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しおりを挟むエステルは産後寝込むようになってから、自分が実家から連れてきたサリーと嫁いでから専属侍女になったエマとララ以外の侍女とは接していなかった。
そこに新人侍女メイディアを呼ぶことに対し、特にサリーは不満を口にした。
「エステル様、こんなに親身になってお世話をしている我々では不満なのですか?」
親身、ねぇ。
確かに、お世話になっているし負担をかけているけれど、サリーには言われたくない。
そうエステルは思ったけれど、言葉を飲み込んだ。
「勘違いしないで。新しい侍女を私に付けたいと言っているわけじゃないの。ただ、私とアイザックの学生時代の同級生の妹さんなのよ。話がしたいだけだわ。」
どうしてこんな説明をサリーにしなくてはならないのか。
主人が会いたいと言ったのに、不満をもらす侍女は如何なものだろう。
日に日に、サリーの態度は悪くなっているように思う。
「……わかりました。少しだけですよ。そんな青白い顔をして他人に会いたいだなんて失礼ですから。」
ちょっと待って。
うちで働いている侍女に会うのに、青白い顔が失礼ってなに?!
他所の貴族夫人や令嬢に会うわけじゃないのに。
私に失礼なのはサリーよっ!!
って言いたいけれど、怒ると疲れて熱が出るし、メイディアを連れて来てもらう前に死にそうだからやめておくわ。
「メイディア、久しぶりね。覚えているかしら?」
「はい。若奥様。お久しぶりでございます。」
メイディアはローランドに似た笑顔で挨拶をした。
「そこに座って。エステルって呼んでね。」
サリーが睨んでいたが、エステルは気にしなかった。
そんな微妙な空気を感じながらも、メイディアはエステルの指示に従ってくれた。
「ローランド様の口からよくあなたの名前を聞いたわ。」
「お兄様が?何でしょう、失敗談とかでしょうか。」
「それもあったわね。ダンスで足を踏まれたとか、お酒で酔っ払ったとか可愛い話もあったわ。」
「恥ずかしい。」
その時、サリーがメイディアに言った。
「エステル様に馴れ馴れしい口を利くんじゃありません。もう戻りなさいっ!」
馴れ馴れしいのは一体どっちだか。
「サリー、やめなさい。今、メイディアは私が呼んだお客様です。出て行くのはあなたよ。」
「こんな、何をするかもわからない子を置いて出ることなどできませんっ!」
「なら、黙っていなさい。」
サリーは悔しそうな顔をしていた。
彼女は実家に帰そう。
残り少ない日々を、サリーの顔を見て過ごすことは苦痛でしかない。
エステルはそう思った。
その後、エステルはメイディアと話をしてみて確信した。
この子なら、託せるわ。と。
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