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第三章 自分のこと、これからのこと
55.気晴らしのお誘い
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二人の様子をクスクスと笑って眺めていると、氷室さんが不本意だという気持ちを全面に出してくる。
「そんな顔しなくても……」
「コイツと同列にされるのは困る」
「いやいや、お前こそそんなキャラだっけ? 女の子の前でカッコつけたいみたいな……」
氷室さんが流し目で社長を睨みつけると、社長は視線で動きが凍ったように固まってしまった。
この視線は、私から見てもちょっと怖い。
「社長、死なないうちにこの話題はやめた方がいいと思いますよ。私も止められませんし」
「何か、俺の扱い酷くない? はぁ……まあいいんだけどさ。重苦しい話はこういうノリで流す方が好きだし。小鳥ちゃんの休める枝が出来たと思えば、安心なんだけどね。コイツは簡単には折れないからさ」
片目を瞑る顔も似合ってるところが、アイドル的な社長の良いところなんだろうけど。
氷室さんが、私の反応を気にしてジッとこっちを見ているのが気になるから、冗談でもカッコいいとか言えない。
「話が伝わったのなら、お前はさっさと仕事をしろ。会長と奥様たちを説得できるのはお前しかいないのだから」
「分かってるって。今日、早速話をしておくから、待ってて。さて、決意も聞いたことだし。本日も働きますかー」
社長も気持ちを切り替えるように、グッと両腕を伸ばして背伸びをする。
氷室さんも通常運転に戻ったので、私も今日のスケジュールの確認のために、タブレットを取り出した。
+++
滞りなく仕事は終わったけど、私がどうなるかは社長次第だと思うと少し落ち着かない。
社長も早々と上がって、任せておいて! と、言ってくれたけど。
私の気持ちを誤解されないといいんだけどな。
「やはり、心配か?」
「そうですね。社長と氷室さんも私の気持ちを理解してくれたけど、会長や奥様にとってはどうなんだろうって」
二人でオフィスを出て、話しながら歩く。
考え込んでも仕方ないと思って、今日の夕飯の話でも切り出そうと思っていた矢先に、氷室さんが一度立ち止まった。
「昨日の今日ではあるのだが、少し気晴らしにでも行かないか?」
「気晴らし、ですか?」
「あぁ。今日は車で出社しているから、良かったらどうかと思ってな」
車でということは、もしかしてドライブに誘ってくれているのかな?
私は免許を持っていないから運転したことはないけど、車に乗ること自体は好きかもしれない。
氷室さんの言うように、気晴らしになる気がする。
「氷室さんが良いなら、お願いします」
私が改めてお願いすると、行こうか、と優しい声色で微笑される。
この階層には誰もいないからいいけど、会社を出るまではニヤニヤしないように気をつけないと。
少し浮ついている気持ちが、外に出てしまいそう。
「そんな顔しなくても……」
「コイツと同列にされるのは困る」
「いやいや、お前こそそんなキャラだっけ? 女の子の前でカッコつけたいみたいな……」
氷室さんが流し目で社長を睨みつけると、社長は視線で動きが凍ったように固まってしまった。
この視線は、私から見てもちょっと怖い。
「社長、死なないうちにこの話題はやめた方がいいと思いますよ。私も止められませんし」
「何か、俺の扱い酷くない? はぁ……まあいいんだけどさ。重苦しい話はこういうノリで流す方が好きだし。小鳥ちゃんの休める枝が出来たと思えば、安心なんだけどね。コイツは簡単には折れないからさ」
片目を瞑る顔も似合ってるところが、アイドル的な社長の良いところなんだろうけど。
氷室さんが、私の反応を気にしてジッとこっちを見ているのが気になるから、冗談でもカッコいいとか言えない。
「話が伝わったのなら、お前はさっさと仕事をしろ。会長と奥様たちを説得できるのはお前しかいないのだから」
「分かってるって。今日、早速話をしておくから、待ってて。さて、決意も聞いたことだし。本日も働きますかー」
社長も気持ちを切り替えるように、グッと両腕を伸ばして背伸びをする。
氷室さんも通常運転に戻ったので、私も今日のスケジュールの確認のために、タブレットを取り出した。
+++
滞りなく仕事は終わったけど、私がどうなるかは社長次第だと思うと少し落ち着かない。
社長も早々と上がって、任せておいて! と、言ってくれたけど。
私の気持ちを誤解されないといいんだけどな。
「やはり、心配か?」
「そうですね。社長と氷室さんも私の気持ちを理解してくれたけど、会長や奥様にとってはどうなんだろうって」
二人でオフィスを出て、話しながら歩く。
考え込んでも仕方ないと思って、今日の夕飯の話でも切り出そうと思っていた矢先に、氷室さんが一度立ち止まった。
「昨日の今日ではあるのだが、少し気晴らしにでも行かないか?」
「気晴らし、ですか?」
「あぁ。今日は車で出社しているから、良かったらどうかと思ってな」
車でということは、もしかしてドライブに誘ってくれているのかな?
私は免許を持っていないから運転したことはないけど、車に乗ること自体は好きかもしれない。
氷室さんの言うように、気晴らしになる気がする。
「氷室さんが良いなら、お願いします」
私が改めてお願いすると、行こうか、と優しい声色で微笑される。
この階層には誰もいないからいいけど、会社を出るまではニヤニヤしないように気をつけないと。
少し浮ついている気持ちが、外に出てしまいそう。
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