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しおりを挟む聖女についての説明は、つまりは聖人は聖力を受け取ることのできる器のような者だと認識された。
聖人は聖力を持っているわけではない。
そのことが周知されていれば、たとえ他国であろうとも聖女を攫っても意味はないと伝わるだろう。
聖人に被害が及ぶことがなければ、それでいい。
『リリスティーナ聖堂』と名づけられたこの聖堂では、治癒を求める者は貴族・平民を問わず基本的には順番である。
ただし、大怪我を負っている者が運び込まれた場合はこの限りでない。
聖力の消費量により、一日の人数は左右される。
貴族には寄付を願い、平民はタダである。
ひと月のうち、一週間から十日は12領地へ向かう期間と聖女の休日に充てられるが、それ以外の日は聖堂にいることになっているため、急を要する怪我でない限り、並んでまで治癒を受ける必要はない。
古傷、欠損なども治癒で治すことができる。
病気は治せない。医者にかかるように。
そう説明されると、喜ぶ者と残念がる者がいたが、圧倒的に喜ぶ者が多かった。
並ぶ必要はないと言っているのに、翌日の早朝から並んでいる者は多くいた。
大した傷ではない者もいたが、手足の欠損や失明などを治癒すると、とても感謝された。
中には連れて来られないので家まで来てほしいという者もいて、往診日を設けて予約を受け付ける案も出てきた。
それほど大きな混乱はなく、聖女は受け入れられていった。
12領地を周るとき、公爵・侯爵家が取り纏めて治癒の優先者を決めてくれていた。
最初の数年はとにかく大変な人数になることは目に見えていた。
特に、騎士や町や村の警備隊は傷が絶えない。
後遺症に苦しむ者も少なくなかった。
やはり問題は、山や森から出てくる獣たちである。
獣を狩って生計を立てている者もいるが、彼らも怪我が絶えない。
リリスティーナは山道で獣に遭遇した際、自分が結界のような者を使えるということに気づいた。
試行錯誤を繰り返し、獣は通せないが人は行き来できる結界を生み出した。
これを獣の被害に苦しむ町や村と隣接する山や森との境に張り巡らしていった。
獣が他国に逃げればそれはそれで問題になる。
食材でもあるので、猟師たちには定期的に獣を狩らなければならない。
それでも、町や村に出てくる獣がいなくなったことで、彼らの不安は減り、準備万端で狩りに臨めるようになったという。
騎士たちにも、結界を信じ切らずに鍛錬を怠ることのないよう伝えている。
いつか聖女がいなくなる時、結界もなくなるのだ。
そう伝えて。
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