していたが、鈴木は名前を呼ばれると、その場で一礼してから壇上に向かって歩いていった。毎日見ている背中だが、今日はいつもより逞しく広く見える。
鈴木は、海外子会社の関係者、海外部門の上司、同僚、部下へと感謝と敬意を払い、堂々とスピーチを始めた。
「今回の受賞は、私一人の力で成し遂げたものではありません。海外子会社の立ち上げにあたり、現地の方々、そして日本から支えてくれた多くの方々の協力があってこそです。しかし、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。世界情勢の不安定化により、物流が完全にストップし部品の調達が困難を極めました。また、予期せぬ事態により一時的に帰国が困難となり日本と現地スタッフとのコミュニケーションもままならない状況に陥りました。
しかし、そんな時、私を支えてくれたのは現地スタッフの皆さんの熱意と日本から温かい励ましの言葉を送り続けてくれた、上司、同僚の存在でした。
そして、帰国後も海外部門の皆さんには様々な面でサポートしていただきました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
今回の受賞を励みに、今後も会社に貢献できるよう、より一層努力してまいります。そして、来年もまたこの場に立てるよう精進してまいります。」
鈴木の言葉は、誠実で周りの人々への感謝と敬意に満ちていた。早苗は、右手で左手薬指の指輪に触れながら静かにスピーチを聞いていたが、途中から感極まり涙が溢れてきた。
(浩太……すごい……)
早苗は、普段の鈴木からは想像もできないような堂々とした姿に改めて尊敬の念を抱いた。そして、そんな鈴木の姿を家族として見れることが嬉しかった。
鈴木は、スピーチをしながら一番後ろにいる早苗を見た。早苗と目が合い二人は黙って頷き合った。
(浩太……おめでとう。すごいよ)
(ありがとう。早苗のおかげだよ)
社内の場であり言葉を交わすことはなかったが、アイコンタクトで互いの気持ちが伝えあった。
鈴木が感謝の気持ちを一番に伝えたいのは早苗だった。そして早苗も鈴木が心の中で「ありがとう」と言っている気がして涙が止まらなかった。
社内表彰は毎年、人事部主導で行われ総務部も裏方の手伝いをしていたが、今回は鈴木の受賞を配慮してくれたのか早苗は会場の一番後ろでサポートが必要な時に声をかけられたら動くという役割を任された。
社内の人間だけの式典で、よほどのことがない限り呼ばれることはないらしい。
「今年度の成績優秀者に選ばれたのは、海外事業部の鈴木浩太部長、木更津支店の松島さゆりさん、福岡支店の……」
司会が受賞者を順番に表彰していく。
各自、結婚式など祝いの席にある丸いテーブルに着席していたが、鈴木は名前を呼ばれると、その場で一礼してから壇上に向かって歩いていった。毎日見ている背中だが、今日はいつもより逞しく広く見える。
鈴木は、海外子会社の関係者、海外部門の上司、同僚、部下へと感謝と敬意を払い、堂々とスピーチを始めた。
「今回の受賞は、私一人の力で成し遂げたものではありません。海外子会社の立ち上げにあたり、現地の方々、そして日本から支えてくれた多くの方々の協力があってこそです。しかし、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。世界情勢の不安定化により、物流が完全にストップし部品の調達が困難を極めました。また、予期せぬ事態により一時的に帰国が困難となり日本と現地スタッフとのコミュニケーションもままならない状況に陥りました。
しかし、そんな時、私を支えてくれたのは現地スタッフの皆さんの熱意と日本から温かい励ましの言葉を送り続けてくれた、上司、同僚の存在でした。
そして、帰国後も海外部門の皆さんには様々な面でサポートしていただきました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
今回の受賞を励みに、今後も会社に貢献できるよう、より一層努力してまいります。そして、来年もまたこの場に立てるよう精進してまいります。」
鈴木の言葉は、誠実で周りの人々への感謝と敬意に満ちていた。早苗は、右手で左手薬指の指輪に触れながら静かにスピーチを聞いていたが、途中から感極まり涙が溢れてきた。
(浩太……すごい……)
早苗は、普段の鈴木からは想像もできないような堂々とした姿に改めて尊敬の念を抱いた。そして、そんな鈴木の姿を家族として見れることが嬉しかった。
鈴木は、スピーチをしながら一番後ろにいる早苗を見た。早苗と目が合い二人は黙って頷き合った。
(浩太……おめでとう。すごいよ)
(ありがとう。早苗のおかげだよ)
社内の場であり言葉を交わすことはなかったが、アイコンタクトで互いの気持ちが伝えあった。
鈴木が感謝の気持ちを一番に伝えたいのは早苗だった。そして早苗も鈴木が心の中で「ありがとう」と言っている気がして涙が止まらなかった。
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