62 / 233
第三話 失われた真実
プロローグ:悪夢の狭間(はざま)
しおりを挟む
どうして気がつかなかったのだろう。
彼女に想いを寄せることが、自分を追い詰める最大の要素であったことを。
彼の身体中を駆け巡り、荒れ狂う鬼。
激しい痛みは熱を孕み、既に痛覚が麻痺しているのかもしれない。息苦しさの中で、ただ負の感情が肥大する。
鬼は悪意をもって彼の記憶を辿り、どこまでも後悔を増幅させた。
容赦なく、彼を追い詰める。
悪夢に苛まれ、彼を満たしてきた想いまでが悪意に呑まれる。
(――彼女に出会わなければ、良かった)
全てを忘れて、なかったことに出来れば、こんなふうに苛まれることはなかったのだ。
何も知らぬまま、与えられた宿命だけを見つめていられた。
世を滅ぼす禍。
それだけで良かったのだ。ずっと受け入れて生きてきた。何もいらない。安らぎも至福も求めない。
(私が生きることに、意味などない)
あるのは、世の禍となる悪しき宿命だけ。祝福されない誕生。
何もかもが慶びとは程遠い。
(そんなものを求めていたなんて、――滑稽だ)
はじめから、役回りは決まっている。
世界を脅かす危険因子。存在意味など持ち得ない。自分が生き続けることに、一片の価値もない。
あるはずがないと、彼は強く自身を罵る。これまでの自分があまりに滑稽で失笑が漏れた。
出会い、彼女に与えられた全て。
ほんのひととき、彼に渇望していた何かを与えてくれたのかもしれない。
満たされた日々。
けれど、真実は全てを覆す。
与えられた全てが、彼を破滅へ導く序章と成り果てた。
至福は瞬く間に、絶望へと形を変える。
はじめから、全てが自分を追い詰める仕組みでしかなかったのだ。
与えられた滅びの宿命を全うするために。
(――彼女に出会わなければ良かった)
鬼に苛まれた想いは、どこまでも彼の絶望を肥大させる。
後悔、絶望、破滅。
(――違う)
悪意だけが膨張する心の闇に、強く反駁する光があった。今にも呑まれて失われてしまいそうな、かすかな輝き。彼はその輝きに向かって、手を伸ばした。
「―――っ……」
瞬間、持ち上げた腕に痛みが迸り、彼は悪夢から引き戻される。
渦巻く悪意が断ち切られると、彼は視界の中に見慣れた輪郭を見つけた。まだ頭が朦朧としているのか、像が揺らめいてはっきりとはしない。
けれど、見間違えるはずがない輪郭。
「――朱桜」
わずかに覚醒し、彼はさきほどの光の先に彼女がいたことを知る。もう一度、触れようとして、腕を動かすと更に激しい痛みが迸った。
それでも彼は目の前に在る気配に触れようと、懸命に手を伸ばす。
悪意に呑まれた想いが、美しい輝きを取り戻した。闇を照らす光。
出会ったことを、後悔などしていない。
(――どんな運命でも、出会えて良かった)
彼女と出会えて。
満たされた日々の中で、手に入れられた想い。自分の生まれてきた意味は、記憶の中に在る。いつか悪しき禍として討たれる時が来ても、想い出だけは色褪せることがない。
だから、決して彼女に裏切られたとは思わない。
それが自分の宿命を形にするためだけの経緯だったとは思わない。
今も色褪せず、彼女への想いだけが輝いている。
何度も目の前の彼女に呼びかけると、自分の手を握る彼女の気配に触れた。
掌から、ひやりと心地の良い刺激が熱を帯びた身体を貫く。少しだけ熱が拭われ、呼吸が楽になった気がした。
揺らめく視界の中で、彼女の黒髪が鮮明に飛び込んできた。美しい朱――金色が見事に呑まれている。身体を這う痛みよりも、ずっと胸が痛んだ。
蘇るのは、最後に見た光景。
引き裂かれた山吹の単。彼女の白い肌を傷つける無数の傷跡、痣。
何があったのかと問うことが憚られるほど、乱れた姿。
そして。
金色の長い髪と、輝く黄金色の瞳。
彼は一瞬で全てを悟ってしまった。自分に与えられた宿命が、どのように完結するのかを。
彼女に与えられた役回りは、自分を滅ぼす相称の翼。
どんな力で傷つけられようと、彼が魂魄を失うことは出来なかった。
けれど。
愛した朱桜こそが、――相称の翼。
瞬間、全ての疑問は氷解した。
どうして自分が天帝に滅ぼされるのか、何よりも理解できたのだ。どのように討たれて滅ぶのかが。
わかってしまった。
なぜなら、彼女は彼が真名を捧げた、ただ一人の姫宮。
生涯、心から彼女に忠誠を誓う。彼が手に入れた生きる意味。
独りよがりな想いだと判ってはいたのだ。それでも、彼は迷わず真名を捧げた。
見返りを求めていたわけではない。もとより禍となる自分が愛される自信はなかった。ただ、手に入れた想いを彼女に伝えたかったのだ。
彼は目の前の黒髪に、ただ心を痛めた。
(――どうして)
彼女の比翼にはなれなかった。彼女は黄帝を愛した。
衝撃を受けなかったとは言えない。けれど、怨む気にはなれなかった。
鬼の坩堝で彼女は泣きながら叫んでいた。
――ごめんなさいっ、……ごめんなさい。
彼女の身に何が起きたのかは判らなかった。涙を零して、ひたすら訴えるように詫びる。
――ごめんなさい。
(どうして、謝る必要があるだろう)
縁を結んだといっても、形だけのことなのだ。后となることを彼女が望んだ筈がない。自分に関わらず自由に過ごせばよいと牽制したのは、こちらの方である。
何も詫びることなどありはしないだろう。
相称の翼。人々に祝福されるべき真実。
――ごめんなさい。
自分に何を伝えたかったのか、わからない。
彼女は鬼門に飛び込んで、禁術を望んだ。
――莫迦な、……朱桜っ!
