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しおりを挟むサムはどういうつもりで私に口づけしたのかな?
まずそれを確かめないとね。
嫌われていないのはわかるわ。
でも私、一応既婚者なのよ?愛人が許可されてる話はまだしていないのに。
残念な初夜に同情したのかしら?
それとも愛人に夢中で別邸に追いやられた私が可哀想だった?
結婚する気はないって言ってたし、自由な私と遊ぶつもりかしら?
…遊ばれてもいい気がするわ。普通はできないことだものね。外にバレなきゃいいんでしょ?
とりあえず、ここでの生活に慣れないとね。
裏手にあった家庭菜園跡と横手にあったガーデニング跡は、アオとイオとトムとサムで少しずつ整備していくそうだ。そのうち私も手伝いたいな。
刺繍するハンカチや、乳児の肌着やオムツなどの簡単な縫物など、孤児院や必要とする平民に寄付するための生地も手配をお願いしたから、そのうち届くかな。
楽器は、母屋まで聞こえないとは思うけど文句を言われたら嫌だからナシにしよう。
朝は掃除やお洗濯で忙しいから大人しくした方がいいかな?
ってことで、忙しいみんなの邪魔にならない読書かな。面白そうなのがいっぱい。
「午前中は図書室にいるわね。」
「わかりました。後でお茶をお持ちしますね。」
「ええ。一段落してからでいいからね。」
部屋に持って行ってもいいけど、気持ちよさそうなソファがあったからそこで読もう。
題名に惹かれた恋愛小説を読み進めていると、ノックの音がして誰か入って来た。お茶かな?
…何でサムがお茶を?
「持ってくる役目を譲ってもらったんだ。」
「ふふ。侍女の仕事を取ったらダメよ?」
「じゃあ、護衛兼侍従になるよ。」
「それなら一緒に美味しいお茶の入れ方講座を侍女たちから受けましょうか。」
「いいな。それ。」
入れたお茶を私の前に置いて、サムは隣に座った。
「読書は休憩だ。」
本を取り上げて、机に置いていた栞を読んでいた頁にわざわざ挟んでくれたので、お茶を飲んだ。
「う~ん。少し渋いかしら?意外と難しそうね。お茶入れって。」
サフィニアの子爵家は一応侍女がお茶を入れてくれていたので自分で入れた経験はあまりない。
サフィニアのカップに手を伸ばしたサムは、そのままカップのお茶を口にした。
「確かに。ちょっと置く時間が長すぎたか茶葉が多すぎた?」
「もう。自分の分もカップに入れたらいいのに。」
「一緒のが飲みたかったんだよ。」
そう言ったサムの顔が近づいて来る。
触れる直前まで目を開けている私に笑いながら口づけた。
前と同じでどんどん深くなっていく。
もう!教えてくれるって言ってなかった?
どうすればいいの?私も同じようにサムの舌に絡めたらいいのかな?
逃げていた舌を絡めてみたら追いかけっこのようになって、サムの口内に誘導された?
でも私の舌って短い?上手く届かない。思いっきり吸われて開放された。
「もう!痛いわ。舌の下が切れそうだったわ。」
「ああ、ごめん。気をつけるよ。
それより、今日も抵抗しないってことはこれからも口づけしていいんだよな?」
「…あなた、まさか侍女やメイドたちにもしていないでしょうね?」
「そんな面倒くさいことはしないよ。サフィだからだよ。
お前がここにいる間、ずっとそばにいるし他の女には手を出さない。どう?」
「ならいいわ。」
そう言ったら、また濃厚に口づけされた。
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