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第三章 自分のこと、これからのこと
52.慣れていないと思っていたのに
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伝えたいことも伝えられたし、何だかホッとした。
氷室さんも同じ気持ちみたいで、二人して苦笑する。
まだ帰りたくないなという思いも一緒だったので、隣に並んでゆっくりと広場を歩き始める。
「君はもう少し恋愛ごとに慣れているのかと思っていたが、反応が初々しい」
「ちょっと、言い方! 慣れているって、尻軽みたいに聞こえますし。初々しいとか……なんだか恥ずかしいから、やめてください」
私が抗議すると、氷室さんがすまない、と素直に謝ってくる。
時々、爆弾を放ってくる言い方はやっぱり素なのかな。
それとも私が過剰反応しているだけ?
後半は恥ずかしいだけだけど。
「学生の頃にお付き合いした人はいましたけど、やっぱり子どもだったからそんなに長続きしなくって。そういう意味では恋愛するのも久しぶりです」
「そうか。私も似たようなものだったな。告白されて付き合おうという流れになっても、結局振られてしまう。この性格だからつまらなくて愛想を尽かされるのだろう」
確かに言い方が少しキツくて真面目だから、十分あり得る。
私も最初は嫌だなって思っていた訳だし。
「納得する部分もありますけど、そんなこと言ったら私だって見た目が地味だからとか、そういう理由で振られましたし」
「見た目も良ければ得することもあるだろうが、人間の本質はそれだけではないからな」
社長みたいに誰もが思うイケメンみたいなタイプだと、得することも多いだろうけど、その顔のせいで苦労することもあるだろうし。
人間普通に、地道が一番いいはず。
とは言え、氷室さんもキリッとしてるから、別の方向性でイケメンの部類に入るんだけど。
「私も、もう少し可愛かったら良かったんですけどね」
笑い飛ばそうとすると、氷室さんが立ち止まって私を見下ろす。
「小鳥さんは普通に可愛いから安心していい。海音が本気になってしまうのも分かるが、譲る気はない」
「そんなキッパリ言われるとは……ありがとうございます。嬉しいですし、少し……ドキっとしました」
やっぱり恥ずかしいから目を逸らそうとしたのに、頬に手を当てられてしまった。
待って待って!
氷室さんって、その気になると結構グイグイくるタイプ?
絶対に顔も赤くなってるから見られたくないのに、そもそも手が大きいから、顔が固定されて動かせなくなる。
「表情も目まぐるしく変わって、見ていて飽きない」
「もしかして……楽しんでます?」
フッと笑う氷室さんが、何故か余裕を見せつけてくる。
恋愛ごとの駆け引きは苦手だと思っていたのに、ちょっとズルい。
「ある意味、楽しんでいるかもしれないな。反応を返してくれるのが嬉しい」
「私で遊ばないでください。一人でバカみたいじゃないですか」
ムッとして睨むと、もっと楽しそうに笑われるから悔しい。
しかも笑われているはずなのに、その顔も悪くないなと思う自分が一番恥ずかしいし。
氷室さんは、悪かったと呟くと、頬から手をゆっくりと離して、ポンポンと私の頭を撫でた。
氷室さんも同じ気持ちみたいで、二人して苦笑する。
まだ帰りたくないなという思いも一緒だったので、隣に並んでゆっくりと広場を歩き始める。
「君はもう少し恋愛ごとに慣れているのかと思っていたが、反応が初々しい」
「ちょっと、言い方! 慣れているって、尻軽みたいに聞こえますし。初々しいとか……なんだか恥ずかしいから、やめてください」
私が抗議すると、氷室さんがすまない、と素直に謝ってくる。
時々、爆弾を放ってくる言い方はやっぱり素なのかな。
それとも私が過剰反応しているだけ?
後半は恥ずかしいだけだけど。
「学生の頃にお付き合いした人はいましたけど、やっぱり子どもだったからそんなに長続きしなくって。そういう意味では恋愛するのも久しぶりです」
「そうか。私も似たようなものだったな。告白されて付き合おうという流れになっても、結局振られてしまう。この性格だからつまらなくて愛想を尽かされるのだろう」
確かに言い方が少しキツくて真面目だから、十分あり得る。
私も最初は嫌だなって思っていた訳だし。
「納得する部分もありますけど、そんなこと言ったら私だって見た目が地味だからとか、そういう理由で振られましたし」
「見た目も良ければ得することもあるだろうが、人間の本質はそれだけではないからな」
社長みたいに誰もが思うイケメンみたいなタイプだと、得することも多いだろうけど、その顔のせいで苦労することもあるだろうし。
人間普通に、地道が一番いいはず。
とは言え、氷室さんもキリッとしてるから、別の方向性でイケメンの部類に入るんだけど。
「私も、もう少し可愛かったら良かったんですけどね」
笑い飛ばそうとすると、氷室さんが立ち止まって私を見下ろす。
「小鳥さんは普通に可愛いから安心していい。海音が本気になってしまうのも分かるが、譲る気はない」
「そんなキッパリ言われるとは……ありがとうございます。嬉しいですし、少し……ドキっとしました」
やっぱり恥ずかしいから目を逸らそうとしたのに、頬に手を当てられてしまった。
待って待って!
氷室さんって、その気になると結構グイグイくるタイプ?
絶対に顔も赤くなってるから見られたくないのに、そもそも手が大きいから、顔が固定されて動かせなくなる。
「表情も目まぐるしく変わって、見ていて飽きない」
「もしかして……楽しんでます?」
フッと笑う氷室さんが、何故か余裕を見せつけてくる。
恋愛ごとの駆け引きは苦手だと思っていたのに、ちょっとズルい。
「ある意味、楽しんでいるかもしれないな。反応を返してくれるのが嬉しい」
「私で遊ばないでください。一人でバカみたいじゃないですか」
ムッとして睨むと、もっと楽しそうに笑われるから悔しい。
しかも笑われているはずなのに、その顔も悪くないなと思う自分が一番恥ずかしいし。
氷室さんは、悪かったと呟くと、頬から手をゆっくりと離して、ポンポンと私の頭を撫でた。
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