33 / 34
番外編
天才は変人 SIDE兄
しおりを挟む
天才は変人、という言葉がよく似合うのが弟だ。
初めて赤ん坊の彼に出会った時はなんて可愛らしい天使のような弟なのだろうという印象であった。今でもそう思っているけど、お馬鹿さんだから……。
また、常に勘だけで生きている野生児ともいえる。そんな彼に色んな危機を覚えつつも、彼の狩りのお陰で多大な恩恵を得ているというのも事実。普通はこんな子供が危険区域なんかに足を踏み入れたら大問題であるが、父が元々狩人であったということもありそこら辺は寛大だ。あ、俺は一人でそんなところには行かない。危ないもん。
俺としては、お家でチャンバラごっこぐらいの可愛い遊びをしてほしい。あと、将来的にこの力を使って悪者になったら太刀打ちできないので常日頃から困っている人には助けてあげるようにと言い聞かせている。
うん分かったーっと相変わらず間延びした声で本当にわかってるのかどうか不安ではあったが、そこは素直ないい子であった。
彼は良いことをしたという主張は全くしない(兄さんが言ってたからしただけだしと言っている)が、領地で雨漏りを治したとか農業の手伝いをしたとかお父様から自慢げに話を聞く。
素直でいい子なんだ。俺もそんな弟を持って鼻が高い。
そんな俺の言葉に素直に従っていたからか、危ない綱渡りを彼はした。
王族からの招待で出席せざるを得ないが、まともな正装を父、母、俺だけ用意するのが精いっぱい。
王都に屋敷なんてものはないので親戚(お母様の兄)の屋敷にお泊りという形で王都にやってきた。仕方ないことだけど。
伯父夫婦は、母と俺には優しい。
というのも母は、昔大層モテていた。それが伯父にとっては自慢だったし、伯母に関してはお母様のファンだった。爵位も資金もある貴族であったのに、態々その中から貧乏貴族の父に嫁いだことを良しとしていないのだ。俺は母と同じ赤色の髪であったことで母の子供だと認識されているので優しい。
でも、弟は違う。
父とも母とも似ていない髪色で生まれてしまい、親戚一同非難されている。とはいえ、産んだのは母であるのは確かだし、そんなモテモテの母の不義を疑うものなどいない。だが、父と一緒になったからだと噂が立つ。まあ、それだけが要因ではないのだが……。
「ベル、気に入らないからって伯父夫婦の子供を殴っちゃだめだよ?」
「え?うん分かった」
その数時間後、伯父夫婦の子供をベルは泣かせていた。
鼻水と涙で顔がべしょべしょで頬が赤く腫れあがっていた伯父夫婦の子供、ライリーは俺を見るとすぐに飛んできて俺の後ろに隠れる。その後を追うようにベルが手をパーにしてやってきたので慌てて止めた。
「ベル!!」
「殴ってない」
くそ、このお馬鹿さん!本当に言葉通りでしか受け止めてない!!
「暴力はだめって意味!!」
「……殴られたのに?」
「殴ってない!!こいつがいきなり殴りかかってきたんだ!!ねえ!僕の事信じるよね!?ギルお兄様!!」
「嘘つくなよ、お前」
「嘘じゃないもん!!」
そういうライリーはふくれっ面で相変わらずの嘘つきだ。弟はやられたら倍でやり返すことはあるが無意味な暴力はしない。つまりは最初に殴られたのだろう。見れば綺麗な顔の頬が若干赤くなっている。だが、ここで弟側に行くのはよくない。
「ベル!ライリーに謝りなさい」
「えー……」
「ベル!!」
俺が強くそう言うとベルは不思議そうな顔をしてからはっと何かに気付いてような顔をして頭を下げた。
「ごめんなさい!」
「そんな言葉で……っ!」
「ライリー、ベルは謝ったから、ね?伯父さんが呼んでたよ?」
「……はぁい」
そう言うとライリーは渋々離れていった。ベルはライリーが去るまで頭を下げていた。偉い。しかもライリーよりも年下なのに、我慢させるなんてお兄ちゃんとして最低だな……。
「ベル、さっきは……」
「俺より弱いから優しくしろってことでしょ?分かってるよ」
「……それ、ライリーには言わないでね?」
「? ライリーって誰?」
「ベル……」
さっきの子供だよ。
ベルがお馬鹿さんでよかった。後こういうこと気にしない子で。でも、ベルばっかり我慢させてる。
今回の舞踏会だって、ベルの狩りによって賄えられたお金なのに、ベルには還元できていないのが申し訳ない。申し訳ないから魔装具を作ってるんだけど、そんなの俺の趣味の延長でもあるから……。
ぎゅうっと抱きしめるとベルも同じようにぎゅっとしてから魔装具を装備して頬の傷を治した。
これも、彼は独学で得た。こういうことに関しては本当に天才だ。
「ベル大好きだよ」
「俺も兄さん大好き」
ううん!!この天使はなんて可愛いんだ!!どうしてこんなかわいい子を気に入らないのか全く分からない!!
