側妃としての役割

しゃーりん

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フェリシアが側妃になって二か月。
日々の生活にも慣れてきた。

始めの10日ほどは朝がなかなか起きられず、国王と一緒に食事が出来なかったが、起きる気配を察知できるようになり、一緒に朝食を食べるようになった。その代わり、午睡の時間ができた。
 
しかし、この2,3日また寝坊する。起こして欲しいのに起こしてくれない。 

「フェリシア様、少しお疲れが溜まっているのかもしれませんね。
 ちょうどよい機会ですから、一度医師の診察を受けましょう。」

「サナ、大丈夫よ。心配症ね。」

「いえ…あのですね。
 フェリシア様のご実家である侯爵家の侍女の方から体調変化の管理について引き継いでおります。
 この二か月、生活環境の変化により体調の乱れもあるだろうと思っておりました。
 ですが、ここに来られてから月のものが来ておりませんよね?
 本来であれば、二度ほど周期が来ているのです。
 これが環境の変化によるものか、ご懐妊によるものか、医師の診察をお願いしたいのです。」

「あっ!本当だわ。どうなのかしら。妊娠してるかもしれない?」

「そうですね。可能性はあると思います。陛下がとてもご執心ですからね。」

「もう。恥ずかしいわ。では医師の手配をお願いするわね。」



すぐに王宮の女性医師がやってきた。

「フェリシア様、お久しぶりですね。
 今まで私が呼ばれることなく元気にお過ごしでいらっしゃったことは幸いです。
 私も気にはなっていたのです。侍女の方とフェリシア様の情報は共有しておりますから。
 一度調べさせてもらいますね。」

「お願いします。」

問診に答え、体のあちこちに触れて確認していく。

「ありがとうございました。貧血症状もなさそう…」

いきなり部屋の扉が開いて陛下が現れた。

「医師を呼んだと聞いた。どこが悪い?ケガでもしたのか?」

「陛下、落ち着いてください。フェリシア様のお隣にお座り下さい。今から説明致します。」

「シア、どうもないよな?」

「大丈夫ですよ。」

「説明致しますね。フェリシア様はご懐妊です。おめでとうございます!」

国王陛下とフェリシアは顔を見合わせて笑顔になった。

「嬉しい。ここに赤ちゃんがいるのね!」

「あぁ。シア。嬉しいよ。ありがとう。」

そう言って、お腹に手を当てているシアの手に重ねて触れた。

「シアの教育の日程を見直せ。あまり詰め込むな。体調が優先だ!」

「承知しました。」


予定日は10月中頃ということだった。
喜ぶ二人を前に医師が真面目な顔で注意する。

「陛下、妊娠は病気ではございませんが人によっては食欲がなくなったりひたすら眠かったりします。
 吐き気も人さまざまで、安定期に入るまでは体も不安定でございます。
 つわりがあれば食事は食べられるものだけを食べて構いません。
 そして、閨の方は今からおよそ2か月は控えていただきます。
 安定期に入ればお伝えしますので。
 わかりましたね?陛下。」

「あっああ。もちろんだ。
 だが、一緒に寝るだけなら問題ないだろ?」

「それはフェリシア様次第です。」

国王陛下と医師から視線を向けられたフェリシアは戸惑いながら答えた。

「陛下がよろしいのであればご一緒します。
 気分が優れない時だけは、別々の方がよいかと。
 公務にお忙しい陛下にご迷惑をお掛けすることはしたくありません。」

「迷惑などと…どんなシアでも面倒を見たいのだが…」

「陛下、女性にも見られたくない姿がございます。侍女にお任せくださいませ。」

そう医師に言われ、渋々引き下がった。



幸い、フェリシアはつわりがあまりひどくなかった。
匂いには敏感になり、避ける食べ物はあったが、概ね普段通りに食べられた。
しかし、眠気がひどかった。すぐにウトウトとしてしまう。
侍女たちは、極力階段を使わせることを避け、庭園の散歩でも手を取って歩いた。
フェリシアは『過保護すぎるわ』と言うが国王陛下の命令でもある。
侍女たちはフェリシアがストレスを感じない程度を見計らって上手く対応していた。









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