1 / 1
1
しおりを挟む
「ナッツルの婚約者、かわいいーって感じだよな」
「あんな地味な女、興味ないよ。あーあ。俺の婚約者もトゥメル公爵令嬢みたいなスタイル抜群の美人だったらなぁ」
「お前、ナッツルの婚約者も公爵令嬢だろ? ナッツルは伯爵令息なんだから、今の発言はまずいぞ」
「いいっていいって。あいつもあいつの両親も内気で勇気なんてないから」
わたくしの婚約者であるナッツル・キリグランド伯爵令息はいつもああやって、わたくしやわたくしの両親のことを蔑みます。婚約だって、伯爵家に頼みこまれて、お父様が仕方なく折れてしまったのだから。内気で断る勇気のないお父様は確かに公爵として問題だけども……。
「……僕は君の婚約者のこと可愛いと思うけどね?」
「だ、第二王子殿下!?」
貴族子女の憧れ、メルフラッツォ第二王子殿下。眉目秀麗で文武両道、完璧無欠の王子様。あのお方に、そんなふうに言って守ってもらえただけでわたくしは幸せですわ。
「君がそんなふうに婚約者を蔑ろにするのなら、僕が攫っちゃうかもしれないよ?」
ウインクを飛ばしてそうジョークをおっしゃる姿もメルフラッツォ殿下ならお似合いです。
「だ、だだ第二王子殿下には不釣り合いな女ですよ!」
「そうかな? ファメリア嬢のご実家サーベンディリアンヌ公爵家は歴史ある公爵家だけどね? 君がエスコートを放棄しているんだ。僕がダンスに誘っても許してくれるよね?」
「も、もちろんです。その、すみません」
「それを言う相手は僕じゃないよね?」
ナッツル様のご実家は、金を積んで爵位を買ったと言われることが多い、新興貴族です。もちろん国政にはお金が必要ですから、国にお金を収めることは大切なことです。しかし、“歴史ある公爵家”と、我が家のことを評するのは、メルフラッツォ殿下なりの嫌味でしょう。ナッツル様は気づいていらっしゃいませんが。
「あ、見てたの? ファメリア。僕と踊ってくれるかな? 君の婚約者の許可なら、取ってあるよ」
「わたくしにお断りできる理由がございません。喜んでお受けいたしますわ」
カーテシーをしてメルフラッツォ殿下のお手を取ります。メルフラッツォ殿下がわたくしに気軽にお声掛けくださる理由は、彼が図書館の住人だからという理由にすぎません。
「サーベンディリアンヌ公爵令嬢。このリストの本の場所、教えていただいてもよろしいかな?」
わたくしは、王宮図書館で司書として働かせていただいております。公爵令嬢が働くなんて、というご意見は老齢のお方からよく言われます。しかし、今は貴族令嬢も一度就職してから結婚する時代なのです。その職場として人気なのが王宮。もしかしたら、王族のお方とお近づきになれるかもしれません。少なくとも、王宮で働くお方はある程度の爵位があって、実力もあるお方。王宮で働くことのできる子女も礼儀作法が身についていて書類仕事や社交ができるお方。とてもいい婚活の場なのです。
婚約者のいる身ではありますが、婚姻のできる来年の十七歳の歳までは少しでも公爵家のお役に立ちたい、という思いと、憧れていた王宮図書館に立ち入ることのできるラストチャンスだと思い、わたくしは志願いたしました。
ただ、我が家は歴史ある分、家名がとても長いのです。“サーベンディリアンヌ公爵令嬢”と当初呼んでいただいていたメルフラッツォ第二王子殿下も、五回家名を噛んだところで、下の名で呼ぶ許可を求めていらっしゃいました。
「ファメリア嬢、類似図書はどのあたりにあるか教えていただいてもよろしいかな?」
“ファメリア嬢”と呼んでくださっていたメルフラッツォ殿下は、“嬢”の部分を何度か噛み、呼び捨てなさることとなりました。身分の上のものから下の者への呼び捨てならば、問題ありません。愛称で呼ぶとなると異性の場合は問題になりますが。
そうして、図書館の住人でいらしたメルフラッツォ殿下は、わたくしと気軽に言葉を交わす仲となったのです。もちろん、わたくしに婚約者がいることをご存知でいらっしゃるメルフラッツォ殿下が、その線を越えることを一切ありませんでしたわ。
「ファメリア……君はいつもあんなふうに言われているの?」
「えぇ、わたくしと我が家を馬鹿になさって、気持ちよくなっていらっしゃるのですわ」
「……将来、婿養子に入るのに?」
「そうなのです。わざわざ自分の入る家を罵倒するなんて……もしかして、今流行りの婚約破棄をなさるおつもりかもしれませんわ?」
わたくしがメルフレッツォ殿下とダンスを踊りながら、会話を交わします。踊りながらわたくしは気づいてしまいました。確かに、ナッツル様は浮き名を流している女性が何人かいらしたはずです。わたくし、顔も名前も知らないそのお方をいじめた罪で断罪されるのかしら?
