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しおりを挟む昼過ぎ、王妃がフェリシアの部屋を訪れた。
「陛下があなたを溺愛してるって私のところにまで伝わってきたわよ。
昨日までわずか一週間、時間にすれば10時間ほどしか接していないと思うのだけど。」
「何故か昨日の食事会の辺りから雰囲気が変わりました。
それまでも優しくて話しやすくて、気安い感じはありましたが…
私もですけれど、ウエディングドレスを着たせいか署名をしたら陛下を夫と意識したというか。」
「恋人未満だった関係が一気に愛する妻・夫って認識できたからかしらね?」
「そうかもしれません。あのドレスが着れて嬉しかったです。ありがとうございました。」
「いいのよ。じゃあ、私も陛下に許可をもらおうかしらね?
陛下との契約の中に、陛下が側妃を娶れば私も恋人と過ごす許可がおりるの。」
「恋人?!」
「そう。国から一緒に来た護衛よ。後ろにいるショーン。」
アンバーの後ろにいる護衛が黙礼している。びっくりだ。
「詳しくは陛下がそのうち話してくれるわ。
私はね、子供が産めないの。
13歳の時に何日も高熱を出した後、月のものが来なくなったの。
だから側妃が必要なのよ。
結婚から2年待ったのは、国同士の取り決めにあったの。
『正妃が2年経っても懐妊しない場合は側妃を認める』ってね。
陛下に相手がいないのに私だけ恋人とイチャイチャできないでしょ?
この2年はちゃんと護衛としてしか接してないわ。
もちろん公にはできないわよ。だから休憩時間に私の部屋の中でだけ恋人として過ごすの。」
許可取ってくるわ~と王妃は出て行った。
フェリシアは、王妃と会話するたびに驚かされていると思う。
夕食を陛下と取り、入浴を済ませて昨日よりも恥ずかしくない夜着にしてもらった。
スケスケで丈の短いのは着ている気がしなくて落ち着かない。
陛下はもう休めるのだろうか?
そう思いながら寝室に入ると陛下もやってきた。
私の夜着を見て、「それも似合う」と。
「王妃に恋人の話をされただろ?その契約について話すよ。」
ベッドのヘッドボードに背を預けて二人で並んで話を聞く。
「王妃と婚約したのが12歳の時、彼女は10歳だった。
国同士の交流を深めるために、婚約時にもいろいろ優遇措置があった。
結婚は俺が20歳、王妃が18歳の予定だった。
ところが、父の具合が悪くなって譲位したいと言い出した。
そこで、即位と結婚式を同時期しようと隣国にも話したんだが、結婚を1年遅らせてほしいと言われた。
俺は20歳で即位し、仕事に没頭していたが隣国と王妃のことも調べさせた。
すると、王妃は結婚を嫌がって護衛騎士と逃げようとしたと判明した。
俺は秘密裡に王妃に会って確認したんだ。
王妃は、『父があなたを騙して子供を産めない私を押し付けようとしているから逃げた』と言った。
今更婚約解消して優遇措置が無くなるのが困ると。
俺は俺で別の国の厄介な王女からの婚約申し込みがあって、それを避けたかった。
だから王妃と個人的に契約を結んだんだ。
俺の即位中は王妃という職を全うすること。
側妃を認め、諍いを起こさなこと。
恋人は認めるが公にしないこと。
そして結婚時の隣国との話し合いで、王妃が2年間懐妊しない場合は自国内から側妃を娶ることを決めた。
すぐに側妃を娶ると、国の印象が悪くなるんだ。
実は2年後に向けて側妃候補はいたんだ。
内々でしか話ができないことだったから、婚約者がいない高位貴族令嬢を探したが難しかった。
歳が離れすぎていてはすぐに側妃にできないし。
だが、騎士をしていて結婚する気がないという伯爵令嬢がいたので一応打診した。
すると子供を産んだ後、死んだことにしてくれるなら側妃になってもよいと言われた。
自由に生きたかったらしい。親にもギリギリまで話を持っていかない約束だった。
ところが2か月程前、冒険者の男と国を去ることにしたから側妃になれないと言われた。
あー側妃探しはまたやり直しだと思った時、シアのことを思い出した。
その少し前にシアの兄上と話したところだったからね。
野心のないムジーナ家の侯爵令嬢で18歳。容姿・性格・成績すべて問題なし。
完璧だって周りは大喜びだった。
でも反対に俺は不安だった。真面目で冷たい国王だと言われてるのを知ってるから。
今思えば、嫌われるんじゃないかと不安だったんだ。話したこともないのに。
会う前からシアに好かれたいって思ったから不安だったんだな。
顔は見たことはあったけど、王宮の部屋で間近で会って声を聞いて話をして…
一目惚れ?みたいな状態になったよ。
結婚するまでの一週間、好印象を持ってもらいたくて好意を押し留めてた。
ウエディングドレス姿で理性崩壊しかかったよ。
シアが初恋だよ。シア、愛してる。」
そのまま押し倒され、昨日よりは手加減された夜が始まった。……時間的には……
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