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因縁の人と幸せ
三、
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事務局に着く頃には、ロビンはケロッとしていた。少し鼻歌交じりで、悲しいことを隠そうとしているのか、あるいは本当に楽しんでいるのか・・・?
「どんなスーツにするか決めたか?」
「僕もいいんですか?」
「いいさ。バディだもん。考えたか?俺はトリコロールカラーのレジメンタルにしようと思って。ちょっと地味かなあ・・・」
「いや、シックなかんじでいいっす。派手めのシャツで合わせたら最高っす。」
「シャツは黄色に白のドットでネクタイはピンク。」
「絶対イケるっす。」
「エーゴは?」
「ブルーとグリーンの千鳥格子ってどう思います?」
「いいよ。かっこいいよ。」
「シャツは紫色。」
「すごくいいよ。」
バルビンバーが僕らの間に割って入ってきた。相変わらず小さくて、机に首だけが乗っかっている感じだ。
「君たちは楽しそうでいいね・・・」
すごくキツイ花の香りがして、その香りに僕たちはバルビンバーから4歩離れた。
「僕はブルーだよ。嫌なことばっかりだ。」
「自分のせいでなったことだろう。」
「僕はしばらくあのハイテクマシンは封印するよ。明日から縄にするから僕も、君たちにまぜてくれよ。」
「エーゴで手いっぱいなんだ。他、当たってくれ。」
「もう一人くらい増えたってどうってことないだろ。」
「ムリだろう。もっと要領のいい奴と組めよ。そうだ、セスカと組めよ、こないだも仲良く一緒に歩いていたじゃないか。彼は俺なんかより全然できる。」
二人が向いた方には、眼鏡をかけた長身の男が歩いていた。赤のセーターに赤のパンツ赤のコートを羽織っていかにも賢そうだ。
「おーいセスカ。」
手を挙げてロビンが呼ぶと、セスカはゆっくりとこちらに向かって歩いて来た。
「バルビンバーが君と組みたいらしい。」
彼はちらりとバルビンバーを見たが、その話には触れず僕を見て
「彼がマーブルの新しいバディかい?」
そう言うと、脚の先から頭の先までゆっくりと視線を動かした。
「ああ エーゴだ。」
「よろしく。」
僕の前差し出された彼の指のほとんどに、指輪がはめられていた。
「よろしくお願いします。」
彼の手を握った。握ったというより指先が少し触れた程度で彼は、手をポケットにしまい去っていった。
「ダメみたいだなぁ。残念。」
「いや、君がいいんだ。」
「ごめん。俺達、急いでいるんだ。」
バルビンバーを冷たく振り切り、受付に向かった。
「ラッキ~、ピンクが空いてるぞ!」
ピンクと書かれた看板の下へ急いで向かったが、
「マーブル・マービー・ケルン!!エーゴ!!」
と大きな声で呼び止められた。
声の主は、やはりというべきかグリーンだった。
ロビンに背中を押され、僕が少し前、ロビンは半身を僕で隠れるようにグリーンの前に行った。
「なんでスグココへ来ないの?ずっと待っているのに。」
「ごめんなさい 気が付かなくて。」
「まあいいわ、今日も可愛いから許す。今日も頑張ったわね。スーツも新調できる。ん?トリコロール?シャツは紫・・・?まあいいわ、変わっているのはあんた達だけじゃないものね。
今日からまたあの爺さんのところが始まったわね。頑固爺。」
「大丈夫。やり方はしっかり教わっているから。」
「がんばりなさいよ。」
「帰りにカレーの材料をもらって帰りたいんだ。エーゴがカレー作ってくれる。
今日まで行っていたレストランが、カレーのいい香りがしていて、もーすごく食べたくて・・・」
「カレー。いいわね。でも食べ過ぎないようにね、悪魔にスパイスはよくないから。
スーパー行くの、はじめてでしょう。はいこれミールクーポン。これで引き換えてね。コレ、スーパーまでの地図。」
「ありがとうグリーン。」
二人の書類にパンパンと今日も思い切りの力でハンコを押した。今日の仕事もこれで終わりだ。
「最近、天使がスーパーの辺でウロウロしているらしいから気をつけてね。
暗くなるまえに帰るのよ。会ってしまったら全速力で逃げる。いいわね。」
ミス・グリーンは受付のカウンターから身を乗り出して手を振った。
「振り返るなよ。」
ロビンは僕の背中に手を回して言った。言われるとなぜか振り返りたくなってしまう。
「ねえ、カレーってなに?僕も君たちの家に行っていいかい?」
イライラするほどのキツイ花の匂いをさせてまたバルビンバーが近づいてきた。
「まだ行くところがあるから、じゃあな。」
ロビンに手を引かれ走った。バルビンバーは事務局の玄関に置き去りにした。本当に付きまとわれるとしつこいやつだ。しかも今日は香水がきつくてよけいいらいらする。
ロビンと少し飛びながら地図を辿りスーパーまで行った。アパートからは少しだけ遠かった。
「ロビンでも行った事のない場所があるんだ。」
「だって、ごはん作れないんだ。必要ないだろ。」
「そうだけど。」
「あと、欲しいものはもらえるし、そこへ行っているより、早く家に帰ってテレビが見たいし。」
「悪魔の中には料理を作る人っていないのか?」
「さア?ほかの人のことはあまりわからない。なれなれしくしてくるやつは、バルビンバーのようなやつだし、セスカみたいなやつはクールで友達にもなってもらえない。友達になってしつこくされるのもめんどくさいしな。
俺はずっと晩御飯はテイクアウトなんだ。あの喫茶店意外にも悪魔が利用できるレストランはいっぱいあるんだぞ。
でもどんなにメニューが豊富なレストランでもカレーだけはないんだ。だから今日はとてもうれしいよ。」
「でも、グリーンはカレーを知ってましたね。」
「グリーンはキャリアが長いから、なんでも知っているんだ。頼りになるよ。とても親切だし。」
「じゃなんでさっきピンクに行こうとしたんっすか?」
「だって、女の子と話ができるのはあそこだけだろ。女の悪魔とすれ違ったか?」
「そう言えば・・・」
「だったらちょっとでも見た目かわいい方がよくないか?」
「それは・・・そうっす・・・」
「まあちょっとの見た目の差だけで、年齢とかあんまり変わらないとおもうけど。」
「はぁ?」
「ピンクは可愛いだろ。ほっぺがぷっくりして、目がくりっとしてる。
だけど、ずっとずーっと前からあのままなんだぜ。やっぱり悪魔だよ。
でも、不思議なのはグリーンがなぜあの見た目を選んだかなんだよなー。ピンクみたいな顔してれば毎日喜んで行くのに。」
「ピンクさんはどんな感じの人なんですか。」
「知らないんだ。あれだけのカウンターがあるのに、グリーンとしか話しをしたことがないんだ。まあ、明日もピンクを挑戦はしてみるけどね。」
スーパーについてもずっと話しをしながらあれやこれや手あたり次第カゴに入れていたら、袋4つの大荷物になった。
「カレーはこんなにいっぱい材料がいるのか・・・」
違う・・・これはロビンが籠にポイポイ入れていったものだ。たまねぎ、にんじん、ジャガイモ、肉、カレー粉、米くらいでいいのに、なにがこの袋にはいっているのかひょっとしたらロビンにもわかっていないのかもしれない。
「どんなスーツにするか決めたか?」
「僕もいいんですか?」
「いいさ。バディだもん。考えたか?俺はトリコロールカラーのレジメンタルにしようと思って。ちょっと地味かなあ・・・」
「いや、シックなかんじでいいっす。派手めのシャツで合わせたら最高っす。」
「シャツは黄色に白のドットでネクタイはピンク。」
「絶対イケるっす。」
「エーゴは?」
「ブルーとグリーンの千鳥格子ってどう思います?」
「いいよ。かっこいいよ。」
「シャツは紫色。」
「すごくいいよ。」
バルビンバーが僕らの間に割って入ってきた。相変わらず小さくて、机に首だけが乗っかっている感じだ。
「君たちは楽しそうでいいね・・・」
すごくキツイ花の香りがして、その香りに僕たちはバルビンバーから4歩離れた。
「僕はブルーだよ。嫌なことばっかりだ。」
「自分のせいでなったことだろう。」
「僕はしばらくあのハイテクマシンは封印するよ。明日から縄にするから僕も、君たちにまぜてくれよ。」
「エーゴで手いっぱいなんだ。他、当たってくれ。」
「もう一人くらい増えたってどうってことないだろ。」
「ムリだろう。もっと要領のいい奴と組めよ。そうだ、セスカと組めよ、こないだも仲良く一緒に歩いていたじゃないか。彼は俺なんかより全然できる。」
二人が向いた方には、眼鏡をかけた長身の男が歩いていた。赤のセーターに赤のパンツ赤のコートを羽織っていかにも賢そうだ。
「おーいセスカ。」
手を挙げてロビンが呼ぶと、セスカはゆっくりとこちらに向かって歩いて来た。
「バルビンバーが君と組みたいらしい。」
彼はちらりとバルビンバーを見たが、その話には触れず僕を見て
「彼がマーブルの新しいバディかい?」
そう言うと、脚の先から頭の先までゆっくりと視線を動かした。
「ああ エーゴだ。」
「よろしく。」
僕の前差し出された彼の指のほとんどに、指輪がはめられていた。
「よろしくお願いします。」
彼の手を握った。握ったというより指先が少し触れた程度で彼は、手をポケットにしまい去っていった。
「ダメみたいだなぁ。残念。」
「いや、君がいいんだ。」
「ごめん。俺達、急いでいるんだ。」
バルビンバーを冷たく振り切り、受付に向かった。
「ラッキ~、ピンクが空いてるぞ!」
ピンクと書かれた看板の下へ急いで向かったが、
「マーブル・マービー・ケルン!!エーゴ!!」
と大きな声で呼び止められた。
声の主は、やはりというべきかグリーンだった。
ロビンに背中を押され、僕が少し前、ロビンは半身を僕で隠れるようにグリーンの前に行った。
「なんでスグココへ来ないの?ずっと待っているのに。」
「ごめんなさい 気が付かなくて。」
「まあいいわ、今日も可愛いから許す。今日も頑張ったわね。スーツも新調できる。ん?トリコロール?シャツは紫・・・?まあいいわ、変わっているのはあんた達だけじゃないものね。
今日からまたあの爺さんのところが始まったわね。頑固爺。」
「大丈夫。やり方はしっかり教わっているから。」
「がんばりなさいよ。」
「帰りにカレーの材料をもらって帰りたいんだ。エーゴがカレー作ってくれる。
今日まで行っていたレストランが、カレーのいい香りがしていて、もーすごく食べたくて・・・」
「カレー。いいわね。でも食べ過ぎないようにね、悪魔にスパイスはよくないから。
スーパー行くの、はじめてでしょう。はいこれミールクーポン。これで引き換えてね。コレ、スーパーまでの地図。」
「ありがとうグリーン。」
二人の書類にパンパンと今日も思い切りの力でハンコを押した。今日の仕事もこれで終わりだ。
「最近、天使がスーパーの辺でウロウロしているらしいから気をつけてね。
暗くなるまえに帰るのよ。会ってしまったら全速力で逃げる。いいわね。」
ミス・グリーンは受付のカウンターから身を乗り出して手を振った。
「振り返るなよ。」
ロビンは僕の背中に手を回して言った。言われるとなぜか振り返りたくなってしまう。
「ねえ、カレーってなに?僕も君たちの家に行っていいかい?」
イライラするほどのキツイ花の匂いをさせてまたバルビンバーが近づいてきた。
「まだ行くところがあるから、じゃあな。」
ロビンに手を引かれ走った。バルビンバーは事務局の玄関に置き去りにした。本当に付きまとわれるとしつこいやつだ。しかも今日は香水がきつくてよけいいらいらする。
ロビンと少し飛びながら地図を辿りスーパーまで行った。アパートからは少しだけ遠かった。
「ロビンでも行った事のない場所があるんだ。」
「だって、ごはん作れないんだ。必要ないだろ。」
「そうだけど。」
「あと、欲しいものはもらえるし、そこへ行っているより、早く家に帰ってテレビが見たいし。」
「悪魔の中には料理を作る人っていないのか?」
「さア?ほかの人のことはあまりわからない。なれなれしくしてくるやつは、バルビンバーのようなやつだし、セスカみたいなやつはクールで友達にもなってもらえない。友達になってしつこくされるのもめんどくさいしな。
俺はずっと晩御飯はテイクアウトなんだ。あの喫茶店意外にも悪魔が利用できるレストランはいっぱいあるんだぞ。
でもどんなにメニューが豊富なレストランでもカレーだけはないんだ。だから今日はとてもうれしいよ。」
「でも、グリーンはカレーを知ってましたね。」
「グリーンはキャリアが長いから、なんでも知っているんだ。頼りになるよ。とても親切だし。」
「じゃなんでさっきピンクに行こうとしたんっすか?」
「だって、女の子と話ができるのはあそこだけだろ。女の悪魔とすれ違ったか?」
「そう言えば・・・」
「だったらちょっとでも見た目かわいい方がよくないか?」
「それは・・・そうっす・・・」
「まあちょっとの見た目の差だけで、年齢とかあんまり変わらないとおもうけど。」
「はぁ?」
「ピンクは可愛いだろ。ほっぺがぷっくりして、目がくりっとしてる。
だけど、ずっとずーっと前からあのままなんだぜ。やっぱり悪魔だよ。
でも、不思議なのはグリーンがなぜあの見た目を選んだかなんだよなー。ピンクみたいな顔してれば毎日喜んで行くのに。」
「ピンクさんはどんな感じの人なんですか。」
「知らないんだ。あれだけのカウンターがあるのに、グリーンとしか話しをしたことがないんだ。まあ、明日もピンクを挑戦はしてみるけどね。」
スーパーについてもずっと話しをしながらあれやこれや手あたり次第カゴに入れていたら、袋4つの大荷物になった。
「カレーはこんなにいっぱい材料がいるのか・・・」
違う・・・これはロビンが籠にポイポイ入れていったものだ。たまねぎ、にんじん、ジャガイモ、肉、カレー粉、米くらいでいいのに、なにがこの袋にはいっているのかひょっとしたらロビンにもわかっていないのかもしれない。
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