聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん

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数日後、父がユリアの結婚相手について報告してくれた。
 

「ユリア嬢の結婚相手は42歳、一度離婚してからは独り身だ。問題なのは酒癖の悪さだ。
その時の機嫌にもよるそうだが、物や人に手が出るらしい。そのために使用人の入れ替わりが激しい。」

「ユリアを妻にして使用人代わりにするということですか?」

「そうだろうな。離婚しても彼女には戻る場所はない。離婚させてもらえないだろうがな。」


厄介な二人を領地に閉じ込めるための結婚で、金が絡む結婚というわけでもないらしい。

だから、離婚もさせてもらえない。
ユリアが暴力夫から逃げても、いつか見つかるだろう。
あるいは、もっと悪い奴に捕まって売られるかもしれない。
 

「お父様、ユリアに確認することはできるでしょうか。
その男と結婚することと、私に使われることと、どちらを望むかを。」

「ユリア嬢の中に入る気か?」

「会ってみなければわかりませんが、伯爵令嬢の彼女にはそこそこ魔力があるのではないかと思います。
私を受け入れてくれる体の一人になってもらえたら、彼女はそんな男と結婚しなくても済むのではないかと。」

「そうだな。聖堂で暮らす方が彼女にとってもいいかもしれない。」

「ただ、乙女で居続けてもらう必要があります。」


純潔を失えば、リリスティーナが入れなくなってしまうだろう。
そうなれば、ユリアは聖堂から出てもらう必要がある。

そう決めておかなければ、リリスティーナの役に立てなくなっても聖堂で働き続けられると思われるかもしれないから。
 
リリスティーナに乗っ取られることに納得してくれる女性だけを、聖堂で雇うつもりでいる。
聖堂内に住まいも与え、できればそこで暮らしてもらいたい。
 
リリスティーナの目の届くところに居てほしいから。

もちろん、結婚や子供を望むのであれば、役目を終えてもらってもいい。

だけど、ユリアに関しては、養父の勧める結婚を覆すような横やりを入れることになるため、『結婚したい人ができた』と安易に去ることを許すわけにはいかない。
 
できる限り長く聖堂に居続けることを条件に、結婚の話をなかったことにするのだから。


「ではユリア嬢をここに招こうか。」

「名目は何にするのです?」

「お茶会でいいんじゃないか?近況確認のようなものと匂わせれば伯爵は慌てるかもな。」


父はニヤッと笑った。
公爵家がユリアを呼び出すのだ。客観的な加害者家族であるユリアを。

ユリアの結婚のことを耳にして呼び出したとなれば、伯爵はどう思うだろうか。

ユリアが幸せになれないような相手をよくあてがったと父に喜ばれると期待するか、15歳の令嬢に非常識な相手をあてがったものだと蔑まれると怖れるか、どちらになるかと伯爵は気をもむことになるだろう。


 

 
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