3 / 23
3.
しおりを挟む魔術師長に、魔力が込められる空魔石をいくつか用意してもらった。
空魔石とは、魔力を持ったものが自分の属性魔力を魔石に移すことができる透明な魔石である。
属性によって、赤(火)・青(水)・黄(土)・緑(風)・白(治癒)に色が変わる。
日常生活のあらゆるところで使用されていて欠かせないものだ。
部屋の中には国王、クレア、魔術師長の3人だけしかいない。
何の祝福かわからないので念のためだ。
魔術師長には、クレアが女神様からの祝福を授かったことを言った。
国が乱れているから役立てるように授かったことも。
今後もいろいろと協力してもらう必要がある。
「クレア王女様からいつもと違う魔力を感じますね。
授かった魔力が体にある状態なのでしょう。魔石に移すとなくなると思いますが。」
「だよなぁ。よく見ないとわからないが。クレア、この魔石に魔力を移せるか?」
クレアの小さな手に魔石を乗せてみた。
クレアはチラッと私を見てから魔力を移し始めた。…が、魔石が割れた。
慌ててクレアの手から魔石を取り上げた。
「クレア、怪我してないか?傷は?」
「大丈夫です。…割れちゃいました。」
「…魔石では納まらないのかもしれませんね。水晶にしてみましょうか。」
魔術師長は、念のために持ってきていた水晶を取り出して手に乗せようとしたが、魔石よりも大きくて重いので手に乗せるのを躊躇した。片手では無理だろう。
「それを手に乗せるのはクレアが可哀想だな。机の上に置いた水晶にクレアが触れればいい。」
「はい。」
クレアが両手で水晶に触れて魔力を移し始めた。
少しして、ピカッと光ったのを見てクレアの手を離させた。
「クレア、体におかしなところはないか?」
「大丈夫です。割れませんでしたね。水晶はどうなったの?」
魔術師長が確認すると、水晶の中は銀色にキラキラしている。
触れてみると、緑に変わった。
「属性か?」
空魔石に属性魔力を込めた時と同じ色だった。
次に青に変わり、2属性持ちの魔術師長の属性と同じだった。
国王もクレアも試してみた。自分の属性の色に変わった。
「今更な判定装置な気がするが…」
「そうですね?他にも使い方があるのでしょうか?」
「お父様、もう一つ水晶に移していいですか?まだ授かった魔力があるの。」
「そうだな。やってみてくれ。」
クレアが水晶に魔力を移していく。また光り、同じものができた。
なんとなく並べて置いてみた。
すると、共鳴するように点滅してさっきと水晶の中のキラキラの色が違う。金色だ。
「変わったな。」
一つに国王が触れてみた。キラキラがゆっくりと回り、しばらくして治まった。
「わからん。」
国王は水晶から手を離し、考えた。
もう一つの水晶も魔術師長が触れてみたが同じだった。
「一緒に触れたらどうなる?」
国王と魔術師長はそれぞれ水晶に触れた。すると、中が黒く渦巻いて元に戻った。
「今のは何だ?」
「何でしょう?クレア王女様、こちらの水晶に陛下と一緒に触れてみてください。」
国王とクレアがそれぞれ水晶に触れた。今度は、金のキラキラが集まって渦巻いて元に戻った。
「……クレアと魔術師長が一緒に触れてみろ。」
結果は、黒く渦巻いて元に戻った。
「何人か試さないとわからないが…親子判定とか?」
「…かもしれませんね。」
「お父様……女神様はケツエン?って言っていました。国が乱れてるから役立てなさいって。」
「ケツエン?血縁だな。やっぱり親子判定か?よく思い出したな。」
そう言ってクレアの頭を撫でてやった。
「国が乱れてる。…親子ではない子が増えた?どういうことだ?」
「お父様、まだ授かった魔力があるのはどうすればいいの?」
「ああ、全部水晶に移してみよう。」
魔術師長に同じ水晶を持ってこさせた。クレアが魔力を移せたのは全部で12あった。
つまり6対である。
一人ひとり確かめるわけにはいかないぞ?どうすればいい?
323
あなたにおすすめの小説
今更戻って来いと言われても遅い、というか、その行動が無駄すぎでは?
七辻ゆゆ
ファンタジー
メグは元隣国の文官だった。しかし平民のメグは雑に扱われ、いきなり解雇された。城で一番働いてたんだけど大丈夫?
まあダメだったみたいで王子がやってきたけど、メグは思うのだ。替えの利かない労働者なんていない。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
契約結婚なら「愛さない」なんて条件は曖昧すぎると思うの
七辻ゆゆ
ファンタジー
だからきちんと、お互い納得する契約をしました。完全別居、3年後に離縁、お金がもらえるのをとても楽しみにしていたのですが、愛人さんがやってきましたよ?
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる