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しおりを挟む月日が経ち、王太子夫妻の第3子が誕生した。
とても愛らしい女の子で、フローラと名付けられた。
長女リアナはレオナルド似の美人、長男アダムもレオナルドそっくり、そして次女フローラがようやく愛するルナリーゼそっくりな可愛さで生まれたことで、レオナルドは感激した。…嫁にはやらん。
リアナとアダムは、父が子供たちよりも母を大切にしていることは実感している。
別にないがしろにされるわけではないので、こんなものだと思ってきたが、母に似たフローラに父の異常な愛情が向かうのかどうか、やはり母を一人占めなのか、楽しみに見守る気でいる。
アダム王子とリリーベルが婚約して一年が過ぎる頃には、もう立派な執着が見られた。
移動する時はエスコートの練習といいながら常に手を繋ぎ、会うたびに『かわいいね。大好きだよ。』と言う。
両親から、『纏わりつきすぎると嫌われるかもしれないよ?』と言われ、毎日会いたいのを我慢している。
リリーベルに褒めて貰いたいだけの気持ちで、勉強も剣術もマナーもダンスも語学も頑張っている。
そうして10歳になったころ、アダムは王族としての役割や将来の国王としての資質、愛情の執着によって起こった過去の王族の末路等を聞かされ、その上で王太子になるための覚悟があるかと2年前に国王となった父に問われた。
「リリーベルに依存するようでは、国王にふさわしくはない。
頭の中がリリーベルだけでなく、国のために尽くす覚悟はあるか?」
「覚悟はあります。
確かに僕はリリーに執着しています。リリーもわかってくれてて、応えてくれる。
そして、ダメなことはちゃんと諭してくれて、それに僕は納得して我慢もできる。
二人で力を合わせて、この国のために尽くしたい。そのために努力しているつもりです。
リリーの望むことを叶えたい。それじゃダメですか?」
「リリーベルに舵取りを任せる気か?それは…」
「違います!国の政策についてはリリーの言いなりになるつもりはありません。
皆に相談すべきだとちゃんと理解してるし、自分たちが良ければそれで良いと思っていません。」
「なるほどな。いつの間にか公私の区別がついていたようだな。
わかった。お前を王太子にする。
王太子としての職務を始めてもらう。
ジークに教えを乞うように。全て把握している。
私の学園卒業後からジークには補佐をしてもらっていた。今は国王の仕事の補佐も兼務しているが。
今からお前の学園卒業後まではジークが補佐をするからしっかり学ぶように。
そして、私にジークがいるように、お前にも学園卒業後から補佐してもらう側近候補を近々呼ぶ。
直ぐに決める必要はない。長い付き合いになるから慎重に選べ。
学園卒業後はジークを返してもらうからな。あいつは補佐兼相談役なんだ。」
「わかりました。ありがとうございます!」
その夜、国王レオナルドは王妃ルナリーゼに報告した。
「アダムを王太子に決めた。
いつの間にかいいバランスを掴んでたみたいだ。
リリーちゃんがうまく調教したか?それとも夫人の入れ知恵か?
うまくいって良かったよ。」
「まぁ。よかったわ。リリーちゃんはアダムの扱いがとても上手になったもの。大丈夫よ。」
「王族の掟に一つ加えることにする。『婚約は10歳以降』…子供の頃からの執着は心臓に悪い。
昔から王女にはあまり執着が出ないんだよな。跡継ぎに決まった王女にはあったらしいが。」
「…っそれって、将来国王・女王になる人が執着するようになるってことじゃない?
女神様が選定されてるのかしら?」
「あーー。…どうなんだろな…祝福か呪いかなんて言われてるけど、実際のところはわからないからな。」
この話は終わりというように、いきなりルナリーゼを横抱きにしてベッドへ直行した。
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