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本編
騎士団での俺
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俺はにっこりと笑顔を見せた。青みがかった銀髪をいじりながら視線を上の方にむけそのピンク色の唇を動かす。
「それってぇ、伯爵たる僕がする必要あります?貴方方のような下々のも者がやるべきではないですかぁ?」
「えっと、でも、俺たちにも仕事がありまして……」
「だーかーらー、高貴な僕が他の有象無象と同じことをするっていうのが間違ってるんですよ。分かります?僕は貴族です。こういう雑務は貴方方のようなものがやるべきです。明後日までには提出なのでそれまでには僕に渡しに来てください。よろしくお願いしますね?平民騎士さん」
それじゃあっと俺は呆然としている男たちに書類を渡し歩いていく。その背後でくそっと悪態をついているのを知りながら、気づいていない振りをする。
俺はベルクラリーサ・スウェル。御年18歳になるスウェル伯爵家の次男である。
俺の評価は一言で言って最悪だ。
まず、性格が悪い。口を開けば貴族だの爵位だの兎に角そんなことを言う。また、仕事を目下のものばかりに自分の仕事を押し付け、その功績を自分のものにする。
そんな俺は今もまさしく誰かに自身の仕事を押し付けて、自分は優雅にアフタヌーンティーを楽しむ算段だ。哀れ、目をつけられた平民たち。貴族の前では権力に膝まづくしかない者どもよ。
俺はいつも通り食堂までの道を優雅に歩きながら、ふと食堂の入り口で人だかりができていることに気が付く。
それで気づいた。
またあいつらいんのか。
ぎりっと歯ぎしりをして、ため息をつく。平和なアフタヌーンティーからヘイト稼ぎの殺伐ティータイムに変更して中に入る。
「ヴィアン様~」
「! こ、こんにちは、ベルクラリーサ様」
「はい!今日も会えるなんてとっても嬉しいです」
ひときわ目立つその男。黒い髪に耳には涼し気な海色のイヤリングが揺れる。
彼―――ヴィアン・アゼルスフィは、俺の婚約者である。そして、騎士団のエースを背負い向かうところ敵なしとまで言われる実力者。また、物腰柔らかで優しい性格から慕われている人気者。
そんな彼はよく人に囲まれている。
今もヴィアンの周りには同じ団の団員が囲んでいて休憩中だろう。俺が現れた瞬間顔をしかめるが無視。
「あのぉ、僕ヴィアン様の婚約者なんでぇ、席譲ってください。ヴィアン様の隣はぼ・くですからぁ」
にこにことヴィの隣に座っている団員にそう言うと彼らは俺を睨みながら席を立つ。着々とヘイトを稼ぎつつ席についてヴィの腕にひっつき、しなだれる。
「ヴィアン様は何をお話ししていたのですか?」
「遠征の話だよ」
やべ。その話はやばい。
遠征行きたくないから紙提出してないし、期限が切れたら何食わぬ顔でえーそうなんですかー!残念ですぅっていうつもりだった。ここでその話に持ってこられるとまずい。
「そ、そうなんですね!あ、そう言えばヴィ……」
「あ!ベルクラリーサ様!」
話を逸らそうとしたその瞬間、俺を呼ぶ声がした。それと同時にぽんっと肩を叩かれる。一瞬ヴィの雰囲気が冷たくなるが、勝手知ったるや彼はすぐに手を離す。
「こんにちは。アルフレッド様」
そこには一応旧知の仲である男がいた。
アルフレッド・クライナー。クライナー公爵の三男であり、一応彼のは第一班所属、騎士団総括の補佐となっている。ゆくゆくは騎士団のトップ、総団長になるだろうと噂されている有能な男だ。
容姿端麗で茶色の髪に緑の瞳の男である。
そんな彼の周りにもよく人が集まるがきっと彼の嗜好を知れば大概の人が離れていくと思う。
「こんにちは。ちょっといいですか?」
「はい勿論!」
そう言って立ち上がろうとするが、その前にアルフレッドが制止して何か紙を取り出す。俺はそれを見てげっと小さく口にする。
「遠征に行きますよね?今日までだから提出してくれますか?」
「う、あ、えーっと、ぼ、僕紙を無くしてしまって」
「ああ、なるほど。じゃあここに署名するだけでいいですよ。はいどうぞ」
くそったれ!!
