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しおりを挟む調査官はグラムに共犯者はいるのか確認した。
「共犯者?いない。全部俺の種だ。
どうせあの魔道具で血縁がバレるんだ。種は俺のだけ。これは本当。」
「使用人は誰も知らない?」
「客間への行き帰りで使用人に会うことはあったけど、部屋への出入りを見られたことはない。
あぁ、客間で仕込んだってバレてるんだろ?」
「夜会の参加者で泊まることになった夫婦ですね。
ひょっとすると、ただ酔っ払っただけではなく泊まるように仕向けていたんですか?」
「偶然もあれば仕向けたのもある。狙った相手ってわかるか?」
「まだ子供がいない新婚ですか?」
「そう。あいつらは絶対、避妊魔法をかけてる。
結婚して金を払うことなく女を抱けるようになったんだ。半年は楽しむだろ?
すぐに孕ませるのは仲の悪い新婚だ。見てたら分かる。
孕んでるかもしれないから、それは狙わない。」
「ですが、寝ている夫婦を起こさないようにどうやったんですか?
使用人に協力者がいないのに薬を仕込めますか?」
「どうやったんだろうな。」
グラムはニヤニヤ笑っている。
「自分の子を関係のない夫人に生ませて何がしたかったんですか?
あなたは結婚していませんよね。」
「何がしたかったんだろうな。」
まだニヤニヤ笑っている。
「妊娠するかもわからないのに手間なことをしますね。夫婦の仲違いも目的ですか?」
「それはどうだろうなぁ?」
ちょっと考えてるみたいだ。仲違い目的ではない?
「生まれた子供の人数、把握していますか?」
「何十人かな?」
「夜会の宿泊客以外でも、あなたの子供はいますか?」
「どういう意味?未婚の令嬢や平民にってこと?あーいるかも?」
「その者たちはあなたの素性を知ってる?」
「いや、知らない。行きがかりとか暇つぶしとか遊びだからな。
避妊魔法をうっかり忘れたのもあれば、わざとしなかったのもあるから妊娠してるかも。
産んだかどうかは知らないし。酔ってたらお互い曖昧だね。」
「最初はいつですか?」
「初体験ってこと?それとも種を仕込んだ最初ってこと?」
「仕込んだ方です。」
「それはー。兄が結婚してからだな。」
「お兄さんの奥様が最初?」
「いや、夜会の夫人だな。3人ほど仕込んでから義姉かな。」
「自分の子が伯爵家を継げるようにしたかった?」
「どうだろう?それも少しあったかも。ちょっと面白いだろ?俺は三男だから継げないしな。」
「お兄さんが嫌いだった?」
「いや?好きだよ。結婚しなくても追い出さないし。仕事もくれるし。」
「結婚する気はなかった?」
「学園卒業する頃には何人も生まれてたし、浮気や愛人を疑われると嫌だしな。
後つけられたら夫人たちに仕込めないし。」
「あなたは、夫人方に自分の種を仕込んで自分の子を産ませることが一番の目的だった?」
「一番か?どうだろう。増えたら面白いだろ?」
面白いが目的?さっきも言ってた。
「気づかないで兄妹で結婚するかもしれませんが?」
「あぁ、それも面白いだろ?」
また、面白い。だ。
「最初の頃の子は30歳前後ですよね。最後は?」
「腹の中?」
「最近ってことですか?」
「そう。先月かな。」
早く誰か調べないと。
「あなたは性的依存者?」
「いや?別に常に女を抱きたいわけじゃない。毎日抱いてないし、ひと月開くときもある。」
「避妊魔法をかけなかったからといって、常に妊娠するわけじゃない。
だから、あなたが思っているよりも妊娠した夫人は少ないかもしれませんよ?」
「妊娠できる体なら、うまく俺の子を孕んでくれてるよ。」
「夫が避妊魔法を忘れた時もあるはずです。それこそ酔った時とかね。」
「いや、ほとんどが俺の子のはずだ。」
またニヤニヤ笑ってる。
「どこかに記録をつけていましたか?」
「教えてほしい?」
「ええ。早く解決したいので。」
「残念。昔はつけてたけど、捨てた。」
「記憶にある方を言うつもりは?」
「覚えてないね。全貴族にあの魔道具を使わせたらわかるだろ?」
調査官はグラムへの尋問で身近にも被害者がいてもおかしくないと思った。
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