紫の瞳の王女と緑の瞳の男爵令嬢

秋野 林檎 

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気がついたら、コンウォール夫妻がベットの側にいた。

「気がつかれましたか?」コンウォール男爵の声に、エリザベスは頷き

「ごめんなさい…。」それから後が続かなかった…、

ー《王華》がないことを言わなくてはならない。いや…倒れた原因はコンウォールの父ならわかっているかもしれない。《王華》がないとなると、計画を変えなくてはならないが、時間が…ない。


計画の変更…それがエリザベスの口を重くした。

そんなエリザベスの気持ちがわかったのか、コンウォールが言った。

「どうやらペンダントを持ったマール嬢は、港町オクトに逃げたと思われると、アークフリード様からお手紙がありました。」

「ア、アークはどうしてそれを…?」

「エリザベス様。あのアークフリード様ですよ。あなた様が命がけで愛しておられる方が、そんな暗愚の訳はありますまい。情報を集め、分析したら、自ずとでた答えだったのでしょう。」

そう言って、アークフリードからの手紙を差し出した。




*****



エリザベスへ



心配するな。信じて待っていてくれ



隠れていて欲しいという願いを聞けなくて、すまない



                          アークフリード 

*****





短い手紙だったが、エリザベスには、たった二行に大きな思いが含まれていることを感じた。

「アーク…あ…アーク」と言ってエリザベスは涙を零した。

「エリザベス様、危険ですが…。ここまできたら、もう進むしか道はないかと…。アークフリード様がペンダントを取り返してくださることを信じましょう。」


エリザベスは、大きく頷いた。


《王華》が一つしかないことで不安だ、だがアークフリードのことを信じて待つことで、明日に迫った出立を恐れることなく迎えられる。


涙を拭い、コンウォールにエリザベスは

「これからの計画をもう一度確認し、アークがペンダントを取り返してくれることを信じて、その間、変更すべきところをあげてみましょう。」



コンウォールは、どんな薬でもアークフリード様が、エリザベス様の特効薬だと、密かに笑い エリザベスのベットにマールバラへの地図を広げた。









バクルー王は密偵からの知らせで、アークフリードとフランシスそしてマールが消えたことを知った。


「ふ~ん、三人を隠したか…。しかもマールまで…マールの口を封じること読んでいたか…。いや…それよりアークフリードがよく頷いたものだなぁ…。だがなんか納得できない。なにかあったのか?いや、はっきりしないことより…まずこっちだ。人質になりえるふたりが消えたということがさきだ。もうひとり…コンウォール夫人を手中に収めておかないと不味いなぁ。 エリザベスの動きを止めるためにも人質は必要だ。だがコンウォールが…あの手ごわい奴が、 自分の妻を早々と人質になるようなことはしないだろう。 必ず何かしら手を打っているはず…。」



バクルー王は、楽しかった。自分と張り合う奴らがいることが…だが負けるのは嫌いだ、楽しくない。

現在マールバラ王国は、バクルー国として扱っているが、国民がレジスタンス運動をやってなかなか纏らない、だがエリザベスを迎えることで、あいつらも納得するだろう…。
そして、バクルー、ノーフォーク、マールバラを治め、バクルー帝国を作る。その夢ももう間近だ…港を持つ、ノーフォーク王国は特に欲しい。そのためにエリザベスは絶対欲しい…だがそれ以上に気になる。溜め息をつき、首を横
に振ったときだった、傍らに置いた剣に自分の顔が映り、そして、エリザベスが…。


いや…もうこの世にいないはずの少女が映っていた。


そして突然…耳元で、懐かしい声が聞こえた。


『その怪我…顔の怪我…痛かったでしょう。どこで…?』


ーこの声は…そして赤い髪と緑色の瞳を持ったこの少女は…リリス…だ。エリザベスの母親だ。
20年たっても…赤い髪と緑の瞳に、振り回されるとは…

とバクルー王は苦笑した。



どうやら飲みすぎたか…。











パメラは、公爵家の庭を歩いていた。ただ歩いていた。
楠の前でようやく立ち止まると、その楠を見上げ…

「リリス…、あなたは私の欲しいものを、みんな持っていくのね。兄様も…そしてあの男も…」


ー20年程前、ここであの冷たい男が恋をした…。

恋をした相手リリスは、私の兄を愛し…。そして……私が殺した。

兄様…何故私は、生まれてきたのでしょうか。

兄様は、私達が双子で生まれたことは、必ず意味があると、仰っていたが…私がやったは、マールバラ王国の滅亡と多くの国民を殺し…兄様達を殺したこと…これが私が生まれた理由なのですか?



兄様…。

 
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