舞踏会には伯父夫婦たちも行くのでベルだけが屋敷に取り残される。それに関してもライリーはベルに突っかかってきたけど、ベルは終始誰だこいつっという顔をしていた。ちょっと笑えた。
「じゃあベル。大人しくしてるんだよ」
「うん!!」
……?いやに元気だな。
ベルはにっこにこの笑顔でぶんぶん手を振って俺たちを見送った。そして、その彼の笑みの意味を数時間後に知ることになる。
「申し訳ありませんでした!!」
「いえいえ。此方こそ、息子を助けてくださりありがとうございます」
アゼルスフィ公爵家。この国の貴族だったら誰もが知っている名門も名門である。国が建てられた時からいる公爵家で所謂三大貴族の一つ。王族に次ぐ権力を持つ非常にまずい相手である。
父も母も、ひたすらに平謝りをしている。それにアゼルスフィ公爵様は気にしないようにと言っているがそんなことできない。
「おい。そんなに引っ付くな。動けねえ」
「でも、とっても怖くて……」
「だから、俺が絶対守るから気にすんなって言ってるじゃねーか」
「うん!」
「べ、ベル……っ!」
公爵様の次男であるヴィアン様にそんな汚い口の利き方をするなんて!今までこんなにバカなベルを後悔したことは無い。というか、バカでも困ることなんてなかった!寧ろそこが可愛いなんて言う過保護な自分を恨みたい!
「何、兄さん」
「兄さまだよね?すみませんアゼルスフィ様。少しベルをお借りしてもよろしいですか?」
「そ、そんな……」
アゼルスフィ様の悲し気にそして寂しげに涙で潤んでいる瞳を見せられて俺はうっと一瞬言葉を詰まらせる。しかし、こんな常識のない馬鹿なベルを近くに置けない。何言うか分かんないし。
「あー、ほら、ヴィアン。俺がついてるから、一旦ベルクラリーサ君を離そうか。ごめんね?ギルくん」
「……」
「すみません、ありがとうございます」
アゼルスフィ様の長男様に感謝しつつベルを回収。ベルはきょとんとした顔をしている。今まで敬語なんて使う機会なかったから絶対に分かんないよね。やべえどうしよう。
「ベル。あの人は偉い人だから、いい子にしてないとダメだよ?」
「いい子……どうすればいいの?」
「とりあえずお兄ちゃんの傍にいようね?」
「うん」
ぎゅっとベルが俺の手を握ってきた。離れないという意思表示だ。とりあえず受け答えは俺がするとして……、と考えていたらぞわっと寒気がした。ばっとそちらを見るとじいいっと次男様の方に睨まれている気がする。
え?何か選択間違えた?
「……兄さま、あいつのとこ行っていい?」
「あいつじゃなくてアゼルスフィ様!」
「……行っていい?」
名前めんどくさくなって呼ばなくなったな。全く。でもできれば避けたいんだけど、めっちゃ見てくるからこれ行った方がいいな。
俺はベルと一緒に彼の元に行った。
すると、次男様はぎゅうっと俺と握っている手とは反対のベルの手を握った。
「ベルちゃんと離れるのが怖い……」
「じゃあ家まで送ってやるよ」
ベル!!静かにしてとは言ってなかったから仕方ないけどその話し方はだめだってば!!
「いいの?」
「ああ。兄さん……じゃなくて兄さま、いいよね?」
「そ、れは……っ!」
どうすれば!お父様お母様!助けて!!そう思って視線をずらすと長男様の方と目が合った。彼は俺と目が合うと頷いて俺の肩にポンっと手を置く。
「ちょっとあっちで話しよう?」
「え!い、いえ、その……」
ベルを置いていけない!何しでかすか分かんない!
そんな俺の気持ちが伝わったのか長男様はこそっと耳打ちしてくる。
「弟君のことが心配なのは分かるけど、ヴィアン相当気に入ってるみたいで逆に引きはがすと何されるか分かんないよ」
「え……?」
ど、どういうこと?客観的に見てベルは容姿はいい方だとしか言えないのにどこら辺が気に入ったの?
そう思ったが、確かに見て見ればベルのことを気に入っているようにも見える。睨まれたのも合点がいく……。
ならば!