俺は遠征に出る気はなかった。だって面倒だし、やめるのに編成に加わったって意味がない。
どう断ろうかニッコリ笑顔で考えているとすっと横から手が伸びてその紙に署名される。
「ちょっ!?」
「彼は僕の配偶者だから僕の署名でも構わないよね?」
「まあ、それで大丈夫ですよ。てことで、遠征の準備お願いしますね。皆も午後の仕事頑張ってください」
アルフレッドがそう言って去ってった。ちっと舌打ちしたい気持ちを抑えつつ俺は笑顔を作った。
「ヴィアン様と一緒に遠征出来て嬉しいです!」
「ふふ、僕もだよ。同じ部署なので、何かあればいつでも頼ってね」
「はい、ヴィアン様!」
嬉しそうに意識して声をあげる。
愉しいお茶会が一変して俺が入ったことによりぎすぎすしていく。
何かヴィが他の者に話を振ればすぐさま俺が間に入って話を自分の方に持っていく。その場にいるだけで不快になるような会話であるが、これはいつものことである。
性悪で実力もないのにコネと権力で第一班に入り、兎に角自分勝手な男、と言うのがほとんどの者の俺に対する印象である。
が、俺がこうするには理由があった。
というのも、最大の理由としては俺が労働を嫌うということである。早々に退職したいがためにわざと、俺は婚約者煩悩野郎を演じている。なんで自主退職しないかだって?それは家族の目が怖いからさ。あんな婚約者あんたには勿体なさ過ぎるのにまさかぐうたら家で過ごすわけないよね?と圧をかけられちまえば俺は従うしかない。
でもやっぱり労働は嫌!大体にしてヴィかなり稼いでるし!!
なので考えたのは問題を起こして退職させられることである。中々完璧な作戦だ。流石俺。
早く退職されないかなっとそればかりが俺の頭の中を占め、お茶会は終了した。
「それってぇ、伯爵たる僕がする必要あります?貴方方のような下々のも者がやるべきではないですかぁ?」
「えっと、でも、俺たちにも仕事がありまして……」
「だーかーらー、高貴な僕が他の有象無象と同じことをするっていうのが間違ってるんですよ。分かります?僕は貴族です。こういう雑務は貴方方のようなものがやるべきです。明後日までには提出なのでそれまでには僕に渡しに来てください。よろしくお願いしますね?平民騎士さん」
それじゃあっと俺は呆然としている男たちに書類を渡し歩いていく。その背後でくそっと悪態をついているのを知りながら、気づいていない振りをする。
俺はベルクラリーサ・スウェル。御年18歳になるスウェル伯爵家の次男である。
俺の評価は一言で言って最悪だ。
まず、性格が悪い。口を開けば貴族だの爵位だの兎に角そんなことを言う。また、仕事を目下のものばかりに自分の仕事を押し付け、その功績を自分のものにする。
そんな俺は今もまさしく誰かに自身の仕事を押し付けて、自分は優雅にアフタヌーンティーを楽しむ算段だ。哀れ、目をつけられた平民たち。貴族の前では権力に膝まづくしかない者どもよ。
俺はいつも通り食堂までの道を優雅に歩きながら、ふと食堂の入り口で人だかりができていることに気が付く。
それで気づいた。
またあいつらいんのか。
ぎりっと歯ぎしりをして、ため息をつく。平和なアフタヌーンティーからヘイト稼ぎの殺伐ティータイムに変更して中に入る。
「ヴィアン様~」
「! こ、こんにちは、ベルクラリーサ様」
「はい!今日も会えるなんてとっても嬉しいです」
ひときわ目立つその男。黒い髪に耳には涼し気な海色のイヤリングが揺れる。
彼―――ヴィアン・アゼルスフィは、俺の婚約者である。そして、騎士団のエースを背負い向かうところ敵なしとまで言われる実力者。また、物腰柔らかで優しい性格から慕われている人気者。
