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しおりを挟む初夜って痛みが伴うって聞いてたんだけど?あ、純潔を失う時が痛いのか。
それまでの準備はこんなに気持ちいいの?それは教わらなかったわ。
「もう少し中を広げるから、もっと気持ち良くなっててくれ。」
それから男は指を3本入るようになるまで散々私を気持ち良くさせた。
そしてようやく……
「入れるよ。よく解したつもりだけど少し痛むかもしれない。ごめんな。」
男のモノが少し中に入った後、私の腰を掴んで奥へと進めていった。
あ、んー苦しい。指よりも大きい。
途中で止まり、そこから一息に入れた。
「あぁっ…痛っ……」
「ごめんな。でも嬉しい。ほら、ここに入ってる。」
男が私の下腹を押すと、中の圧迫感以外にも確かに男の存在を感じる。
私の息が整うと、男は少しずつ腰を動かしていった。そっか擦るんだ。
正直に言うと、さっきの入口の方が気持ち良くて、男のモノの出入りは少し苦しい。
だけど、男は気持ち良さそうだ。それに嬉しそう。
なるほど。男は中に入れて気持ち良くなりたいために、その前に女の体を気持ち良くさせるのかな。
閨事に関してはそれほど詳しく聞いたことがないから、そう判断した。
やがて男は、中に精を放ったようだ。……子供ができたらどうする気なんだろう。
「ありがとう。すごく気持ち良かった。中に出してごめんな。どうしても私で満たしたくて。
後で避妊薬を渡すよ。」
私に軽く口づけた後、名残惜しそうに私の中から男のモノを抜いた。
流れ出てくる精を男はしばらく眺めていた。……恥ずかしいんですけど。
途中から王太子殿下に抱いて貰っているという妄想を忘れていた。あぁ、もったいない。
目を開けて気持ち良さそうな仮面の男を見てしまったからね。失敗したわ。
体を綺麗にしてもらい、ドレスを着せてもらう頃には大分動けるようになっていた。
避妊薬を飲んで、馬車に一人で乗せられた。
「万が一、奴に襲われそうになったら『取引を思い出せ』と言えばいい。
そうすれば白い結婚のままだ。
奴の弱みはいろいろ握っているから。
3年後、必ず迎えに行くから待ってて。」
私は明確な返事をしないまま、王太子殿下似の男と別れた。
無意識で馬車を降りて、ドレスも侍女に脱がせてもらっていたのだろう。
気がつけば翌朝で、自分の部屋のベッドで目覚めた。
あれは夢?
そんなわけはないわ。男が私の体を拓いた感覚がまだ下腹部にあるもの。
数日後、婚約者と会った。
彼は何か言いたげにしていたけれど、無視して結婚式の打ち合わせをした。
そして、そのまま彼と結婚したけれど、もちろん白い結婚だった。
理由を知らない彼の使用人たちは、もちろん閨を共にしていないことを知っている。
段々と私への扱いが雑になっていき、そのうち侍女が来なくなった。
彼の両親は何か聞いていたのかもしれない。おそらく、3年だけの妻だと。
『夫に愛されない妻』その役割を2年半、演じた。
夫が亡くなった理由は、昔からの恋人を捨てて新しい女に手を出したこと。
修羅場で夫も元恋人も亡くなった。家の恥になるため、事故死で片づけられた。
葬儀後、手続きを終えた私は実家に帰ることになった。
そして、現在に至る。
仮面の男が言っていた3年後とはもうすぐだったと気づいた。
仮面の男は王太子殿下だった。つまり、迎えに来るといったのは王太子殿下。
妻にはできない。それはそうだ。王太子妃殿下が既におられる。
だから、愛妾か。なるほど。
だから、焦ったのか。弟の閨教育に選ばれたと知って。なるほど。
なるほど、なんだけど私の意見は聞いてくれないの?
3年前も今も。
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