「ベル、いい子にしてるんだよ?」
「うん。あ、ついでに一緒に行っていいか聞いといて」
「うん……」
困っている人は助けるようにとは言ったが、ここまでとは……。
そしてあれよあれよという間に婚約者になるなんて思わない。
本当にベルでいいのかと、家族一同そう思っているので結婚式、及び婚姻届けは待って貰っている。もっとふさわしい子になってからという思いだ。
だから騎士団に入れて少しでも他の人と友好関係を築くというのが目下の目的であったが、弟は、楽をしたいからという理由であろうことかライリーを模範としたバカ貴族を演じている。バカだ!!こいつバカだ!!
しかも、黒衣の騎士だなんて言われているのに全く気付いていないし!!これで、弟がそれだって気づいたらどうなるんだろうか。ああ、考えたくない!!
本当天才って変人すぎる!!
初めて赤ん坊の彼に出会った時はなんて可愛らしい天使のような弟なのだろうという印象であった。今でもそう思っているけど、お馬鹿さんだから……。
また、常に勘だけで生きている野生児ともいえる。そんな彼に色んな危機を覚えつつも、彼の狩りのお陰で多大な恩恵を得ているというのも事実。普通はこんな子供が危険区域なんかに足を踏み入れたら大問題であるが、父が元々狩人であったということもありそこら辺は寛大だ。あ、俺は一人でそんなところには行かない。危ないもん。
俺としては、お家でチャンバラごっこぐらいの可愛い遊びをしてほしい。あと、将来的にこの力を使って悪者になったら太刀打ちできないので常日頃から困っている人には助けてあげるようにと言い聞かせている。
うん分かったーっと相変わらず間延びした声で本当にわかってるのかどうか不安ではあったが、そこは素直ないい子であった。
彼は良いことをしたという主張は全くしない(兄さんが言ってたからしただけだしと言っている)が、領地で雨漏りを治したとか農業の手伝いをしたとかお父様から自慢げに話を聞く。
素直でいい子なんだ。俺もそんな弟を持って鼻が高い。
そんな俺の言葉に素直に従っていたからか、危ない綱渡りを彼はした。
王族からの招待で出席せざるを得ないが、まともな正装を父、母、俺だけ用意するのが精いっぱい。
王都に屋敷なんてものはないので親戚(お母様の兄)の屋敷にお泊りという形で王都にやってきた。仕方ないことだけど。
伯父夫婦は、母と俺には優しい。
というのも母は、昔大層モテていた。それが伯父にとっては自慢だったし、伯母に関してはお母様のファンだった。爵位も資金もある貴族であったのに、態々その中から貧乏貴族の父に嫁いだことを良しとしていないのだ。俺は母と同じ赤色の髪であったことで母の子供だと認識されているので優しい。
でも、弟は違う。
父とも母とも似ていない髪色で生まれてしまい、親戚一同非難されている。とはいえ、産んだのは母であるのは確かだし、そんなモテモテの母の不義を疑うものなどいない。だが、父と一緒になったからだと噂が立つ。まあ、それだけが要因ではないのだが……。
「ベル、気に入らないからって伯父夫婦の子供を殴っちゃだめだよ?」
「え?うん分かった」
その数時間後、伯父夫婦の子供をベルは泣かせていた。
鼻水と涙で顔がべしょべしょで頬が赤く腫れあがっていた伯父夫婦の子供、ライリーは俺を見るとすぐに飛んできて俺の後ろに隠れる。その後を追うようにベルが手をパーにしてやってきたので慌てて止めた。
「ベル!!」
「殴ってない」
くそ、このお馬鹿さん!本当に言葉通りでしか受け止めてない!!