鬼門へ伸ばした彼の手は、むなしく彼女の残像を掻いた。
禁術、天落の法。
愛した者に与えられた真名を印として発動し、異界へ輪廻する。魂魄は鬼によって形作られた殻に閉じ込められ、姿形はひどく歪められる。異界の者に変貌を遂げるとも言われていた。
成功例はないに等しく、幻の法術とも言われる。失敗すれば、後にはただ黒き躯が残るだけだった。
彼女の犯した禁術は成功した。相称の翼であったからなのか、理由は定かではないが、異界の赤子として生きていた。
彼は霞む目で、凝らすように目の前の彼女を見つめた。
「朱桜、……どうして?」
どうして、嘆く必要があるのか。
問いかけながらも、彼には容易く彼女の想いを辿ることが出来た。
禍を滅ぼす。彼女には与えられた運命が快諾できないのだろう。
慈悲深い黄后。
異界へ逃避した彼女の想いは、わからない。謎はとけない。天界には彼女の愛する黄帝が在るのだ。いくら慈悲深くとも、黄帝への愛に勝る想いはないのだ。何らかの思惑が秘められている可能性があるだろう。
けれど、泣きながら彼に詫び続けた彼女には、伝えておかなければならない。
もし彼女が自身の役回りを嘆いているのなら。
「朱桜。……迷わず私を討ちなさい。ためらう必要はない」
黄帝への想いを後ろめたく感じる必要はない。
「私には判っている。……君は相称の翼。愛しい者を守るために、与えられた力がある」
彼は心から伝えられる。
例え全てが自分を滅ぼす運命に繋がっていても、――変わらない。
これまでの想いは色褪せない。
「それでも変わらない。君を愛している。……だから、その手で終わりにしてほしい」
誰よりも彼女の幸せを願っている。
天帝の御世は、世界に輝きをもたらすだろう。彼女が幸せになるためになら、どんな運命も受け入れられる。
どのような思惑が彼女を巻き込んでいても、無事に黄帝の元へ戻るまで、護り続けてみせる。
彼女は自身の翼扶。心を捧げた姫宮。
何があっても、変わらない。
彼女を護ることが、自分の生きる意味になる。
禁術を解き、彼女が黄后へ戻る方法はある。有効であるのかは分からないが、希望は失われていない。
天落の法を解く、唯一の方法。
術を発動させた印――愛しい者の真名を、もう一度唱えること。
それで術は解けると言われている。
相称の翼にとっては、黄帝の真名が印になる。
彼女が黄帝の真名を口にすれば、全てが元に戻る筈なのだ。
天界にどのような思惑が蔓延しているのかは定かではない。けれど、彼女が金域から逃亡を謀ったことは事実なのだ。もしかすると、自分に助けを求めていたのかもしれない。あるいは、巻き込むことを詫びていたのかもしれなかった。
全ての真実は、闇の中。
判っているのは、彼女が相称の翼であるということ。
だから。
いつかその手で討たれる日まで。
「……私は、……そのために君を護る」
彼の望みはただ一つ。
自分が彼女に与えられたように。
彼女にも手に入れてほしかったのだ。
満たされた、豊かな日々を。
そして、――誰よりも幸せな日々を。
「―――……」
彼女が何かを呟いた気がしたが、彼には聞き取ることが出来なかった。込み上げてきた熱が意識を奪う。吸い込まれるように、闇に捕らわれる。
彼は再び目を閉じた。
彼女に想いを寄せることが、自分を追い詰める最大の要素であったことを。
彼の身体中を駆け巡り、荒れ狂う鬼。
激しい痛みは熱を孕み、既に痛覚が麻痺しているのかもしれない。息苦しさの中で、ただ負の感情が肥大する。
鬼は悪意をもって彼の記憶を辿り、どこまでも後悔を増幅させた。
容赦なく、彼を追い詰める。
悪夢に苛まれ、彼を満たしてきた想いまでが悪意に呑まれる。
(――彼女に出会わなければ、良かった)
全てを忘れて、なかったことに出来れば、こんなふうに苛まれることはなかったのだ。
何も知らぬまま、与えられた宿命だけを見つめていられた。
世を滅ぼす禍。
それだけで良かったのだ。ずっと受け入れて生きてきた。何もいらない。安らぎも至福も求めない。
(私が生きることに、意味などない)
あるのは、世の禍となる悪しき宿命だけ。祝福されない誕生。
何もかもが慶びとは程遠い。
(そんなものを求めていたなんて、――滑稽だ)
はじめから、役回りは決まっている。
