地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!

楓乃めーぷる

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第三章 自分のこと、これからのこと

49.私から質問してみる

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 カップに残っていたコーヒーを飲み干すと、じっと氷室さんを見つめる。
 氷室さんは少し驚いたみたいだけど、静かに私が言い出すのを待ってくれているみたい。
 軽く息を吸い込んで、決意を固める。

「私から言うのも恥ずかしいですけど、言っちゃいますね。氷室さんはもしかして、私のこと……好きですか?」

 思い切って言ってはみたけど、これで間違っていたらどうしよう。
 この先のことは何も考えてないので、違っていたら今まで通りの上司と部下でいてもらえればいいだけなんだけど。

「好き、というのは。恋愛感情ということだろうか?」
「はい、そうです。違っていたら今言ったことは全て忘れて欲しいですけど、気になってしまって」

 キッパリと言い切ると、氷室さんは少し俯いて考え込む。
 もしかして、無意識で私のことを支えるって言ってたとか?

 沈黙を長く感じて、喉が乾いてくる。
 水の入ったグラスも手に取って、喉を潤していく。
 グラスをテーブルに置いたところで、氷室さんが漸くこちらを見てくれた。

「海音に言われてから、時々考えてはいたのだが。好意と恋愛の境目が理解できていないせいか、ハッキリと答えが出せなかった」
「氷室さん、そんなに難しく考えなくてもいいんですよ? 私のことが好きか嫌いかくらいの、シンプルな考えで」

 私が苦笑しながら言うと、また目を伏せてしまう。
 別に何を言われても、ここまで来たら動じないけど……。
 沈黙されるのは、ちょっと緊張する。

「じゃあ……言い方を変えます。仕事以外でも、私と一緒にいることは楽しいですか? もっと一緒にいたいって思います?」

 何だろう……これ、私の方から言う事なのかな?
 でも、畳み掛けないと焦らされる気がして。
 このままじゃ安眠できないし、こっちから言うしかなさそうだから、言っちゃう!

「小鳥さんと、仕事以外でも共に過ごすのが楽しくなっているのは確かだ。だからこそ、君が落ち込んでいたら力になりたい」
「力になりたい……それは仕事以外でも、プライベートでも、私が落ち込んでいたらってことですか?」

 氷室さんは静かに頷く。
 これ以上は……自分で聞くのが恥ずかしくなってきた。
 
「すまない、色々言わせてしまって。一旦出ようか。今度は改めて、私が今思っていることを伝えよう。口下手でも、話を聞いてくれるだろうか?」
「はい。聞かせてください」

 とても真面目に伝えてくれるところが、不器用だけど真っ直ぐで信用できる。

 普通にお会計をしようとしたら、氷室さんが奢らせてくれ、と言ってくれた。
 ありがたくごちそうになって、喫茶店を後にする。

 目的地は告げられないまま、二人でゆっくりと街中を歩き始めた。
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