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しおりを挟む学生時代から私を思っていてくれただなんて知らなかった。
「ごめん。ただの愚痴の手紙だと思ってた。
それに、学生時代もクラレンスと結婚すると思ってたからあなたの気持ちに気づいてなかったわ。」
「俺はずっとプリムが好きだよ。俺じゃダメか?
学生の時はプリムがクラレンスを好きじゃなくても受け入れていることがわかっていた。
政略結婚なんてそんなもんだし、爵位が下の俺が奪うようなことをすると家にも迷惑がかかるから。
だから、アイツに問題がない限り気持ちを伝える気はなかった。
まさか、卒業後にやらかすとは想定外だった。
辺境に行ってプリムを捕まえようかとも思った。
だけどチェリムでは跡継ぎになれないだろうから、必ず帰って来ると思って待ってた。
チェリムが跡継ぎになれたとしても、手続きに帰って来るだろう?その時に告白するつもりだった。
でも、のんびり待たずに辺境に行くべきだったな。
辺境の男が忘れられないか?俺じゃダメか?対象外か?」
ルシードを忘れられないのは恋しいと思うからではなくて、まだ腹立たしいから。
まぁ、会わなければそのうち忘れるだろうけど。
「ダメ……じゃないんだけど、嬉しいんだけど、正直、もう結婚相手に期待したくなかったの。
クラレンスはチェリムを好きになったし、辺境で付き合った人は浮気した。
愛人も娼婦も絶対嫌だって言ったのに。それに納得して付き合ったのに、裏切られた。
だからもし結婚することになっても、相手に期待しないでおこう。浮気されたら離婚しようって。
子供がいたら、もうそれでいいかなって。」
「俺は絶対に浮気しない。好きな女性がそばにいてくれるなら他の女になんか触りたくもない。
というかさ、もう期待したくないのに相手が俺だったら期待したくなるってことじゃないのか?」
ん?あれ?そういうことになる?
「赤の他人だったら期待しないで済むと思ったのかも。
だけど、コリンのことは友人として知ってる。あなたを信じたい。その気持ちがあるのね。」
コリンが私の前に膝をついて、私の手を軽く握りしめた。……温かい。
「プリムが結婚相手に期待することをやめたとしても、俺は裏切らないから後悔することはない。
誰を選んでも同じなら俺を選んでくれ。お前が俺を捨てない限り、そばにいる。」
「え?私が捨てるの?」
「そうだよ。俺が縋りついてるんだから。
プリムは選ぶ側だ。不要になった男を切り捨てていっても問題はない。」
「いや、あるわよ。そんな、男を使い捨てにするような女にしないでよ!
でも……浮気したら本当に捨てるわよ。一度でも絶対に許さない。それでもいい?」
「ああ。プリムも浮気するなよ?」
「しないわよ!」
こうして私はコリンとの結婚を決意した。
コリンがとても嬉しそうな笑顔になったので、自然と私も嬉しくなった。
コリンの私への思いを知ってしまうと、ルシードからの愛情は薄っぺらい表面的なものだったように思う。
平民とは違う手入れされた外見と所作、辺境伯の姪、治癒魔力。
私の中身は二の次だった。
ルシードは貴族としてのプライドで、平民との結婚など考える気もなかったんだと思う。
冷静になると、あの人のどこが良かったのか不思議だわ。
ふと考えた。
もし、ルシードの浮気に気づかないままプロポーズを受けていたら、彼は辺境騎士を辞めて私についてきてくれたかな。
伯爵家の跡を継ぐ私と結婚して、幸せに暮らせたかな。
いや、ルシードはいつか私を裏切っただろう。彼は快楽に弱い。
仕事や子供に夢中になる私の目を盗んでコッソリと愛人を囲う。娼館にも行く。
私に対する愛情と性欲は別な人だもの。
ルシードとは幸せになれなかった。辺境だろうと、ここだろうと。そう思った。
だから、もうルシードのことは思い出さない。
コリンを信じて、一緒に幸せになろうと思う。
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