世界を脅かす危険因子。存在意味など持ち得ない。自分が生き続けることに、一片の価値もない。
あるはずがないと、彼は強く自身を罵る。これまでの自分があまりに滑稽で失笑が漏れた。
出会い、彼女に与えられた全て。
ほんのひととき、彼に渇望していた何かを与えてくれたのかもしれない。
満たされた日々。
けれど、真実は全てを覆す。
与えられた全てが、彼を破滅へ導く序章と成り果てた。
至福は瞬く間に、絶望へと形を変える。
はじめから、全てが自分を追い詰める仕組みでしかなかったのだ。
与えられた滅びの宿命を全うするために。
(――彼女に出会わなければ良かった)
鬼に苛まれた想いは、どこまでも彼の絶望を肥大させる。
後悔、絶望、破滅。
(――違う)
悪意だけが膨張する心の闇に、強く反駁する光があった。今にも呑まれて失われてしまいそうな、かすかな輝き。彼はその輝きに向かって、手を伸ばした。
「―――っ……」
瞬間、持ち上げた腕に痛みが迸り、彼は悪夢から引き戻される。
渦巻く悪意が断ち切られると、彼は視界の中に見慣れた輪郭を見つけた。まだ頭が朦朧としているのか、像が揺らめいてはっきりとはしない。
けれど、見間違えるはずがない輪郭。
「――朱桜」
わずかに覚醒し、彼はさきほどの光の先に彼女がいたことを知る。もう一度、触れようとして、腕を動かすと更に激しい痛みが迸った。
それでも彼は目の前に在る気配に触れようと、懸命に手を伸ばす。
悪意に呑まれた想いが、美しい輝きを取り戻した。闇を照らす光。
出会ったことを、後悔などしていない。
(――どんな運命でも、出会えて良かった)
彼女と出会えて。
満たされた日々の中で、手に入れられた想い。自分の生まれてきた意味は、記憶の中に在る。いつか悪しき禍として討たれる時が来ても、想い出だけは色褪せることがない。
だから、決して彼女に裏切られたとは思わない。
それが自分の宿命を形にするためだけの経緯だったとは思わない。
今も色褪せず、彼女への想いだけが輝いている。
何度も目の前の彼女に呼びかけると、自分の手を握る彼女の気配に触れた。
掌から、ひやりと心地の良い刺激が熱を帯びた身体を貫く。少しだけ熱が拭われ、呼吸が楽になった気がした。
揺らめく視界の中で、彼女の黒髪が鮮明に飛び込んできた。美しい朱――金色が見事に呑まれている。身体を這う痛みよりも、ずっと胸が痛んだ。
蘇るのは、最後に見た光景。
引き裂かれた山吹の単。彼女の白い肌を傷つける無数の傷跡、痣。
何があったのかと問うことが憚られるほど、乱れた姿。
そして。
金色の長い髪と、輝く黄金色の瞳。
彼は一瞬で全てを悟ってしまった。自分に与えられた宿命が、どのように完結するのかを。
彼女に与えられた役回りは、自分を滅ぼす相称の翼。
どんな力で傷つけられようと、彼が魂魄を失うことは出来なかった。
けれど。
愛した朱桜こそが、――相称の翼。
瞬間、全ての疑問は氷解した。
どうして自分が天帝に滅ぼされるのか、何よりも理解できたのだ。どのように討たれて滅ぶのかが。
わかってしまった。
なぜなら、彼女は彼が真名を捧げた、ただ一人の姫宮。
生涯、心から彼女に忠誠を誓う。彼が手に入れた生きる意味。
独りよがりな想いだと判ってはいたのだ。それでも、彼は迷わず真名を捧げた。
見返りを求めていたわけではない。もとより禍となる自分が愛される自信はなかった。ただ、手に入れた想いを彼女に伝えたかったのだ。
彼は目の前の黒髪に、ただ心を痛めた。
(――どうして)
彼女の比翼にはなれなかった。彼女は黄帝を愛した。
衝撃を受けなかったとは言えない。けれど、怨む気にはなれなかった。
鬼の坩堝で彼女は泣きながら叫んでいた。
――ごめんなさいっ、……ごめんなさい。
彼女の身に何が起きたのかは判らなかった。涙を零して、ひたすら訴えるように詫びる。
――ごめんなさい。
(どうして、謝る必要があるだろう)
縁を結んだといっても、形だけのことなのだ。后となることを彼女が望んだ筈がない。自分に関わらず自由に過ごせばよいと牽制したのは、こちらの方である。
何も詫びることなどありはしないだろう。
相称の翼。人々に祝福されるべき真実。
――ごめんなさい。
自分に何を伝えたかったのか、わからない。
彼女は鬼門に飛び込んで、禁術を望んだ。
――莫迦な、……朱桜っ!