「暴力はだめって意味!!」
「……殴られたのに?」
「殴ってない!!こいつがいきなり殴りかかってきたんだ!!ねえ!僕の事信じるよね!?ギルお兄様!!」
「嘘つくなよ、お前」
「嘘じゃないもん!!」
そういうライリーはふくれっ面で相変わらずの嘘つきだ。弟はやられたら倍でやり返すことはあるが無意味な暴力はしない。つまりは最初に殴られたのだろう。見れば綺麗な顔の頬が若干赤くなっている。だが、ここで弟側に行くのはよくない。
「ベル!ライリーに謝りなさい」
「えー……」
「ベル!!」
俺が強くそう言うとベルは不思議そうな顔をしてからはっと何かに気付いてような顔をして頭を下げた。
「ごめんなさい!」
「そんな言葉で……っ!」
「ライリー、ベルは謝ったから、ね?伯父さんが呼んでたよ?」
「……はぁい」
そう言うとライリーは渋々離れていった。ベルはライリーが去るまで頭を下げていた。偉い。しかもライリーよりも年下なのに、我慢させるなんてお兄ちゃんとして最低だな……。
「ベル、さっきは……」
「俺より弱いから優しくしろってことでしょ?分かってるよ」
「……それ、ライリーには言わないでね?」
「? ライリーって誰?」
「ベル……」
さっきの子供だよ。
ベルがお馬鹿さんでよかった。後こういうこと気にしない子で。でも、ベルばっかり我慢させてる。
今回の舞踏会だって、ベルの狩りによって賄えられたお金なのに、ベルには還元できていないのが申し訳ない。申し訳ないから魔装具を作ってるんだけど、そんなの俺の趣味の延長でもあるから……。
ぎゅうっと抱きしめるとベルも同じようにぎゅっとしてから魔装具を装備して頬の傷を治した。
これも、彼は独学で得た。こういうことに関しては本当に天才だ。
「ベル大好きだよ」
「俺も兄さん大好き」
ううん!!この天使はなんて可愛いんだ!!どうしてこんなかわいい子を気に入らないのか全く分からない!!
舞踏会には伯父夫婦たちも行くのでベルだけが屋敷に取り残される。それに関してもライリーはベルに突っかかってきたけど、ベルは終始誰だこいつっという顔をしていた。ちょっと笑えた。
「じゃあベル。大人しくしてるんだよ」
「うん!!」
……?いやに元気だな。
ベルはにっこにこの笑顔でぶんぶん手を振って俺たちを見送った。そして、その彼の笑みの意味を数時間後に知ることになる。
「申し訳ありませんでした!!」
「いえいえ。此方こそ、息子を助けてくださりありがとうございます」
アゼルスフィ公爵家。この国の貴族だったら誰もが知っている名門も名門である。国が建てられた時からいる公爵家で所謂三大貴族の一つ。王族に次ぐ権力を持つ非常にまずい相手である。
父も母も、ひたすらに平謝りをしている。それにアゼルスフィ公爵様は気にしないようにと言っているがそんなことできない。
「おい。そんなに引っ付くな。動けねえ」
「でも、とっても怖くて……」
「だから、俺が絶対守るから気にすんなって言ってるじゃねーか」
「うん!」
「べ、ベル……っ!」
公爵様の次男であるヴィアン様にそんな汚い口の利き方をするなんて!今までこんなにバカなベルを後悔したことは無い。というか、バカでも困ることなんてなかった!寧ろそこが可愛いなんて言う過保護な自分を恨みたい!
「何、兄さん」
「兄さまだよね?すみませんアゼルスフィ様。少しベルをお借りしてもよろしいですか?」
「そ、そんな……」
アゼルスフィ様の悲し気にそして寂しげに涙で潤んでいる瞳を見せられて俺はうっと一瞬言葉を詰まらせる。しかし、こんな常識のない馬鹿なベルを近くに置けない。何言うか分かんないし。
「あー、ほら、ヴィアン。俺がついてるから、一旦ベルクラリーサ君を離そうか。ごめんね?ギルくん」
「……」
「すみません、ありがとうございます」
アゼルスフィ様の長男様に感謝しつつベルを回収。ベルはきょとんとした顔をしている。今まで敬語なんて使う機会なかったから絶対に分かんないよね。やべえどうしよう。
「ベル。あの人は偉い人だから、いい子にしてないとダメだよ?」
「いい子……どうすればいいの?」
「とりあえずお兄ちゃんの傍にいようね?」
「うん」
ぎゅっとベルが俺の手を握ってきた。離れないという意思表示だ。とりあえず受け答えは俺がするとして……、と考えていたらぞわっと寒気がした。ばっとそちらを見るとじいいっと次男様の方に睨まれている気がする。
え?何か選択間違えた?
「……兄さま、あいつのとこ行っていい?」
「あいつじゃなくてアゼルスフィ様!」
「……行っていい?」
名前めんどくさくなって呼ばなくなったな。全く。でもできれば避けたいんだけど、めっちゃ見てくるからこれ行った方がいいな。
俺はベルと一緒に彼の元に行った。
すると、次男様はぎゅうっと俺と握っている手とは反対のベルの手を握った。
「ベルちゃんと離れるのが怖い……」
「じゃあ家まで送ってやるよ」
ベル!!静かにしてとは言ってなかったから仕方ないけどその話し方はだめだってば!!
「いいの?」
「ああ。兄さん……じゃなくて兄さま、いいよね?」
「そ、れは……っ!」
どうすれば!お父様お母様!助けて!!そう思って視線をずらすと長男様の方と目が合った。彼は俺と目が合うと頷いて俺の肩にポンっと手を置く。
「ちょっとあっちで話しよう?」
「え!い、いえ、その……」
ベルを置いていけない!何しでかすか分かんない!