「……君が、毎日図書館で仕事を真面目にしていて、婚約破棄されるような汚点がないことは、僕が証言してあげるよ」
「ありがとうございます」
「……今日、君はエスコートも受けていなかったんだね?」
お父様と一緒に会場にやってきて、挨拶したナッツル様に放置され、壁の華となるのは日常ですわ。優しいおじさま方がお声掛けくださることもしばしばあるけれど、一人は気楽で意外といいものですのよ?
「……いつものことですし、慣れていますわ」
わたくしがそう微笑むと、メルフラッツォ殿下は悲しそうな顔をなさいました。
「……僕なら絶対そんな目に合わせないのに」
ダンスを終えて、メルフラッツォ殿下はどちらかへ行かれるかと思ったら、わたくしの横にいてくださいます。いつもわたくしに話しかけてくださるおじさまたちは、顔を青くして、忙しそうにしていらっしゃいます。
「メ、メルフラッツォ殿下。我が娘がご迷惑をおかけして申し訳ございません」
お父様が慌てた様子でいらっしゃいました。今更、遅いですわ?
「あぁ。これはこれはサーベンディリアンヌ公爵。君の娘さんは、婚約者に不当な扱いを受けているよ。それを放っておくなんて……君は公爵家としての誇りを忘れてしまったのかい?」
「それは、その」
お父様は、焦った様子でわたくしを睨みつけます。しかし、間にメルフラッツォ殿下が入って、わたくしを守ってくださいました。
「君が怒るべきは、自分の娘でなくてナッツル・キリグランド伯爵令息じゃないのかな? あと、キリグランド伯爵と」
名前を挙げられたキリグランド伯爵は、顔色を青くして謝りにやってきました。ナッツル様はどちらにいらっしゃるのかしら? もしかして、女性と抜け出されたのかしら?
「父上。キリグランド伯爵令息は自身の婚約者を不当な扱いをし、キリグランド伯爵もサーベンディリアンヌ公爵もそれを指摘しなかった。この婚約は、国の利にはならないと思います。そのため、この婚約に僕は異議を申し立てます」
王子が問題を解決するために与えられる異議申し立ての権利。それを国王陛下が承認なされば、正式な王命として認められます。と、その前に。
「ナッツル・キリグランドはどこにいったのだ?」
国王陛下のお言葉に会場がざわつきます。
「……先ほど女性を追って出ていくのを見かけましたわ」
「わたくしも」
「僕もです」
ナッツル様の次の婚約は絶望的でしょう。苦虫を噛み潰したかのような顔をした国王陛下は、返答なさいます。
「……確かに歴史あるサーベンディリアンヌ公爵家には不利益にしかならないようだ。メルフラッツォの訴えを認めよう……そして、新たな婚約者として、メルフラッツォ。お前が公爵となれ。現公爵は公爵に向かない。引退していただこう。あぁ、キリグランド伯爵。公爵家が特別な存在であることを知らないとは言わせない。身分を弁えるように。公爵家を乗っ取ろうとしたこと、追って、沙汰を言い渡す」
“公爵”それは、この国の根幹に関わる何かを守るものです。決して蹂躙されてはならない存在です。実は、おじいさまからわたくしが次代の守り主として選定されました。ですから、お父様はあくまで繋ぎでいらっしゃるのです。繋ぎの身でありながら公爵家に不利益を与えたお父様は、公爵の座を追われることとなりました。……“守り主”は、一般には、御伽話と思われているのでしょうけどね。わたくしが守るものが何かは、誰にも明かしてはならないのです。
「父上……僕に自分で言わせてください。ファメリア・サーベンディリアンヌ公爵令嬢。君のことを好きだ。婚約者になるという名誉を僕に与えてくれないか?」
「……殿下、わたくしの名前を噛まずに言えるのですね? わかりました。謹んでお受けいたします」
美しい花束と共に差し出された指輪に指を通します。拍手に包まれました。
「メルフラッツォ様は、いつからわたくしに興味をお持ちになっていたの?」
