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しおりを挟む調査官がグラムに行った尋問は記録されていたので、国王と魔術師長も確認した。
「どう思う?」
「数点、気になります。
まず、使用人に共犯者がいないのであれば、水差しの水に薬を入れていても飲むかわからない。
飲んだとしても、少しだけだと目覚める可能性があります。
寝ている口に含ませるのも難しい。なので、魔術かと思います。」
「眠らせる魔術?」
「知られていませんが、あります。
昔、夜中に泣く赤子を眠らせるために寝ぼけてかけた魔術が数日間も効いてしまった。
なので、禁術指定ではありませんが、魔術本にも記載がありません。」
「それを使ったと?」
「ええ。それぞれに朝まで効くくらいにかけたのだと思います。
かかったことがないのでわかりませんが、深く眠りパッと目覚めるそうです。」
「隣で妻が襲われていても、襲われている本人ですら気づかないってことか。」
「はい。次に襲った夫人の子供が夫の子ではなく自分の子だと確信してる言い方。
それと、避妊魔法をかけなくても妊娠するかわからないのに妊娠してるはずだと思っているところ。
これも、魔術かと思います。」
「確実に妊娠させる魔術なんてあったのか?」
「こちらは禁術指定です。避妊魔法を反転させる魔術です。
通常、女性の体は妊娠しやすい時期があります。およそ4~5日ほどです。
この禁術は妊娠しにくい時期であっても関係ありません。
術をかけた後に受け入れた子種と実を結ぶ可能性が非常に高くなります。」
「なぜ禁術なんだ?望む夫婦も多いだろう。」
「その1回の禁術で女性の体にかかる負担が大きいからです。
2回目はほぼ子宮が使い物にならなくなるとか。
同年代よりも老いるのが早い女性も多いとか。
男の方に子種がないことに気づかず、妊娠しない女性に3月連続で使用して死亡した例も。」
「なるほど。どこでこの手の魔術をあの男は知ったのか。
兄が結婚した時、あの男は15歳だったか?
その時にはもう知っていたってことは、異国で教わったか、本を手に入れたか。
兄に確認だな。部屋中の物も調べなければいけない。」
「はい。あと気になったのが夫婦の仲違いは考えておらず、子供を産ませることが目的です。
自分の子が伯爵家を継ぐと面白い。自分の子供が増えると面白い。兄妹で結婚しても面白い。
あちこちに自分の種が増えてさらに血縁が増えることを面白がっているように思います。
おそらく、そのうち誰かが王家に嫁ぐと面白い。そう言うと思います。
あの男なら襲った中に娘がいてもおかしくありません。自分の子だと知っていて…」
「…ありえるな。あの男の子だと判明した者たちはお互いを知っていなければいけない。
兄妹や叔父と姪での婚姻を避けなければ。」
現在30歳前後のグラムの息子や娘が適齢期で結婚していれば子供が10歳前後になる。グラムの孫だ。
だが、10歳前後にもグラムの子供がいるだろう。
叔父と姪、叔母と甥で婚約してしまうかもしれない。
もっと迅速に対応していかなければ不幸になる者が増え続ける。
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