20 / 26
一刀両断
しおりを挟む
次に話を振られたのは、風刺漫画家としてテレビにもよく出る どく みつゆ氏であった。
民自党の阿倍史政権時代には、執拗に風刺の域を超えた、バッシング漫画やコメントを発していたらしい。
で、今回も、何かを言葉にしたいのを堪えたような表情で、白いフリップ。
当然、ワシを「風刺」したらしき一コマ漫画。
そこには、アドルフ・ヒトラーの格好をしチョビ髭を生やしたワシが熱弁を振るい、それに若者達?が、一斉に右手を挙げて支持している。
そんな絵であった。
スタジオはパネリストらも含めどっと湧くが。
反面コメント欄は冷ややかな空気が細かく
見なくても充満しているのがわかった。
『何番煎じだよ(呆れ)』
『こいついっつもヒトラーに例えてるな』
『阿倍史総理の時散々見たし』
『気づけよ、とっくに才能枯渇してんだよ』
ワシはと言えばハル共々苦笑を浮かべるしか無かった。
大きくため息をつき、口を開く。
「どくみつゆ…先生とお呼びすれば良いのかな?
この風刺漫画、は、なにがどうで、いかなる論理で面白いのであろうか。
私もこの令和の様々な漫画は読む。が、この類のものがなにぶん初めてなもので。」
「う…そ…れは。」
初めて言語と呼べるものを発するどく。
「いやいや、説明できるであろう?
自分で描いたものであれば、いかなる仕掛けで面白いと感じさせるものなのか。」
「こ、これは、風刺で現状に不満をもつネット右翼…ネトウヨ達がぁー思考停止してアンタを…。」
「ああ、すまぬすまぬ。ようわかった。
私が1930年代のヒトラー同様、社会に不満持つ貧困層に対し他民族へのヘイトスピーチを叫ぶ事で、一種受け皿となり歴史上最悪クラスの独裁国家形成につなげた。
その歴史的事実に準えたいと言う話であろう?」
「ま、まあそう言う事だな。」
「で、何がそう面白いのだ?」
「は?」
「いやいやいや笑
お主はプロの漫画家。
つまりなにがしか描いたものがエンタメにならないと、この場合風刺として成立していないと、本来お払い箱になる身であろう?
ただ自分の認識や感想を絵にするだけなら稚児でも出来る。
TVのレギュラーも持つ身で、こんな作品にもなってないものを得意げに晒して、お主は恥ずかしくないのか?」
どくみつゆ「先生」の根拠なく人を見下し、不貞腐れたようないつもの表情が決定的に歪む。
『ノッブ火の玉ストレートで草』
『効いてる効いてるwww』
『どくざまぁ!!』
コメント欄の流れが加速する。
「…かなり昔の事であるし、私も掘り返すか迷ったが、お主に関しては許し難きことがひとつ。
まぁ私もルールと人気選手をやっと覚えた程度だが、プロ野球の人気チームG。
そこにY選手という、天才と呼ばれ将来のスターを嘱望された男がいた。
順調にキャリアを積み重ねている様に見えたある日の試合、外野で打球を追い疾走していた彼は、もう一人打球を追っていたS選手と交錯激突してしまう。
そして不運にもY選手は、脚に選手生命に関わる大怪我をしてしまう。
チームやファン、誰もがその悲運を嘆いたのは当然だが…それに罪の意識も加わり、一部ファンからのヘイトも相まって苦しんだのはS選手であった。当然故意ではなく、激しい戦同然のプロスポーツでは時に起こりうることなのだが。
そこで、ウハウハと連載していた野球風刺漫画で、S選手を何度となく事故に絡めたネタにした作品を書いたのが、他ならぬ「ボタ山パッチギ」名義で活動していたお主、どくみつゆ先生と言うわけだ。」
どくの顔はまたさらに歪み、遂には俯いてしまう。
『マジかよ初めて知ったー!Gファンだけど』
『おっさん世代や、マニアックな野球ファンには有名な話だけどな。』
『どくみつゆクズじゃねーか!』
『しかも、前この件のテレビ特集してた時は別名義使って、今の自分と結びつかないよーに逃げてるしよ。』