鬼門へ伸ばした彼の手は、むなしく彼女の残像を掻いた。
禁術、天落の法。
愛した者に与えられた真名を印として発動し、異界へ輪廻する。魂魄は鬼によって形作られた殻に閉じ込められ、姿形はひどく歪められる。異界の者に変貌を遂げるとも言われていた。
成功例はないに等しく、幻の法術とも言われる。失敗すれば、後にはただ黒き躯が残るだけだった。
彼女の犯した禁術は成功した。相称の翼であったからなのか、理由は定かではないが、異界の赤子として生きていた。
彼は霞む目で、凝らすように目の前の彼女を見つめた。
「朱桜、……どうして?」
どうして、嘆く必要があるのか。
問いかけながらも、彼には容易く彼女の想いを辿ることが出来た。
禍を滅ぼす。彼女には与えられた運命が快諾できないのだろう。
慈悲深い黄后。
異界へ逃避した彼女の想いは、わからない。謎はとけない。天界には彼女の愛する黄帝が在るのだ。いくら慈悲深くとも、黄帝への愛に勝る想いはないのだ。何らかの思惑が秘められている可能性があるだろう。
けれど、泣きながら彼に詫び続けた彼女には、伝えておかなければならない。
もし彼女が自身の役回りを嘆いているのなら。
「朱桜。……迷わず私を討ちなさい。ためらう必要はない」
黄帝への想いを後ろめたく感じる必要はない。
「私には判っている。……君は相称の翼。愛しい者を守るために、与えられた力がある」
彼は心から伝えられる。
例え全てが自分を滅ぼす運命に繋がっていても、――変わらない。
これまでの想いは色褪せない。
「それでも変わらない。君を愛している。……だから、その手で終わりにしてほしい」
誰よりも彼女の幸せを願っている。
天帝の御世は、世界に輝きをもたらすだろう。彼女が幸せになるためになら、どんな運命も受け入れられる。
どのような思惑が彼女を巻き込んでいても、無事に黄帝の元へ戻るまで、護り続けてみせる。
彼女は自身の翼扶。心を捧げた姫宮。
何があっても、変わらない。
彼女を護ることが、自分の生きる意味になる。
禁術を解き、彼女が黄后へ戻る方法はある。有効であるのかは分からないが、希望は失われていない。
天落の法を解く、唯一の方法。
術を発動させた印――愛しい者の真名を、もう一度唱えること。
それで術は解けると言われている。
相称の翼にとっては、黄帝の真名が印になる。
彼女が黄帝の真名を口にすれば、全てが元に戻る筈なのだ。
天界にどのような思惑が蔓延しているのかは定かではない。けれど、彼女が金域から逃亡を謀ったことは事実なのだ。もしかすると、自分に助けを求めていたのかもしれない。あるいは、巻き込むことを詫びていたのかもしれなかった。
全ての真実は、闇の中。
判っているのは、彼女が相称の翼であるということ。
だから。
いつかその手で討たれる日まで。
「……私は、……そのために君を護る」
彼の望みはただ一つ。
自分が彼女に与えられたように。
彼女にも手に入れてほしかったのだ。
満たされた、豊かな日々を。
そして、――誰よりも幸せな日々を。
「―――……」
彼女が何かを呟いた気がしたが、彼には聞き取ることが出来なかった。込み上げてきた熱が意識を奪う。吸い込まれるように、闇に捕らわれる。
彼は再び目を閉じた。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~
marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」
「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」
私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。
暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。
彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。
それなのに……。
やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる