村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~

楓乃めーぷる

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44.カステロッシの王様

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 お城の中には高そうなツボとか素敵な絵もあって、全体的にキラキラしてる感じがする。
 あんまりキョロキョロしてると、ぶつかっちゃって壊しちゃいそうだ。

「城の中も立派なもんだな」
「初めて来たけど凄いのね」

 ラグお姉さんとルナちゃんも僕と同じでいろいろと見ているみたい。
 オルお兄さんはみんなが物にぶつかったりしないように、僕たちのほうを気にしてくれている。

 スタンさんの後に続いて歩き続けると、僕の背よりすごく大きなとびらが見えてきた。
 あのとびらの奥に王様がいるのかな?

「陛下がお待ちです。どうぞ中へ」

 とびらの前に兵士さんより上品なお洋服を着た人たちが立っていて、とびらを守っているみたい。
 スタンさんが声をかけると、とびらを開けてくれた。

「あれはたぶん近衛騎士このえきしだろうな。王を守っているのだろう」

 ラグお姉さんがひそひそ声で僕に教えてくれた。
 僕たちのこともしっかりと見ているし、なんだかドキドキしてきちゃったな。

 スタンさんの案内で、玉座の間というところへ通される。
 赤いじゅうたんが引いてあって、奥の階段より高いところの豪華な椅子に頭の上におうかんを乗せた男の人が見えた。
 この人が王様なんだ。
 僕が今まで会ったことのない感じがして、ドキドキしてきた。

「陛下、お連れしました」
「ご苦労だったな。客人のみなさんも、此度こたびは私の願いを聞き入れてもらい感謝する。まずは礼を言わせてほしい」

 僕たちは王様の前でひざまずいて頭を下げていたんだけど、突然お礼を言いたいって言われるとどうしていいのか分からなくなる。

「我々には我々の目的があったのでな。あぁ、すまない。丁寧ていねいにしゃべるべきだろうが、私は人間の言葉がそこまで得意ではなくてな」
「あたしも」

 みんながいつもの感じで王様に言うと、王様も笑って気にするなと言ってくれた。
 僕たちも普通にしていいって言ってもらえたから、ゆっくりと立ち上がる。

「闇オークションの話は上がってきていたが、なかなか取り締まりができなくてな」
「王自らが動くのには時間がかかるだろう。話し合いも難航なんこうするだろうしな」

 ラグお姉さんが代表して僕たちの話を伝えてくれることになって、僕たちがオルお兄さんたちを助けた話を王様にしてくれた。
 王様とスタンさんは、ラグお姉さんの話を静かに聞いて何度もうなずいていた。

「あいわかった。しかし、フィロと言ったか。やはり私の知っている人物と共通点が多い。私の話も聞いてもらいたくてな」
「僕……ですか?」

 王様から僕への話ってなんだろう?
 とっても気になるけど、ドキドキするな。
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