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しおりを挟む記憶を失ったダイアナが学年末の試験で1番になってしまったことは仕方がない。
1番を取ったことをジルベールにまた怒られただろうと思ったが、城に行く必要もないため新学年まで三週間も会わなければ彼のことだから忘れているのではないかと思った。
それも今となっては過ぎたことである。
それよりも、記憶を失ったダイアナが”ダニエル・ストーンズ”という名前だけ憶えていたことの方が気になった。
「わたくし、ストーンズ様を憶えていたと話した後、新学年が始まるまで待っていましたの?」
「……いや、話したいことがある、とダイアナは手紙を出した。が、断られた。」
そんな気はした。
記憶を失っていても、思考は似ているような気がしたから。
城に行っていれば忙しくてそんな時間もないが、記憶を取り戻すか、埋めるかしかすることがなかったダイアナならダニエルに話を聞きたくなるのではないか、と。
「ストーンズ様はわたくしに話すことなど何もないのですから、断られて当然ですわね。」
ダニエルに聞いても、記憶を失う前のダイアナと何もないのだから。
「……彼を密かに思っていたというわけではないのか?」
「いいえ。わたくし、ジルベール様に恋しておりませんが、お役目は理解しておりますもの。誰か他の方に心を奪われる余裕などありませんわ。」
ダイアナがそう言うと、両親は困った顔になった。
「どうかいたしまして?」
「……いや、そう言えば、側妃制度のこと、お前はどう思っていたんだ?男爵令嬢が子供を産んだ方が愛されるとか言っていたが、賛成だったのか?」
一昨日(実際には一年と二日前)、ジルベールから聞いた側妃制度の話。
父に話してから、ダイアナも少し考えていた。
「やはり、近隣国も廃止している制度を復活させるのはよくないかと。両陛下の意向を汲んでジルベール様との婚約が解消されないよう努力して参りましたが、側妃にしたいほどクラークス男爵令嬢に夢中なご様子。
それならば彼女を王太子妃にできる方法はないかと考えておりましたの。
わたくしが男爵令嬢に代わって王太子妃の執務をしてさしあげることは可能かと思いますが、やはり男爵令嬢が王太子妃、そして王妃になるには彼女自身が認められるべき功績が必要かと。
また、跡継ぎとなる子が産まれても、母親が男爵家だから、と言われないよう一層の努力が必要となり、苦労するでしょう。
近隣国にも、国の評価を落とさないための相応しい振る舞いが必要となりますので男爵令嬢の教育がいつ終わりになるかということも気にかかります。
以上のことから、側妃制度も認められませんが、男爵令嬢を王太子妃にすることも現実的ではないかと行き詰まっておりましたの。
いっそのこと、両陛下がジルベール様を見限ってくださった方がよろしいのでは?と思いながら昨晩は眠りについたほどですわ。」
正しくは昨晩ではなく、一年前だけど。
ダイアナがそう答えると、両親はホッとした顔を見せた。
それから、最終学年になってからのことを話し始めた。
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