16 / 23
16.
しおりを挟む調査官はグラムに共犯者はいるのか確認した。
「共犯者?いない。全部俺の種だ。
どうせあの魔道具で血縁がバレるんだ。種は俺のだけ。これは本当。」
「使用人は誰も知らない?」
「客間への行き帰りで使用人に会うことはあったけど、部屋への出入りを見られたことはない。
あぁ、客間で仕込んだってバレてるんだろ?」
「夜会の参加者で泊まることになった夫婦ですね。
ひょっとすると、ただ酔っ払っただけではなく泊まるように仕向けていたんですか?」
「偶然もあれば仕向けたのもある。狙った相手ってわかるか?」
「まだ子供がいない新婚ですか?」
「そう。あいつらは絶対、避妊魔法をかけてる。
結婚して金を払うことなく女を抱けるようになったんだ。半年は楽しむだろ?
すぐに孕ませるのは仲の悪い新婚だ。見てたら分かる。
孕んでるかもしれないから、それは狙わない。」
「ですが、寝ている夫婦を起こさないようにどうやったんですか?
使用人に協力者がいないのに薬を仕込めますか?」
「どうやったんだろうな。」
グラムはニヤニヤ笑っている。
「自分の子を関係のない夫人に生ませて何がしたかったんですか?
あなたは結婚していませんよね。」
「何がしたかったんだろうな。」
まだニヤニヤ笑っている。
「妊娠するかもわからないのに手間なことをしますね。夫婦の仲違いも目的ですか?」
「それはどうだろうなぁ?」
ちょっと考えてるみたいだ。仲違い目的ではない?
「生まれた子供の人数、把握していますか?」
「何十人かな?」
「夜会の宿泊客以外でも、あなたの子供はいますか?」
「どういう意味?未婚の令嬢や平民にってこと?あーいるかも?」
「その者たちはあなたの素性を知ってる?」
「いや、知らない。行きがかりとか暇つぶしとか遊びだからな。
避妊魔法をうっかり忘れたのもあれば、わざとしなかったのもあるから妊娠してるかも。
産んだかどうかは知らないし。酔ってたらお互い曖昧だね。」
「最初はいつですか?」
「初体験ってこと?それとも種を仕込んだ最初ってこと?」
「仕込んだ方です。」
「それはー。兄が結婚してからだな。」
「お兄さんの奥様が最初?」
「いや、夜会の夫人だな。3人ほど仕込んでから義姉かな。」
「自分の子が伯爵家を継げるようにしたかった?」
「どうだろう?それも少しあったかも。ちょっと面白いだろ?俺は三男だから継げないしな。」
「お兄さんが嫌いだった?」
「いや?好きだよ。結婚しなくても追い出さないし。仕事もくれるし。」
「結婚する気はなかった?」
「学園卒業する頃には何人も生まれてたし、浮気や愛人を疑われると嫌だしな。
後つけられたら夫人たちに仕込めないし。」
「あなたは、夫人方に自分の種を仕込んで自分の子を産ませることが一番の目的だった?」
「一番か?どうだろう。増えたら面白いだろ?」
面白いが目的?さっきも言ってた。
「気づかないで兄妹で結婚するかもしれませんが?」
「あぁ、それも面白いだろ?」
また、面白い。だ。
「最初の頃の子は30歳前後ですよね。最後は?」
「腹の中?」
「最近ってことですか?」
「そう。先月かな。」
早く誰か調べないと。
「あなたは性的依存者?」
「いや?別に常に女を抱きたいわけじゃない。毎日抱いてないし、ひと月開くときもある。」
「避妊魔法をかけなかったからといって、常に妊娠するわけじゃない。
だから、あなたが思っているよりも妊娠した夫人は少ないかもしれませんよ?」
「妊娠できる体なら、うまく俺の子を孕んでくれてるよ。」
「夫が避妊魔法を忘れた時もあるはずです。それこそ酔った時とかね。」
「いや、ほとんどが俺の子のはずだ。」
またニヤニヤ笑ってる。
「どこかに記録をつけていましたか?」
「教えてほしい?」
「ええ。早く解決したいので。」
「残念。昔はつけてたけど、捨てた。」
「記憶にある方を言うつもりは?」
「覚えてないね。全貴族にあの魔道具を使わせたらわかるだろ?」
調査官はグラムへの尋問で身近にも被害者がいてもおかしくないと思った。
309
あなたにおすすめの小説
今更戻って来いと言われても遅い、というか、その行動が無駄すぎでは?
七辻ゆゆ
ファンタジー
メグは元隣国の文官だった。しかし平民のメグは雑に扱われ、いきなり解雇された。城で一番働いてたんだけど大丈夫?
まあダメだったみたいで王子がやってきたけど、メグは思うのだ。替えの利かない労働者なんていない。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
契約結婚なら「愛さない」なんて条件は曖昧すぎると思うの
七辻ゆゆ
ファンタジー
だからきちんと、お互い納得する契約をしました。完全別居、3年後に離縁、お金がもらえるのをとても楽しみにしていたのですが、愛人さんがやってきましたよ?
どうぞお好きに
音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。
王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる