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しおりを挟む公爵家同士の結婚は王族に継ぐ規模のもので、特に披露宴は盛大なものとなった。
「今のお前なら王族に嫁げただろうにな。」
そう言ったのは、セレンティナの父、クレベール公爵である。
結婚式や披露宴での堂々としたセレンティナの様子を見て、そう呟いた。
セレンティナは確かに王子殿下の婚約者候補に挙がっていたらしい。
だが、人に怯える様子が幼い頃から強かったセレンティナの様子を見て、父は断念したようだ。
何度も怖い目に合っていることは父も知るところであり、ただそのフォローが何も為されなかったことが親として残念なところでもあった。
しかし、王族との結婚を無理強いするような父でなかったことは、セレンティナの救いであっただろう。
だが、公爵令嬢として有力な貴族に嫁ぐことは避けられない。
そうして選ばれたのがボッティ公爵家。
しかしそれでも、セレンティナにとっては苦しいものだったことに父は気づかなかった。
圧倒的に会話の少ない親子なのだ。
それが当たり前として育ってきたセレンティナは、誰も頼ることなくひたすら我慢するものでしかなかった。
リリスティーナとしては信じられないことだが、逆にセレンティナにとってはリリスティーナの家族が仲が良すぎると信じられない思いだったのだから。
「王族に嫁ぐなど、私には恐れ多いことです。ボッティ家でも不安はありますが、クローディス様やお義母様が助けて下さり少し自信が持てるようになってきました。」
これから家族になる人たちのお陰だと言ってみた。
「……そうか。まぁ、クレベールのためにも恥ずかしくない妻になれ。」
「はい。」
結局は、自分のクレベール家の評価にも繋がるから離婚などされるなよって言いたいらしい。
父なりの餞の言葉でもあるらしいが、言葉選びに問題がある気がする。
こんなだから、セレンティナに今まで何一つ興味を持たれていないと思われてきたのだ。
今後、両親と顔を合わせても、表面的な挨拶で終わるだろう。
もうそれでよかった。
一足先に披露宴を抜け出し、初夜の準備にとりかかった。
結婚式も初体験で緊張したが、初夜の方がもっと緊張するとわかった。
17歳で死んだリリスティーナ。
17歳のセレンティナの体を貰って、18歳になり、今から初夜である。
知識だけは十分にある。
未知の世界を開くのだ。
「セレンティナ。」
「クローヴィス様……」
「どうしても怖くて我慢できなくなったら言ってくれ。時間をかけて少しずつ進んでもいい。だが、できれば今日、最後まで抱きたい。」
「大丈夫です。怖くなるよりも恥ずかしいかもしれません。」
そう言うと、クローヴィスは優しく抱きしめてキスをした。
クローヴィスは最初から最後までセレンティナを気遣い、優しく抱いてくれた。
リリスティーナは、ようやく大人になれた気がした。
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