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番外編
弟がやらかした SIDE兄
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うちの弟にしては何事も無くことが進んだと思っていた。
三日も会っていなければ誰かを忘れる鳥頭の弟がその人だけはいつも出迎えてにこにこ笑顔で俺と一緒に談笑すると思ったら、彼は大きな勘違いをしていた。
そう、致命的な勘違いだ。
「兄さーん!兄さんの友達来たよ~!!」
「は……っ!?」
な、なんて言いやがりましたこの子は。聞き間違いかと思ったが、そう言われた人物が笑顔のまま固まったので俺の聞き間違いではなさそうだ。
あ、あああ。あああああああっ!!
にこにこ笑顔でぶんぶん手を振りながらこちらにやってくる弟に顔色が悪くなっていくのを感じる。
「……? 兄さんどうしたの?」
「お、おま、お前!おまえ!!!」
「????」
俺がこんなに声をあげているのに何か怒っているということを感じているのは分かっているベルはしかし首を傾げていた。その後ろをにこにこ笑顔でついてくるヴィアンさんにひいっと悲鳴を上げる。
お、おおお、怒ってらっしゃるうううっ!
あんなに優しくしてくれたのに何でこいつは何も覚えてないわけ!?怖いよ!俺の弟怖いよ!!
「兄さん! 兄さんの友……」
「ヴィアンさん!!」
「……???? ヴィ、アン、さん……????」
弟違う!!お前はそんな呼び方してなかっただろう!?なんでそれすら覚えてないんだよ!!
ベルが首を傾げながらヴィアンさんをそう呼んだ。俺の言いたいことは全く伝わっていない。
俺はヴィアンさんを見る。ヴィアンさんはニッコリ笑顔でベルを見ていた。
「ヴィで構わないよ、ベルちゃん」
「ヴィ?」
ベルが俺を見る。俺は全力で頷いておいた。俺の友達じゃないからその人。お前の婚約者になってくれた人だから!!
恐れ多くも、ただ単に誘拐されかけたヴィアンさんを救ったというだけで婚約者という立場になれた運のいい貧乏貴族なだけなんだからね!?弟はそれをいまいちわかってない!
基本的に他人どうでもいい子だからね!まあそのお陰で赤色の髪の父母から突然変異であんな髪色に生まれて親戚で色々言われても気にしてないんだろうけど。
「今日はお菓子を持ってきました」
「おかし!!」
「ベル!!わ、態々済みません!」
きらんっとヴィアンさんの言葉に目を輝かせたベルがそう声をあげるので彼を制して頭を下げさせる。
本当は宮廷のパーティーの期間だけ借りていた屋敷から領地に帰る予定ではあった。しかし、婚約したからっという理由だけで王都の屋敷をもらい受け維持費も公爵もちという高額プレゼントを貰ったおかげでまだ王都にいられる。あ、父は領地に帰ったけど。
「大丈夫ですよ。お義兄様」
「う、お……っ」
年上なのにそう呼ばれるのが慣れない。むず痒いどころか蕁麻疹出そう。どうしてこんなことに……。腹痛やばい。
「あっ」
「―――っ!」
ヴィアンさんが階段の段差に躓いた。ベルがさっといつものように手を差し伸べる。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう」
怪我をさせるかと思った。俺はひやひやしながら彼らの動向を見守りつつ、ベルがいつもの場所にヴィアンさんを連れた。
多大な恩恵を与えて貰っているというのに弟は全くそれを意に介さない。というか、上下関係何それ?状態だ。教育という教育をしないで狩りばかりやっていた弟にいきなり貴族社会のあれこれをやらせることが難しいとはいえ、最低限はやらせておくべきだった!!ここで母さんか父さんがいたら卒倒しているところだろう。俺も倒れたいが、そうなったら弟が何しでかすか分からない。
もしかしたらヴィアンさんを危険区域に連れていくかもしれない!そうなったら胃痛どころの話ではない。
「そういえば、手土産に最近できたお菓子屋さんの焼き菓子を持ってきたよ。ベルちゃんの口に合うといいけど……」
「焼き菓子!美味しそう!」
ベルとヴィアンさんが隣同士で座りその真正面に俺が座った。最初はベルが俺の隣に座ろうとしたのでクッション置いて阻止した。え?と顔をされてクッションをどかされる前にヴィアンさんが声をかけたからいいものの、寿命が確実に減りました。弟のせいで。
そんな事を思い出していると使用人(公爵様が手配してくれた)が焼き菓子と紅茶ポットを持ってきた。あと、弟の為にオレンジジュース。紅茶はまだ苦いらしい。
ヴィアンさんが持ってきたというお菓子はクッキーに半分ほどチョコレートがかけられてそこにデコレーションされているものだ。弟が好きな甘い物。案の定目をキラキラさせてベルは俺を見た。
俺じゃなくて持ってきたヴィアンさんを見ようね?
