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しおりを挟むジェイドの正義感の強さは父の影響である。
父は貴族の犯した罪を裁く仕事をしていて、公明正大な姿勢をモットーとしている。
私情に流されたり、噂に惑わされたりしないように心掛けているが、実は噂好きでもある。
その噂が事実かどうか、証拠があるのか、自分の予想と違わぬかを答え合わせのように楽しんでいる。
もちろん、仕事としては曖昧な情報を受け入れることなく調べ上げられた証拠をもとに裁く。
そんな父に、ひそかに噂されているオリオール侯爵家のことを話した。男4人の考察結果も併せて。
「ふむ。乗っ取りか。重犯罪にあたるな。だが確たる証拠はない。そこで血縁判定キットか。
確かに我が国でもこのような有事に素早く対応できるよう必要とするべきものだ。
仕入れて仕組を研究すれば、わが国でも量産できるようになるだろう。」
「ですが、疑わしいというだけで検査を強要することはできませんよね?」
「それはまぁ、そうだな。もう少し証拠となるものが欲しいところだ。証言では信憑性が低い。
どうしても見つからなければ方法がないわけではないが、失踪5年が経つまでまだ1年半ほどあるのだろう?判定キットも仕入れて研究する時間も必要だから、その間にローレンスが見つかれば一番いいがな。」
「……そうですね。アイツはまだ生きているでしょうか。」
「彼は元々贅沢に暮らしていたお坊ちゃんではないのだろう?しぶとく生きる根性がありそうだ。
友人のことを信じてあげなさい。そうすれば、再びめぐり合う可能性はあるだろう。」
父は時々、予言めいたことを言う。
いつも、言われたことを気にしていないが、過ぎた後に、『そういや父が言ってたっけ?』と思い返すことがある。
そして今回のこともそうだった。
別にローレンスのことを探して街の端から端までうろついていたわけではない。
出張の道中で寄った街で、この辺境近くで採れる鉱石を使った宝飾品を妻に土産でもしようかと店に入っただけなのだ。
だが、そこにローレンスがいた。
気味が悪いほどひょろひょろとした体形ではなくなっていたが、間違いなくローレンスだった。
耳の裏にあるホクロの場所も確認した。
だが、彼は『ランス』だと言ってジェイドを避けようとした。
殺されたと思っていたと言っても動揺しなかった。まぁ、彼は自ら逃げたのだからな。
しかし、家出に気づいた父親が追手に始末させていた可能性も考えられたのだ。無事でよかった。
ジェイドは辺境を超えた隣国に書類を手渡しに行く役割を負っていた。
だからまず、仕事を優先しなければならない。
そこで、戻ってくるまでの間に調査を依頼した。
『ランスがここで暮らし始めることになった経緯が知りたい。いつからいるのか、その前の場所もわかるのであれば。彼は友人の弟に似ていてね。誤解から家出してしまったらしいんだ。本人には調査のことを知られないように頼むよ』
そう誤魔化した。
戻ってきて調査結果を読んだ。
彼は記憶喪失らしい。なるほどな。俺のことを知らないわけだ。
ここの前にいたのは辺境伯領主のいる街。そこには失踪7か月後から住んでいた。
大体のことがわかった。
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