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番外編(本編のネタバレあらすじ有です。ご注意くださいませ)
彼は私の特効薬 2
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秦弥さんは私の隣に丸椅子を持ってきて腰かけると、私の口にそっとレンゲを運んでくれる。
ふーふーでも少し恥ずかしかったけど、おかゆを食べさせてくれるみたいだ。
どうしようかなと思ったけど、素直に口を開く。
「ん……」
「味は分かるか?」
「うん。美味しい。優しい味がする」
「では、少しずつ食べていこうか」
秦弥さんは私の食べるペースに合わせて、ゆっくりと冷ましながら口へ何度も運んでくれる。
こんなに優しく看病してもらったのは、子どもの頃以来かもしれない。
気づくと鍋半分くらいは食べることができた。
食べすぎるといけないからと言われて、なんだか本当に子どもに戻ったような気持ちになってきた。
「秦弥さんに甘えていると、私は子どもになったみたいだね」
「風音は私を父親扱いする気か? 私は恋人のつもりなのにな」
「ふふ。だって、厳しさと優しさに溢れてるから……」
私が笑うと、秦弥さんは急に顔を近づけて私の唇の端にちゅっと口づけてきた。
驚いて固まっていると、秦弥さんは楽しそうに微笑む。
「ご飯つぶをつけているのは、確かに子どもかもしれないな」
「え、やだ恥ずかしい」
「……冗談だ」
まさか冗談を言うなんて、これも私を安心させようとしてくれている優しさの一つなのかもしれない。
もう! と言ってむくれて見せると、悪かったと苦笑して頭を優しく撫でてくれた。
「薬を飲んだら少し眠った方がよさそうだ。眠るまで側にいる」
「うん。私、一人じゃ眠れなくて……寝るまで側にいて欲しいな」
「ああ、そのつもりだ」
水と一緒に渡された薬を飲んで、眠くなるまではと仕事の話や具合が良くなってから出かける話をする。
どの話を聞いていても、秦弥さんの声を聞いているだけで安心してくる。
「私、やっぱり秦弥さんの声も好き。本当は子守歌をうたって欲しいくらいだけど……歌は苦手だったものね」
「残念だがな。そうだな……代わりに風音が眠るまで耳元で囁いていようか?」
秦弥さんが涼やかな目元を細めて、私の耳元に唇を寄せてくる。
私が訴える前に、風音と呟かれてしまう。
「……っ」
「風音はいつも頑張っているな。その頑張りは私だけではなく、みんな見ている」
低音の優しい声色。秦弥さんの声は心のこわばりを解いてくれる魔法の声だ。
気になっていた仕事のことさえも、大丈夫だと優しく包み込まれていく気がする。
「頑張ることはいいことだが、こうして熱を出されると心配だ。本当は一時も離れることなく側に付いていたい」
「秦弥さん……」
優しい言葉は耳から身体へ浸透していって、不安が少しずつ解けていく。
少しだけ触れる唇から、じわりじわりと伝わって全身へ広がっていくみたいだ。
私の身体は優しくベッドの上で寝かされる。すると今度は秦弥さんが手を握りながら私に語り掛けてきた。
「風音の熱が早く下がるように、今晩はずっと側にいる。だから安心して眠ってくれ」
「秦弥さん、ありがとう」
私は一言だけ呟いてから瞳を閉じた。私の眼鏡が外されて、今度はまぶたへ唇が触れる。
彼の優しさと愛情は、どんな薬よりも効き目があるみたい。
「秦弥さん、もっと声を聞かせて? 私、今日だけは秦弥さんに甘やかされたいな……」
「今日だけとは言わず、もっと甘やかしたいと思っている。だから、存分に甘えて欲しい」
私がきゅっと手に力を込めると、秦弥さんも握り返してくれる。
一人じゃないって、やっぱりすごく心強いことなんだなと思う。
私は一人の生活が長かったせいか、病気になるといつも不安な時を過ごしていたことを思い出した。
「もっと話していたいが、そろそろ眠った方がいい。今晩は風音が眠るまで愛を囁いていよう」
「それは嬉しいけど、きっと眠れなくなっちゃう。でも、私のいいところをいっぱい聞きたいな」
「それならお安い御用だ」
秦弥さんの優しいキスはまた耳に落とされて、風音の瞳は綺麗だと呟かれた。
改めて言われると恥ずかしいけど、私も秦弥さんの氷が解けた瞬間の視線が好きだと答える。
そうかという声はとても柔らかで、私を眠りの世界へ導いてくれそうな声色だった。
ふーふーでも少し恥ずかしかったけど、おかゆを食べさせてくれるみたいだ。
どうしようかなと思ったけど、素直に口を開く。
「ん……」
「味は分かるか?」
「うん。美味しい。優しい味がする」
「では、少しずつ食べていこうか」
秦弥さんは私の食べるペースに合わせて、ゆっくりと冷ましながら口へ何度も運んでくれる。
こんなに優しく看病してもらったのは、子どもの頃以来かもしれない。
気づくと鍋半分くらいは食べることができた。
食べすぎるといけないからと言われて、なんだか本当に子どもに戻ったような気持ちになってきた。
「秦弥さんに甘えていると、私は子どもになったみたいだね」
「風音は私を父親扱いする気か? 私は恋人のつもりなのにな」
「ふふ。だって、厳しさと優しさに溢れてるから……」
私が笑うと、秦弥さんは急に顔を近づけて私の唇の端にちゅっと口づけてきた。
驚いて固まっていると、秦弥さんは楽しそうに微笑む。
「ご飯つぶをつけているのは、確かに子どもかもしれないな」
「え、やだ恥ずかしい」
「……冗談だ」
まさか冗談を言うなんて、これも私を安心させようとしてくれている優しさの一つなのかもしれない。
もう! と言ってむくれて見せると、悪かったと苦笑して頭を優しく撫でてくれた。
「薬を飲んだら少し眠った方がよさそうだ。眠るまで側にいる」
「うん。私、一人じゃ眠れなくて……寝るまで側にいて欲しいな」
「ああ、そのつもりだ」
水と一緒に渡された薬を飲んで、眠くなるまではと仕事の話や具合が良くなってから出かける話をする。
どの話を聞いていても、秦弥さんの声を聞いているだけで安心してくる。
「私、やっぱり秦弥さんの声も好き。本当は子守歌をうたって欲しいくらいだけど……歌は苦手だったものね」
「残念だがな。そうだな……代わりに風音が眠るまで耳元で囁いていようか?」
秦弥さんが涼やかな目元を細めて、私の耳元に唇を寄せてくる。
私が訴える前に、風音と呟かれてしまう。
「……っ」
「風音はいつも頑張っているな。その頑張りは私だけではなく、みんな見ている」
低音の優しい声色。秦弥さんの声は心のこわばりを解いてくれる魔法の声だ。
気になっていた仕事のことさえも、大丈夫だと優しく包み込まれていく気がする。
「頑張ることはいいことだが、こうして熱を出されると心配だ。本当は一時も離れることなく側に付いていたい」
「秦弥さん……」
優しい言葉は耳から身体へ浸透していって、不安が少しずつ解けていく。
少しだけ触れる唇から、じわりじわりと伝わって全身へ広がっていくみたいだ。
私の身体は優しくベッドの上で寝かされる。すると今度は秦弥さんが手を握りながら私に語り掛けてきた。
「風音の熱が早く下がるように、今晩はずっと側にいる。だから安心して眠ってくれ」
「秦弥さん、ありがとう」
私は一言だけ呟いてから瞳を閉じた。私の眼鏡が外されて、今度はまぶたへ唇が触れる。
彼の優しさと愛情は、どんな薬よりも効き目があるみたい。
「秦弥さん、もっと声を聞かせて? 私、今日だけは秦弥さんに甘やかされたいな……」
「今日だけとは言わず、もっと甘やかしたいと思っている。だから、存分に甘えて欲しい」
私がきゅっと手に力を込めると、秦弥さんも握り返してくれる。
一人じゃないって、やっぱりすごく心強いことなんだなと思う。
私は一人の生活が長かったせいか、病気になるといつも不安な時を過ごしていたことを思い出した。
「もっと話していたいが、そろそろ眠った方がいい。今晩は風音が眠るまで愛を囁いていよう」
「それは嬉しいけど、きっと眠れなくなっちゃう。でも、私のいいところをいっぱい聞きたいな」
「それならお安い御用だ」
秦弥さんの優しいキスはまた耳に落とされて、風音の瞳は綺麗だと呟かれた。
改めて言われると恥ずかしいけど、私も秦弥さんの氷が解けた瞬間の視線が好きだと答える。
そうかという声はとても柔らかで、私を眠りの世界へ導いてくれそうな声色だった。
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音がつくお名前って、とても素敵ですね。心がホッとしました。
ねむちゃんさま、お読みいただきありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
音がつく名前は書き始めた時から考えていた名前だったので、ホッとしていただけて嬉しいです✨
素敵とのお言葉、ありがとうございます✨
これからも印象に残るような素敵な名前を考えていけたらいいなと思っております(*´ω`*)
桃多さん、ご感想ありがとうございます✨
チャラい社長も珍しくしょぼんでした(笑)
会長の様子はこの後色々と……!
氷の副社長とは少しずつ(*´艸`*)な感じになっております💗
このお話も飯テロ多めでお届けしておりますー✨
桃多さん、ご感想ありがとうございます✨
第1章をもう読破してくださったなんて嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ
風音は根性もある子なので、氷なんてなんのそのですね(笑)
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岬さんはママさんになっても可愛いママさん間違いなしです✨
風音と比較するとおっとり系で、やるべき仕事はバッチリできちゃう人です!