そんな俺の気持ちが伝わったのか長男様はこそっと耳打ちしてくる。
「弟君のことが心配なのは分かるけど、ヴィアン相当気に入ってるみたいで逆に引きはがすと何されるか分かんないよ」
「え……?」
ど、どういうこと?客観的に見てベルは容姿はいい方だとしか言えないのにどこら辺が気に入ったの?
そう思ったが、確かに見て見ればベルのことを気に入っているようにも見える。睨まれたのも合点がいく……。
ならば!
「ベル、いい子にしてるんだよ?」
「うん。あ、ついでに一緒に行っていいか聞いといて」
「うん……」
困っている人は助けるようにとは言ったが、ここまでとは……。
そしてあれよあれよという間に婚約者になるなんて思わない。
本当にベルでいいのかと、家族一同そう思っているので結婚式、及び婚姻届けは待って貰っている。もっとふさわしい子になってからという思いだ。
だから騎士団に入れて少しでも他の人と友好関係を築くというのが目下の目的であったが、弟は、楽をしたいからという理由であろうことかライリーを模範としたバカ貴族を演じている。バカだ!!こいつバカだ!!
しかも、黒衣の騎士だなんて言われているのに全く気付いていないし!!これで、弟がそれだって気づいたらどうなるんだろうか。ああ、考えたくない!!
本当天才って変人すぎる!!
265
あなたにおすすめの小説
ちっちゃな婚約者に婚約破棄されたので気が触れた振りをして近衛騎士に告白してみた
風
BL
第3王子の俺(5歳)を振ったのは同じく5歳の隣国のお姫様。
「だって、お義兄様の方がずっと素敵なんですもの!」
俺は彼女を応援しつつ、ここぞとばかりに片思いの相手、近衛騎士のナハトに告白するのだった……。
婚約破棄されてヤケになって戦に乱入したら、英雄にされた上に美人で可愛い嫁ができました。
零壱
BL
自己肯定感ゼロ×圧倒的王太子───美形スパダリ同士の成長と恋のファンタジーBL。
鎖国国家クルシュの第三王子アースィムは、結婚式目前にして長年の婚約を一方的に破棄される。
ヤケになり、賑やかな幼馴染み達を引き連れ無関係の戦場に乗り込んだ結果───何故か英雄に祭り上げられ、なぜか嫁(男)まで手に入れてしまう。
「自分なんかがこんなどちゃくそ美人(男)を……」と悩むアースィム(攻)と、
「この私に不満があるのか」と詰め寄る王太子セオドア(受)。
互いを想い合う二人が紡ぐ、恋と成長の物語。
他にも幼馴染み達の一抹の寂寥を切り取った短篇や、
両想いなのに攻めの鈍感さで拗れる二人の恋を含む全四篇。
フッと笑えて、ギュッと胸が詰まる。
丁寧に読みたい、大人のためのファンタジーBL。
他サイトでも公開しております。
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
過労死研究員が転生したら、無自覚チートな薬草師になって騎士様に溺愛される件
水凪しおん
BL
「君といる未来こそ、僕のたった一つの夢だ」
製薬会社の研究員だった月宮陽(つきみや はる)は、過労の末に命を落とし、魔法が存在する異世界で15歳の少年「ハル」として生まれ変わった。前世の知識を活かし、王立セレスティア魔法学院の薬草学科で特待生として穏やかな日々を送るはずだった。
しかし、彼には転生時に授かった、薬草の効果を飛躍的に高めるチートスキル「生命のささやき」があった――本人だけがその事実に気づかずに。
ある日、学院を襲った魔物によって負傷した騎士たちを、ハルが作った薬が救う。その奇跡的な効果を目の当たりにしたのは、名門貴族出身で騎士団副団長を務める青年、リオネス・フォン・ヴァインベルク。
「君の知識を学びたい。どうか、俺を弟子にしてくれないだろうか」
真面目で堅物、しかし誰より真っ直ぐな彼からの突然の申し出。身分の違いに戸惑いながらも、ハルは彼の指導を引き受ける。
師弟として始まった二人の関係は、共に過ごす時間の中で、やがて甘く切ない恋心へと姿を変えていく。
「君の作る薬だけでなく、君自身が、俺の心を癒やしてくれるんだ」
これは、無自覚チートな平民薬草師と、彼を一途に愛する堅物騎士が、身分の壁を乗り越えて幸せを掴む、優しさに満ちた異世界スローライフ&ラブストーリー。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる