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しおりを挟む「お母様!」
「お帰りなさい、クラリス。旦那様も。そして、あなたがルーク様ね。ようこそ。」
出迎えてくれた母と挨拶を交わし、ひとまずお茶を飲みながら休憩することにした。
「要点しかお手紙には書かれてなかったけど、いろいろあったみたいね。詳しく話してくれる?」
ディランとの婚約白紙、侯爵夫人が心の病で亡くなったこと、ルークとの契約結婚の内容、ジェシーの前伯爵殺害など、母の流産の経緯以外は全て話した。流産の件は、父が改めて話すと決めていた。だが…
「それだけ?ジェシーは私にも毒を持ったんじゃない?」
「…そうだな。気づくよな。ルシアが口にするものを怖がり始めた直後の父の死だった。
クラリスとディランを結婚させて伯爵家を継がせるために弟妹はいらないと姉の指示だった。」
「やっぱりね。なんとなく想像がついていたの。」
「すまなかった。きみが辛い思いをしたのに姉を止めることを諦めていたよ。
クラリスにも迷惑かけて悪かった。ルーク君、本当にありがとう。」
「終わったことだわ。あなたが泣いて謝りたいなら後でお部屋でお願いね?」
母ルシアは場を和ませようと茶化した言い方をした。こういうところが素敵だと思う。
「お母様、ルーク様のご家族とも結婚式前にご挨拶しようと思うの。」
「そうね。久しぶりに王都に行くとしましょうか。
でも社交はしないわ~。私にはあの腹の探り合いが向いてないの~。」
そういえばウエディングドレスはどんなの?とコロコロと話題が変わった。
屋敷内を案内したり、街を案内したり、特産品の説明をしたり、お気に入りの場所に連れて行ったりして、わずかな領地での時間を楽しく過ごし、王都に帰る前の夜、クラリスとルークは星が綺麗に見える丘へ散歩に出た。
「いいところだな。昼と夜と雰囲気が変わる。
この伯爵領も健全に運営されてるって思うよ。みんな、幸せそうだ。
ここをクラリスが受け継ぎ、俺たちの子供に渡す。未来を繋ぐ場所。来てよかったよ。」
「お父様ね、あと20年くらい伯爵で頑張る気でいるわ。問題が解決して若返ったように見えるし。
私を飛ばして子供が受け継ぐかもね。」
ルークは軽く笑い、いきなりクラリスを抱きしめながら言った。
「君がディランに危害を加えられそうになった時、思ったんだ。
俺の中でクラリスが締める割合がこんなに大きくなってたんだなって。
契約結婚だけど、クラリスが好きだよ。結婚するのが楽しみになってる。」
「私もルーク様が好きよ。一緒にいるとドキドキするし楽しいわ。
契約は、お互い別々の仕事を持ってるって思えばいいのよ。」
「よかった。なぁ、結婚式まで口づけはお預け?」
そう言って額に口づけた。
「唇もいい?」
クラリスがびっくりしている間に、唇にも軽く口づけされた。
見つめ合ったと思ったら、今度は少し長めに口づけられた。
繰り返しているうちに笑いながら口づけあっていた。
最後に、深く絡めて口づけて抱きしめ合った。
「ほら、結婚がもっと楽しみになっただろ?」
楽しそうに言うルークに笑ってしまう。
この人となら幸せになれる。クラリスはそう感じた。
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