そんな彼はよく人に囲まれている。
今もヴィアンの周りには同じ団の団員が囲んでいて休憩中だろう。俺が現れた瞬間顔をしかめるが無視。
「あのぉ、僕ヴィアン様の婚約者なんでぇ、席譲ってください。ヴィアン様の隣はぼ・くですからぁ」
にこにことヴィの隣に座っている団員にそう言うと彼らは俺を睨みながら席を立つ。着々とヘイトを稼ぎつつ席についてヴィの腕にひっつき、しなだれる。
「ヴィアン様は何をお話ししていたのですか?」
「遠征の話だよ」
やべ。その話はやばい。
遠征行きたくないから紙提出してないし、期限が切れたら何食わぬ顔でえーそうなんですかー!残念ですぅっていうつもりだった。ここでその話に持ってこられるとまずい。
「そ、そうなんですね!あ、そう言えばヴィ……」
「あ!ベルクラリーサ様!」
話を逸らそうとしたその瞬間、俺を呼ぶ声がした。それと同時にぽんっと肩を叩かれる。一瞬ヴィの雰囲気が冷たくなるが、勝手知ったるや彼はすぐに手を離す。
「こんにちは。アルフレッド様」
そこには一応旧知の仲である男がいた。
アルフレッド・クライナー。クライナー公爵の三男であり、一応彼のは第一班所属、騎士団総括の補佐となっている。ゆくゆくは騎士団のトップ、総団長になるだろうと噂されている有能な男だ。
容姿端麗で茶色の髪に緑の瞳の男である。
そんな彼の周りにもよく人が集まるがきっと彼の嗜好を知れば大概の人が離れていくと思う。
「こんにちは。ちょっといいですか?」
「はい勿論!」
そう言って立ち上がろうとするが、その前にアルフレッドが制止して何か紙を取り出す。俺はそれを見てげっと小さく口にする。
「遠征に行きますよね?今日までだから提出してくれますか?」
「う、あ、えーっと、ぼ、僕紙を無くしてしまって」
「ああ、なるほど。じゃあここに署名するだけでいいですよ。はいどうぞ」
くそったれ!!
俺は遠征に出る気はなかった。だって面倒だし、やめるのに編成に加わったって意味がない。
どう断ろうかニッコリ笑顔で考えているとすっと横から手が伸びてその紙に署名される。
「ちょっ!?」
「彼は僕の配偶者だから僕の署名でも構わないよね?」
「まあ、それで大丈夫ですよ。てことで、遠征の準備お願いしますね。皆も午後の仕事頑張ってください」
アルフレッドがそう言って去ってった。ちっと舌打ちしたい気持ちを抑えつつ俺は笑顔を作った。
「ヴィアン様と一緒に遠征出来て嬉しいです!」
「ふふ、僕もだよ。同じ部署なので、何かあればいつでも頼ってね」
「はい、ヴィアン様!」
嬉しそうに意識して声をあげる。
愉しいお茶会が一変して俺が入ったことによりぎすぎすしていく。
何かヴィが他の者に話を振ればすぐさま俺が間に入って話を自分の方に持っていく。その場にいるだけで不快になるような会話であるが、これはいつものことである。
性悪で実力もないのにコネと権力で第一班に入り、兎に角自分勝手な男、と言うのがほとんどの者の俺に対する印象である。
が、俺がこうするには理由があった。
というのも、最大の理由としては俺が労働を嫌うということである。早々に退職したいがためにわざと、俺は婚約者煩悩野郎を演じている。なんで自主退職しないかだって?それは家族の目が怖いからさ。あんな婚約者あんたには勿体なさ過ぎるのにまさかぐうたら家で過ごすわけないよね?と圧をかけられちまえば俺は従うしかない。
でもやっぱり労働は嫌!大体にしてヴィかなり稼いでるし!!
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