紫の瞳の王女と緑の瞳の男爵令嬢

秋野 林檎 

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結婚(ライドとフランシス)3

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唇は熱い吐息と共にゆっくりを離れたが、ライドの顔は喜びよりも悲しみに暮れていた。

「フランシス…君が俺を…兄のように思っているのはわかっている、だが…俺は男なんだ…君に、こうやって口づけを請う男なんだ。」

そう言うと…フランシスから離れようとした、だがその腕を掴んだのは、白く細い指だった。

「…ライド様、まさか…私を…」

ライドの声は、愛を請うように叫んでいた。

「そうだ、君が好きなんだ!…君が他の男のものになるくらいなら、歩けるようになって欲しくないと恐ろしいことを考えていしまうくらいに…」

白い指の上に、剣を使うことで硬くなった指も愛を請うように重なった。

「俺は…心が歪んでしまうくらいに…君が好きなんだ!!」

「ほ、ほんとに…」

ライドは、フランシスの反応をこれ以上見るのが辛くて、きつく目を閉じ頷いた。

「…う、うれしい」その声は涙声だったが、はっきりとライドの耳に届き、ライドは目を開けフランシスを見つめた。

「今……嬉しい?…って言ったのか?!」

フランシスは、もう声にならず力いっぱい頷いた、ライドは、俺は…と言ったが、ライドも声にならず、声の代わりに腕が答えた。逞しい腕は強くもう離さないと言ってるかのように、フランシスの体を強く抱きしめた。逞しい腕に包みこまれた、フランシスは…この温もりにようやく安心を得た…これは夢じゃない。



その幸せな思いが口にでた。         

「ライド様、大…好…きで…」

フランシスは最後まで言わせてもらえなかった。



ライドの唇が、その言葉さえも誰にも渡したくないように、フランシスの唇を覆った。
長い口づけが解かれ、フランシスはライドの胸に頬を寄せた、そんなフランシスの顎に指をやり顔を持ち上げ…ライドは潤んだ黒い瞳、ピンク色に染まった頬、そして自分が赤くした唇を見つめ、またゆっくりと顔を近づけた時だった。、熱い吐息が…熱い思いと一緒にライドの唇から零れた。



「フランシス…俺と…結婚してくれ。」




フランシスは…「…はい、ライド様の花嫁にしてください。」そう言って、ポロポロと涙を零した、そんなフランシスの額にライドの唇は、やさしく触れ「可愛いい…」と言って、またフランシスの唇へとまた愛を告げた。









その様子を2階の窓から、見ているふたりがいた。

「…エリザベス…、何か切っ掛けを作ったろう?」

アークフリードは妹と親友の口づけを嬉しいような、悔しいような複雑な顔で聞いてきた。



エリザベスは「どうして?」と笑って、アークフリードを見た。

アークフリードから見たら惚けているように、見えたのか、口を尖らせ、

「二ヶ月間、どころが数年、いやつい先程まで何の進展もなかったのに…これだ」



と言って、視線が、熱い口づけを交わすふたりに動いた。その様子が可笑しくて、エリザベスは庭のふたりに気づかれないようにと手のひらで、口を押さえ笑った。



「エリザベス!」



エリザベスは、まだまだ出てくる笑いをかみ殺し

「ほ・ん・の・少・し」と言って、両の手の平を広げ、小さく呪文を告げると…手の平に、数羽の小鳥が現れた。

「私はただ小鳥の囀りが聞きたかっただけですの。それがたまたま、おふたりを近づける切っ掛けになったと言う話です。」とアークフリードに悪戯っぽい目で答えた。


アークフリードは苦笑し

「俺の妻になる人は、やはり…なかなかの策士だ... 」と言って、エリザベスを自分の腕に囲い「でも…そんなところも愛してる。」とエリザベスの耳元で囁いた。


エリザベスが、真っ赤になり、「あわぁぁ…」と恥ずかしがって、奇声を上げる唇に、弧を描いたアークフリードの唇が重なった。



だが…その甘い時間は、フランシスの「ライド様!!!」と叫ぶ声で、一気に覚めてしまい、アークフリードは大きな溜め息をつくと、庭のふたりに視線をやった。ふたりの会話はだんだんと大きくなって、2階にいるアークフリードとエリザベスにも、聞こえてきた。



「フランシス…口癖は出ないんだ」とライドがポツリと言った。フランシスは、首を傾げ…「口癖…ですか?私の口癖?」

「あぁ…よく言っているだろう。(すごい!)って…今は出てこないんだ。」

「?」フランシスは、ライドの言っていることがぜんぜんわからず、ライドの顔を見て、また首を傾げた。

ライドは…にやりと笑い、フランシスの真似をして

「ライド様の口付けって、すごい!!もう身も心も蕩けそうって、言わないんだ。」


フランシスの顔は、真っ赤になり、「ライド様!!!」と叫び声をあげたが、また、唇はライドに奪われた、大人しくなったフランシスに…ライドは「じゃぁ…すごいって言わせる。」…と言うと、またフランシスの唇を奪った。




「…あいつは…なんで、…俺の妹に…そんなことを言わせようとするんだ!あいつに、俺は恋愛指南をしなくちゃいけないのか!!だいたい…口づけ…は…」と途中まで言って、突然、エリザベスを腕の中から出すと

「エリザベス!ここから動くな!すぐ戻る!」と言って、庭へと階段を下りていった。



エリザベスは…

「人の恋路を邪魔するやつは…馬に蹴られて…」と言っている途中で、もう堪えきらず大きな声で笑ってしまった。
そして、庭でも大きな声で、怒鳴りあっている男性ふたりと、呆れたように笑うフランシスがいた。


エリザベスは、両の手の平を広げ、小さく呪文を告げ…小鳥を出すと



「お願い…あの恋愛下手の男性ふたりを止める、切っ掛けを作って」とまた笑った。

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