『いいぞノッブもっとやれ!』
「幸い…と言うべきか、天才Y選手の方は、長期のリハビリに耐え現役復帰を果たした。
むろんあのケガが無ければと惜しむファンも多いが。本人の野球選手としての無念もあろう。だがとにかく彼はGチームのOBとして、今にいたるも社会的評価を勝ち得ている。
一方、事故の数年後引退したS選手の、所謂十字架は消えなかった。
一般企業に勤めても、『私があの時のSです。』と言って営業しろと言われる始末で…幸にも結婚して新たな人生を始めた様だが、完全に傷が癒えたかは我々には知りようがない。
…さて、S元選手の深い苦悩に、当時相応の読者数が居た、お主の度を越した煽り弄り。いや中傷が無関係だと言い切れるかな?」
俯いたままぷるぷる震えるどく。
「もしかしたらS氏も見ておるかもしれん。
そうでなくともここでの言動は広く世に伝わる。
さて、まっとうな人たる想像力があれば一言詫びるべきと考えるが。」
『ノッブ死体蹴りwww』
『どく謝れやwww』
『土下座しろ!』
震えを増す、どくみつゆ。
「はい、一通りご意見出ましたんで次は…」
「うわあああああああああああ」
高上の、強引に場を収めようという介入、どくの部分の画像切り替えが数秒遅かった。
どくみつゆ、こと元「ボタ山パッチギ」先生は、発狂しスタジオ外に走り出ていった。
『大草原』
『ちょwwww敵前逃亡wwww』
『どく川みつゆ児www』
『もう二度とテレビ出れないねえ』
(バカが何やってんだオッサン。
黙ってれば、何もなかったことにして次に行けたのに)
司会高上忍の顔には、明らかにそう書いてあった。
「まーね、黒田くんには、どく先生を怒らせてしまった。その意味を考えて受け止めて欲しいですね、では赤井さんに…。」
「あ、はい。」
白髪混じりの、50代くらい?の男。
確かジャーナリストの肩書きで、日曜朝の報道番組に出ていた…。
民自党の阿倍史政権時代には、執拗に風刺の域を超えた、バッシング漫画やコメントを発していたらしい。
で、今回も、何かを言葉にしたいのを堪えたような表情で、白いフリップ。
当然、ワシを「風刺」したらしき一コマ漫画。
そこには、アドルフ・ヒトラーの格好をしチョビ髭を生やしたワシが熱弁を振るい、それに若者達?が、一斉に右手を挙げて支持している。
そんな絵であった。
スタジオはパネリストらも含めどっと湧くが。
反面コメント欄は冷ややかな空気が細かく
見なくても充満しているのがわかった。
『何番煎じだよ(呆れ)』
『こいついっつもヒトラーに例えてるな』
『阿倍史総理の時散々見たし』
『気づけよ、とっくに才能枯渇してんだよ』
ワシはと言えばハル共々苦笑を浮かべるしか無かった。
大きくため息をつき、口を開く。
「どくみつゆ…先生とお呼びすれば良いのかな?
この風刺漫画、は、なにがどうで、いかなる論理で面白いのであろうか。
私もこの令和の様々な漫画は読む。が、この類のものがなにぶん初めてなもので。」
「う…そ…れは。」
初めて言語と呼べるものを発するどく。
「いやいや、説明できるであろう?
自分で描いたものであれば、いかなる仕掛けで面白いと感じさせるものなのか。」
「こ、これは、風刺で現状に不満をもつネット右翼…ネトウヨ達がぁー思考停止してアンタを…。」
「ああ、すまぬすまぬ。ようわかった。
私が1930年代のヒトラー同様、社会に不満持つ貧困層に対し他民族へのヘイトスピーチを叫ぶ事で、一種受け皿となり歴史上最悪クラスの独裁国家形成につなげた。
その歴史的事実に準えたいと言う話であろう?」
「ま、まあそう言う事だな。」
「で、何がそう面白いのだ?」
「は?」
「いやいやいや笑
お主はプロの漫画家。
つまりなにがしか描いたものがエンタメにならないと、この場合風刺として成立していないと、本来お払い箱になる身であろう?
ただ自分の認識や感想を絵にするだけなら稚児でも出来る。
TVのレギュラーも持つ身で、こんな作品にもなってないものを得意げに晒して、お主は恥ずかしくないのか?」
どくみつゆ「先生」の根拠なく人を見下し、不貞腐れたようないつもの表情が決定的に歪む。
『ノッブ火の玉ストレートで草』
『効いてる効いてるwww』
『どくざまぁ!!』
コメント欄の流れが加速する。
「…かなり昔の事であるし、私も掘り返すか迷ったが、お主に関しては許し難きことがひとつ。
まぁ私もルールと人気選手をやっと覚えた程度だが、プロ野球の人気チームG。
そこにY選手という、天才と呼ばれ将来のスターを嘱望された男がいた。
順調にキャリアを積み重ねている様に見えたある日の試合、外野で打球を追い疾走していた彼は、もう一人打球を追っていたS選手と交錯激突してしまう。
そして不運にもY選手は、脚に選手生命に関わる大怪我をしてしまう。
チームやファン、誰もがその悲運を嘆いたのは当然だが…それに罪の意識も加わり、一部ファンからのヘイトも相まって苦しんだのはS選手であった。当然故意ではなく、激しい戦同然のプロスポーツでは時に起こりうることなのだが。
そこで、ウハウハと連載していた野球風刺漫画で、S選手を何度となく事故に絡めたネタにした作品を書いたのが、他ならぬ「ボタ山パッチギ」名義で活動していたお主、どくみつゆ先生と言うわけだ。」
どくの顔はまたさらに歪み、遂には俯いてしまう。
『マジかよ初めて知ったー!Gファンだけど』
『おっさん世代や、マニアックな野球ファンには有名な話だけどな。』
『どくみつゆクズじゃねーか!』
『しかも、前この件のテレビ特集してた時は別名義使って、今の自分と結びつかないよーに逃げてるしよ。』
『いいぞノッブもっとやれ!』
「幸い…と言うべきか、天才Y選手の方は、長期のリハビリに耐え現役復帰を果たした。
むろんあのケガが無ければと惜しむファンも多いが。本人の野球選手としての無念もあろう。だがとにかく彼はGチームのOBとして、今にいたるも社会的評価を勝ち得ている。
一方、事故の数年後引退したS選手の、所謂十字架は消えなかった。
一般企業に勤めても、『私があの時のSです。』と言って営業しろと言われる始末で…幸にも結婚して新たな人生を始めた様だが、完全に傷が癒えたかは我々には知りようがない。
…さて、S元選手の深い苦悩に、当時相応の読者数が居た、お主の度を越した煽り弄り。いや中傷が無関係だと言い切れるかな?」
俯いたままぷるぷる震えるどく。
「もしかしたらS氏も見ておるかもしれん。
そうでなくともここでの言動は広く世に伝わる。
さて、まっとうな人たる想像力があれば一言詫びるべきと考えるが。」
『ノッブ死体蹴りwww』
『どく謝れやwww』
『土下座しろ!』
震えを増す、どくみつゆ。
「はい、一通りご意見出ましたんで次は…」
「うわあああああああああああ」
高上の、強引に場を収めようという介入、どくの部分の画像切り替えが数秒遅かった。
どくみつゆ、こと元「ボタ山パッチギ」先生は、発狂しスタジオ外に走り出ていった。
『大草原』
『ちょwwww敵前逃亡wwww』
『どく川みつゆ児www』
『もう二度とテレビ出れないねえ』
(バカが何やってんだオッサン。
黙ってれば、何もなかったことにして次に行けたのに)
司会高上忍の顔には、明らかにそう書いてあった。
「まーね、黒田くんには、どく先生を怒らせてしまった。その意味を考えて受け止めて欲しいですね、では赤井さんに…。」
「あ、はい。」
白髪混じりの、50代くらい?の男。
確かジャーナリストの肩書きで、日曜朝の報道番組に出ていた…。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない
仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。
トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。
しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。
先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる