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しおりを挟む王都に戻ってきたばかりのため、子供たちを連れて領地に行くのはまた次回にしよう。
子連れでは人数も荷物も多くなり、時間もかかるためだ。
ひとまず、ローレンスだけ先に領地に顔を出し、祖父母と領地の様子を確認しよう。
そう思っていた矢先、届けられたのは祖父母の訃報だった。
「大奥様が眠ったままお亡くなりになり、大旦那様も後を追われたようです。ローレンス様宛にお手紙が届いております。」
呆然としながらオルフに手渡された手紙を開いた。
『すまなかった。オリオールを頼んだ』
ただそれだけだった。
まあ、そうだよな。
祖父にしてみれば、今更言い訳を並べ立てたところで血の繋がった孫に無関心であったことに変わりはないし、ローレンスが戻ってきたことでオリオールの血筋は途絶えない。
他に遺す言葉もなかったのだ。
祖母がいないことに耐えられないと生きることに未練もなかったのだろう。
この一言、遺しただけでも驚くべきことかもしれない。
葬儀は領地で執り行われる。
ローレンスはメロディーナと2人で向かうつもりだったが彼女は首を横に振った。
「どうして?子供たちも一緒に連れて行くわ。」
「でも、また馬車の旅だぞ?今度は数日だけど。」
「大丈夫よ。ケロッとしていたもの。」
確かに。子供たちよりもローレンスの方が移動の疲れが残っていた。
「オリオールは大丈夫なんだって、あなたはもちろん、子供たちも領民に姿を見せるべきだわ。」
「そうか。そうだな。」
乗っ取りの話は領民を不安にさせたことだろう。
ローレンスがオリオール侯爵になり、更に次代の子供たちもいる。
それは領民にとって安心に繋がることなのだろう。
ローレンスは家族を連れて領地へと向かった。
領地の屋敷は随分と久しぶりだった。
見覚えのある使用人もいれば初見の者もいたが、全員がローレンスを侮ることなく真摯な態度で迎え入れてくれた。
ひとまずすべきことは祖父母の葬儀。
これは、領地内でひっそりと執り行うことになっている。
祖父はオリオール侯爵ではあったが、それはもう25年以上も前のことだ。
母が侯爵になり、亡くなった後は父が代理として20年もその地位にいた。
つまり、もう親しくしている貴族もいないのだ。
そのため、ローレンスたちと屋敷の使用人、交流のあった領民たちで見送るだけで十分だった。
しめやかな葬儀に子供たちの声が響いて笑いを誘ったのは、まぁ、仕方ないことだろう。
会うことのできなかったひ孫の笑い声で仲良く旅立ってくれればそれでいい。
しばらく領地の屋敷に留まり、領地の様々な者たちと面会したり今後の状況を話し合ったりした。
メロディーナと子供たちにも好意的で、経歴に不満をこぼす様子もなかった。
あるいは、事前に排除されていたのかもしれない。
新しいオリオールに不満があるのであれば、付き合いはこれまでだ、と。
事実、事前に名簿から消えている取引先は父と懇意にしていた者たちなのだろう。
オリオールの優秀な事務官たちは、邪魔な者は既に排除した上でローレンスと引き合わせていると感じた。
領地にいる者たちは優秀だ。
このことに関しては、祖父に感謝した。
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