聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

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ミミの中に入ってクレベール公爵家に戻ったリリスティーナは、あからさまにホッとした両親の顔に苦笑した。
 
ひょっとすると、外見はミミなのに、リリスティーナが中に入っている時のミミはどこか違うのかもしれない。

それは所作だったり、微笑み方だったり、親だからこそわかる違いでもあり、使用人としての態度が微妙なせいでもあり。
 

「おかえり、リリスティーナ。」

「また戻って来てしまいました。」

「ミミの、お前に対する忠誠心には感謝するばかりだ。」

「ええ。本当に有難いことです。」


リリスティーナは早速、父にユリアの結婚相手について調べてほしいとお願いした。 


「ほお?新たなパルモア伯爵は前伯爵の従弟だったな。本来であればユリア嬢が継ぐまでの中継ぎでもよかったんだが、領民から不安な声が上がっているということで養女という形で引き取ったはずだ。」


元々はユリアの姉であるリオーネが跡継ぎのはずだった。婚約者ジョージは婿入りするはずだったのだ。
だが、リオーネはウォルタス殿下と浮気をして、しかも王太子妃になる気でいた。 

リリスティーナが死んだりしなければ、その目論見はいずれ成功していたかもしれない。
ウォルタスはリリスティーナと婚約解消していたし、リオーネの婚約者のジョージは亡くなったし。

となると、パルモア伯爵家はユリアが跡を継ぐことになっていただろう。 

しかし、リリスティーナが死んだことでジョージの死因も全て明らかになってしまった。

せめて、ジョージとの婚約を解消していれば、肩身の狭い思いはしてもリオーネも両親も貴族でいられただろう。
ウォルタスが、リリスティーナという婚約者がいても、思い人がリオーネなだけで浮気をしていたわけではなく、思いを遂げたいのでリリスティーナとの婚約解消を望んでいたということにしていれば、願いは叶ったかもしれない。
 
もちろん、クレベール公爵家への慰謝料やリオーネの王太子妃教育など、諸々の面倒な厄介ごとを考えなければ、だけど。

しかし、万が一に備えてジョージを婚約者にしたままの逢瀬であり、そのジョージが殺される原因にもなったため、リオーネと両親は貴族ではいられなくなった。

新たなパルモア伯爵は、関係のなかったユリアを養女にして責任を持つ覚悟で、引き取ったはずだ。
領民を盾に、ユリアから伯爵位を奪ったとも言える。


ユリアの結婚相手がどんな男かは知らない。
40代の男でも、幸せな結婚になる可能性もある。

だが、15歳の令嬢との結婚を受け入れるには理由があるべきだろう。

境遇に同情して、王都の喧騒から離れた場所で夫婦、あるいは親子のように穏やかに暮らす生活を与えてくれるというのであれば、問題はない。
 
あるいは身の回りの世話をする家政婦のような結婚だとしても、常識の範囲であればあり得る。

でももし、非道なことをする男だったら?

伯爵は最低な養父ということだろう。


  
 
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