女神様、もっと早く祝福が欲しかった。

しゃーりん

文字の大きさ
18 / 23

18.

しおりを挟む
 
 
国王は魔術師長と調査官に考えた王命案についてどう思うか聞いた。

「これから結婚する者は、事前に血縁判定を受けなければならない。
 これから婚約する者も、事前に血縁判定を受けなければならない。
 これで、グラムの血縁者同士で結びつく可能性を減らせないか?」

「いっそのこと、あの愚か者がしたことを公表してはどうです?」

「それも考えたが、犯人を捕らえたことで今後の被害は出ない。
 貴族の混乱を防ぐには、やはり宿泊客がわかれば早いのだが…
 見つからないのか?」

「記録はつけていたそうですが、なぜか行方不明なのです。
 やはり、使用人に協力者がいるのではないかと。」

「あるいは、グラムを慕っていた。犯行を知っていた?」

「30年に渡って犯行を繰り返している。気づく者がいたのかも。」

「記録が全部ないのなら、今、働いている使用人かグラムが捕まってから辞めた使用人だ。
 使用人部屋も屋根裏も可能性があるところ全て探せ。
 持ち出したのを誰か見てないか、グラムを慕っていた者を知らないか聞き出せ。」

「もし、見つからなければ?」

「公表するしかない。30年前から今までだと、どの貴族家も当然子供が生まれてるからな。
 あの伯爵家に泊まった以外でグラムと関係を持った令嬢もいるかもしれないし。」

「血縁判定の相手はどうします?伯爵家の息子にお願いしますか?」

「そうだな。彼も辛いだろうが伯爵家の一員として協力してもらうしかない。
 とりあえず、判明している11人のうち6人はグラムの子だと確定している。
 残り5人とも血縁判定を行って確定してくれ。
 そのうち2人は夫婦だ。兄妹で夫婦はこの国では禁忌だが例外として認める。
 ただし、そのことは口外禁止だ。他に兄妹で結婚したい者が騒いだら困る。
 新たに子を産むのは認めない。今いる子供は必ず血縁以外と結婚させること。
 そう伝えてくれ。」




伯爵に、グラムが魔術に関する珍しい本を持っていなかったか、異国に怪しい知り合いがいることはなかったか確認した。

「私が結婚する前の年、あいつが学園に入学する前の年ですね。
2つ離れた国に父に付いて一緒に行きました。
ほとんど一緒に過ごしましたが、帰る前の日に一人でうろついてみたいと言うので少し時間をやったのです。
戻って来た時に、数冊本を持っていました。
言葉も文字も違う国の本など読めないと思ったのですが、どうやらこの国の古い魔術本だったようで、面白いと読んでいました。
今では使われていない魔法もあったようで。」

「その本はどこに?」

「あいつの部屋にないなら図書室か商会かじゃないですか?」



至急、探さなくてはならない。

 

グラムの部屋にあった押収物、伯爵家の図書室、商会の部屋を隈なく探し回った。
ようやく見つかったのは図書室。本の中をくり抜いて隠してあった。
かなり古い本。書き込みも多く知らない魔術がたくさん載っていたらしい。
その中に、眠らせる魔術も妊娠させる魔術も載っていた。


調査官がグラムを尋問した。

「眠らせる魔術と妊娠させる魔術を使ったな?」

「…見つかったのか、あの本。」

「あんなところに隠していたとはな。」

「いつか、伯爵家の誰かが見つけて使うと面白いと思ってね。」


ニヤッと笑うグラムに調査官は腹が立った。



自白剤の使用許可が出て、嘘がないか余罪がないか確認が行われた。

共犯者はいない。
自分で記録は残していない。
宿泊記録の行方は知らない。
子供を仕込んだのは、異国の愚王の後宮の女と子供の数が混乱を招いたと本で読んで、面白そうだと思ったから。

この件以外の余罪はなかった。



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今更戻って来いと言われても遅い、というか、その行動が無駄すぎでは?

七辻ゆゆ
ファンタジー
メグは元隣国の文官だった。しかし平民のメグは雑に扱われ、いきなり解雇された。城で一番働いてたんだけど大丈夫? まあダメだったみたいで王子がやってきたけど、メグは思うのだ。替えの利かない労働者なんていない。

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

私ですか?

庭にハニワ
ファンタジー
うわ。 本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。 長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。 良く知らんけど。 この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。 それによって迷惑被るのは私なんだが。 あ、申し遅れました。 私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。

ありふれた聖女のざまぁ

雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。 異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが… 「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」 「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」 ※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。

契約結婚なら「愛さない」なんて条件は曖昧すぎると思うの

七辻ゆゆ
ファンタジー
だからきちんと、お互い納得する契約をしました。完全別居、3年後に離縁、お金がもらえるのをとても楽しみにしていたのですが、愛人さんがやってきましたよ?

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

処理中です...