ちらっとヴィアンさんを見ると弟も倣ってヴィアンさんを見る。ヴィアンさんはニッコリ笑顔で「どうぞ」っと声をかけた。
「いただきます!!」
許しを得たベルはすぐにその焼き菓子を手にした。そして大きな口を開けて頬張る。
美味しいようでとってもお目目がキラキラである。その表情はわが弟ながらかわいい。
うちの子、外見は天使だからな~。これでも領地ではモテモテだし。当たり前のことをしているだけだと言って畑の手伝いとか害獣駆除とかを積極的に行っているからというのもあるが、綺麗で可愛くて強くて優しいなんて最強の組み合わせで、同年代の子供たちには憧れの存在になっている。とはいえ、貴族社会でもそれが通じるとは思わない。寧ろ彼の魅力というのはマイナスになってしまう。特に容姿なんかどう考えても妬みの対象にしかならない。
現に、親戚には不評だ。髪の色が違うというのも相まって虐めているのだが、弟がいつも誰だっけ?という顔をしてからムカついたから殴るという所業を働くのでいつも謝っている。しかも、非がないベルに謝らせていたり、頭を下げさせたりもしている。
だから、今回ヴィアンさんが婚約者になったのはかなりプラスであった。ヴィアンさんも公爵さま夫妻やお兄さんと色違いの髪色を持っているのだ。これから髪のことで何か言われたらヴィアンさんを引き合いに出してしまおう、と密かに思っている。これで奴らの悔しそうな顔が見られると思うとスカッとする。が、あまりにも恩恵がありすぎて申し訳なさの方が勝る。
「美味しい?」
「美味しい!!」
「そっか。ところで、僕の屋敷の夕食で珍しい食材が手に入ったから良かったら今晩来ない?」
「いいの!?」
待った!!と大きな声で止めたかった。こんな状況になったので最低限のマナーを教えているが他所のところにいって披露するまで上達はしていない。そんな状態の子を侯爵様に送っていいのだろうか。
ベルが行きたそうに俺を見ている。う。でもこれは流石に家族会議を開かないとまずいのでは……。
「お義兄様も一緒に来ますか?」
「い!?いいいいえ!!」
あ、しまった!!反射的に断ってしまった!!ベルのことを思えばついていくのがよかったのに、でもでも公爵様たちの圧力に俺は耐えられない!!
「じゃあ俺だけ行きたい!兄さんいい?」
「う……ん……」
了承するしかない。父さん母さんごめん。手土産どうにか用意するからベルに粗相がない様にって言い聞かせるしかない。
その日を境に、ヴィアン様は毎日来るようになった。しかも必ずベルを夕飯に誘う。兄さんの友達認識があまりにも衝撃だったようだ。俺も同じだ。というか、流石に終わったと思った。それでもヴィアンさんはベルを見限ることもなく、寧ろ好意的に接してくれるので、もう俺たちの中ではヴィアンさんを優先するのが当たり前だ。
こんなお馬鹿なベルを引き取ってくれるのはもうヴィアンさんしかいない!!
ヴィアンさん、本当にありがとう!!こんなお馬鹿の度を越えているベルの婚約者になってくださって本当にありがとうございます!!
三日も会っていなければ誰かを忘れる鳥頭の弟がその人だけはいつも出迎えてにこにこ笑顔で俺と一緒に談笑すると思ったら、彼は大きな勘違いをしていた。
そう、致命的な勘違いだ。
「兄さーん!兄さんの友達来たよ~!!」
「は……っ!?」
な、なんて言いやがりましたこの子は。聞き間違いかと思ったが、そう言われた人物が笑顔のまま固まったので俺の聞き間違いではなさそうだ。
あ、あああ。あああああああっ!!
にこにこ笑顔でぶんぶん手を振りながらこちらにやってくる弟に顔色が悪くなっていくのを感じる。
「……? 兄さんどうしたの?」
「お、おま、お前!おまえ!!!」
「????」
俺がこんなに声をあげているのに何か怒っているということを感じているのは分かっているベルはしかし首を傾げていた。その後ろをにこにこ笑顔でついてくるヴィアンさんにひいっと悲鳴を上げる。
お、おおお、怒ってらっしゃるうううっ!
あんなに優しくしてくれたのに何でこいつは何も覚えてないわけ!?怖いよ!俺の弟怖いよ!!
「兄さん! 兄さんの友……」
「ヴィアンさん!!」
「……???? ヴィ、アン、さん……????」
弟違う!!お前はそんな呼び方してなかっただろう!?なんでそれすら覚えてないんだよ!!
ベルが首を傾げながらヴィアンさんをそう呼んだ。俺の言いたいことは全く伝わっていない。
俺はヴィアンさんを見る。ヴィアンさんはニッコリ笑顔でベルを見ていた。
「ヴィで構わないよ、ベルちゃん」
「ヴィ?」
ベルが俺を見る。俺は全力で頷いておいた。俺の友達じゃないからその人。お前の婚約者になってくれた人だから!!
恐れ多くも、ただ単に誘拐されかけたヴィアンさんを救ったというだけで婚約者という立場になれた運のいい貧乏貴族なだけなんだからね!?弟はそれをいまいちわかってない!
基本的に他人どうでもいい子だからね!まあそのお陰で赤色の髪の父母から突然変異であんな髪色に生まれて親戚で色々言われても気にしてないんだろうけど。
「今日はお菓子を持ってきました」
「おかし!!」
「ベル!!わ、態々済みません!」
きらんっとヴィアンさんの言葉に目を輝かせたベルがそう声をあげるので彼を制して頭を下げさせる。
本当は宮廷のパーティーの期間だけ借りていた屋敷から領地に帰る予定ではあった。しかし、婚約したからっという理由だけで王都の屋敷をもらい受け維持費も公爵もちという高額プレゼントを貰ったおかげでまだ王都にいられる。あ、父は領地に帰ったけど。
「大丈夫ですよ。お義兄様」
「う、お……っ」
年上なのにそう呼ばれるのが慣れない。むず痒いどころか蕁麻疹出そう。どうしてこんなことに……。腹痛やばい。
「あっ」
「―――っ!」
ヴィアンさんが階段の段差に躓いた。ベルがさっといつものように手を差し伸べる。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう」
怪我をさせるかと思った。俺はひやひやしながら彼らの動向を見守りつつ、ベルがいつもの場所にヴィアンさんを連れた。
多大な恩恵を与えて貰っているというのに弟は全くそれを意に介さない。というか、上下関係何それ?状態だ。教育という教育をしないで狩りばかりやっていた弟にいきなり貴族社会のあれこれをやらせることが難しいとはいえ、最低限はやらせておくべきだった!!ここで母さんか父さんがいたら卒倒しているところだろう。俺も倒れたいが、そうなったら弟が何しでかすか分からない。
もしかしたらヴィアンさんを危険区域に連れていくかもしれない!そうなったら胃痛どころの話ではない。
「そういえば、手土産に最近できたお菓子屋さんの焼き菓子を持ってきたよ。ベルちゃんの口に合うといいけど……」
「焼き菓子!美味しそう!」
ベルとヴィアンさんが隣同士で座りその真正面に俺が座った。最初はベルが俺の隣に座ろうとしたのでクッション置いて阻止した。え?と顔をされてクッションをどかされる前にヴィアンさんが声をかけたからいいものの、寿命が確実に減りました。弟のせいで。
そんな事を思い出していると使用人(公爵様が手配してくれた)が焼き菓子と紅茶ポットを持ってきた。あと、弟の為にオレンジジュース。紅茶はまだ苦いらしい。
ヴィアンさんが持ってきたというお菓子はクッキーに半分ほどチョコレートがかけられてそこにデコレーションされているものだ。弟が好きな甘い物。案の定目をキラキラさせてベルは俺を見た。
俺じゃなくて持ってきたヴィアンさんを見ようね?
ちらっとヴィアンさんを見ると弟も倣ってヴィアンさんを見る。ヴィアンさんはニッコリ笑顔で「どうぞ」っと声をかけた。
「いただきます!!」
許しを得たベルはすぐにその焼き菓子を手にした。そして大きな口を開けて頬張る。
美味しいようでとってもお目目がキラキラである。その表情はわが弟ながらかわいい。
うちの子、外見は天使だからな~。これでも領地ではモテモテだし。当たり前のことをしているだけだと言って畑の手伝いとか害獣駆除とかを積極的に行っているからというのもあるが、綺麗で可愛くて強くて優しいなんて最強の組み合わせで、同年代の子供たちには憧れの存在になっている。とはいえ、貴族社会でもそれが通じるとは思わない。寧ろ彼の魅力というのはマイナスになってしまう。特に容姿なんかどう考えても妬みの対象にしかならない。
現に、親戚には不評だ。髪の色が違うというのも相まって虐めているのだが、弟がいつも誰だっけ?という顔をしてからムカついたから殴るという所業を働くのでいつも謝っている。しかも、非がないベルに謝らせていたり、頭を下げさせたりもしている。
だから、今回ヴィアンさんが婚約者になったのはかなりプラスであった。ヴィアンさんも公爵さま夫妻やお兄さんと色違いの髪色を持っているのだ。これから髪のことで何か言われたらヴィアンさんを引き合いに出してしまおう、と密かに思っている。これで奴らの悔しそうな顔が見られると思うとスカッとする。が、あまりにも恩恵がありすぎて申し訳なさの方が勝る。
「美味しい?」
「美味しい!!」
「そっか。ところで、僕の屋敷の夕食で珍しい食材が手に入ったから良かったら今晩来ない?」
「いいの!?」
待った!!と大きな声で止めたかった。こんな状況になったので最低限のマナーを教えているが他所のところにいって披露するまで上達はしていない。そんな状態の子を侯爵様に送っていいのだろうか。
ベルが行きたそうに俺を見ている。う。でもこれは流石に家族会議を開かないとまずいのでは……。
「お義兄様も一緒に来ますか?」
「い!?いいいいえ!!」
あ、しまった!!反射的に断ってしまった!!ベルのことを思えばついていくのがよかったのに、でもでも公爵様たちの圧力に俺は耐えられない!!
「じゃあ俺だけ行きたい!兄さんいい?」
「う……ん……」
了承するしかない。父さん母さんごめん。手土産どうにか用意するからベルに粗相がない様にって言い聞かせるしかない。
その日を境に、ヴィアン様は毎日来るようになった。しかも必ずベルを夕飯に誘う。兄さんの友達認識があまりにも衝撃だったようだ。俺も同じだ。というか、流石に終わったと思った。それでもヴィアンさんはベルを見限ることもなく、寧ろ好意的に接してくれるので、もう俺たちの中ではヴィアンさんを優先するのが当たり前だ。
こんなお馬鹿なベルを引き取ってくれるのはもうヴィアンさんしかいない!!
ヴィアンさん、本当にありがとう!!こんなお馬鹿の度を越えているベルの婚約者になってくださって本当にありがとうございます!!
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そうですね。ベルは度の過ぎたおバカですが、いわゆる周りの教育のせいとも言えます(笑)
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ある意味やばい環境に彼はいます(笑)
無自覚鈍感超絶おバカなベルに彼らが育てました(笑)
あと、本人の性格上基本的に他人どうでもいいと思っているので覚えようという意識が特に低いので、すぐに忘れます。
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ベルのおバカな仕組みはこんな感じです(笑)
求められてないと思いますが、語れて嬉しかったです。
長々と失礼しました!!
番外編書いたので良かったら見てください!
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ありがとうございます!
色々と生活が変わったので更新が遅くなりました。
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