「最初からだよ。父上にサーベンディリアンヌ公爵家を調査しろと言われた時からね。だから、父上に根回しした上で、婚約破棄と新たな婚約者として僕を認めてもらうように、動いていたんだ」
「……だから、あのリストにはやけに王国の歴史や婚約に関するものが多かったのですね」
「先例を探していてね。五十年ほど前にも婚約者を尊重しない男性の婚約破棄が認められた例があって。それを父上に見せて説得したんだよ」
そう笑うメルフラッツォ様は、我が家の家名をすらすらと暗唱なさるのでした。
「あんな地味な女、興味ないよ。あーあ。俺の婚約者もトゥメル公爵令嬢みたいなスタイル抜群の美人だったらなぁ」
「お前、ナッツルの婚約者も公爵令嬢だろ? ナッツルは伯爵令息なんだから、今の発言はまずいぞ」
「いいっていいって。あいつもあいつの両親も内気で勇気なんてないから」
わたくしの婚約者であるナッツル・キリグランド伯爵令息はいつもああやって、わたくしやわたくしの両親のことを蔑みます。婚約だって、伯爵家に頼みこまれて、お父様が仕方なく折れてしまったのだから。内気で断る勇気のないお父様は確かに公爵として問題だけども……。
「……僕は君の婚約者のこと可愛いと思うけどね?」
「だ、第二王子殿下!?」
貴族子女の憧れ、メルフラッツォ第二王子殿下。眉目秀麗で文武両道、完璧無欠の王子様。あのお方に、そんなふうに言って守ってもらえただけでわたくしは幸せですわ。
「君がそんなふうに婚約者を蔑ろにするのなら、僕が攫っちゃうかもしれないよ?」
ウインクを飛ばしてそうジョークをおっしゃる姿もメルフラッツォ殿下ならお似合いです。
「だ、だだ第二王子殿下には不釣り合いな女ですよ!」
「そうかな? ファメリア嬢のご実家サーベンディリアンヌ公爵家は歴史ある公爵家だけどね? 君がエスコートを放棄しているんだ。僕がダンスに誘っても許してくれるよね?」
「も、もちろんです。その、すみません」
「それを言う相手は僕じゃないよね?」
ナッツル様のご実家は、金を積んで爵位を買ったと言われることが多い、新興貴族です。もちろん国政にはお金が必要ですから、国にお金を収めることは大切なことです。しかし、“歴史ある公爵家”と、我が家のことを評するのは、メルフラッツォ殿下なりの嫌味でしょう。ナッツル様は気づいていらっしゃいませんが。
「あ、見てたの? ファメリア。僕と踊ってくれるかな? 君の婚約者の許可なら、取ってあるよ」
「わたくしにお断りできる理由がございません。喜んでお受けいたしますわ」
カーテシーをしてメルフラッツォ殿下のお手を取ります。メルフラッツォ殿下がわたくしに気軽にお声掛けくださる理由は、彼が図書館の住人だからという理由にすぎません。
「サーベンディリアンヌ公爵令嬢。このリストの本の場所、教えていただいてもよろしいかな?」
わたくしは、王宮図書館で司書として働かせていただいております。公爵令嬢が働くなんて、というご意見は老齢のお方からよく言われます。しかし、今は貴族令嬢も一度就職してから結婚する時代なのです。その職場として人気なのが王宮。もしかしたら、王族のお方とお近づきになれるかもしれません。少なくとも、王宮で働くお方はある程度の爵位があって、実力もあるお方。王宮で働くことのできる子女も礼儀作法が身についていて書類仕事や社交ができるお方。とてもいい婚活の場なのです。
婚約者のいる身ではありますが、婚姻のできる来年の十七歳の歳までは少しでも公爵家のお役に立ちたい、という思いと、憧れていた王宮図書館に立ち入ることのできるラストチャンスだと思い、わたくしは志願いたしました。
ただ、我が家は歴史ある分、家名がとても長いのです。“サーベンディリアンヌ公爵令嬢”と当初呼んでいただいていたメルフラッツォ第二王子殿下も、五回家名を噛んだところで、下の名で呼ぶ許可を求めていらっしゃいました。
「ファメリア嬢、類似図書はどのあたりにあるか教えていただいてもよろしいかな?」
“ファメリア嬢”と呼んでくださっていたメルフラッツォ殿下は、“嬢”の部分を何度か噛み、呼び捨てなさることとなりました。身分の上のものから下の者への呼び捨てならば、問題ありません。愛称で呼ぶとなると異性の場合は問題になりますが。
そうして、図書館の住人でいらしたメルフラッツォ殿下は、わたくしと気軽に言葉を交わす仲となったのです。もちろん、わたくしに婚約者がいることをご存知でいらっしゃるメルフラッツォ殿下が、その線を越えることを一切ありませんでしたわ。
「ファメリア……君はいつもあんなふうに言われているの?」
「えぇ、わたくしと我が家を馬鹿になさって、気持ちよくなっていらっしゃるのですわ」
「……将来、婿養子に入るのに?」
「そうなのです。わざわざ自分の入る家を罵倒するなんて……もしかして、今流行りの婚約破棄をなさるおつもりかもしれませんわ?」
わたくしがメルフレッツォ殿下とダンスを踊りながら、会話を交わします。踊りながらわたくしは気づいてしまいました。確かに、ナッツル様は浮き名を流している女性が何人かいらしたはずです。わたくし、顔も名前も知らないそのお方をいじめた罪で断罪されるのかしら?
「……君が、毎日図書館で仕事を真面目にしていて、婚約破棄されるような汚点がないことは、僕が証言してあげるよ」
「ありがとうございます」
「……今日、君はエスコートも受けていなかったんだね?」
お父様と一緒に会場にやってきて、挨拶したナッツル様に放置され、壁の華となるのは日常ですわ。優しいおじさま方がお声掛けくださることもしばしばあるけれど、一人は気楽で意外といいものですのよ?
「……いつものことですし、慣れていますわ」
わたくしがそう微笑むと、メルフラッツォ殿下は悲しそうな顔をなさいました。
「……僕なら絶対そんな目に合わせないのに」
ダンスを終えて、メルフラッツォ殿下はどちらかへ行かれるかと思ったら、わたくしの横にいてくださいます。いつもわたくしに話しかけてくださるおじさまたちは、顔を青くして、忙しそうにしていらっしゃいます。
「メ、メルフラッツォ殿下。我が娘がご迷惑をおかけして申し訳ございません」
お父様が慌てた様子でいらっしゃいました。今更、遅いですわ?
「あぁ。これはこれはサーベンディリアンヌ公爵。君の娘さんは、婚約者に不当な扱いを受けているよ。それを放っておくなんて……君は公爵家としての誇りを忘れてしまったのかい?」
「それは、その」
お父様は、焦った様子でわたくしを睨みつけます。しかし、間にメルフラッツォ殿下が入って、わたくしを守ってくださいました。
「君が怒るべきは、自分の娘でなくてナッツル・キリグランド伯爵令息じゃないのかな? あと、キリグランド伯爵と」
名前を挙げられたキリグランド伯爵は、顔色を青くして謝りにやってきました。ナッツル様はどちらにいらっしゃるのかしら? もしかして、女性と抜け出されたのかしら?
「父上。キリグランド伯爵令息は自身の婚約者を不当な扱いをし、キリグランド伯爵もサーベンディリアンヌ公爵もそれを指摘しなかった。この婚約は、国の利にはならないと思います。そのため、この婚約に僕は異議を申し立てます」
王子が問題を解決するために与えられる異議申し立ての権利。それを国王陛下が承認なされば、正式な王命として認められます。と、その前に。
「ナッツル・キリグランドはどこにいったのだ?」
国王陛下のお言葉に会場がざわつきます。
「……先ほど女性を追って出ていくのを見かけましたわ」
「わたくしも」
「僕もです」
ナッツル様の次の婚約は絶望的でしょう。苦虫を噛み潰したかのような顔をした国王陛下は、返答なさいます。
「……確かに歴史あるサーベンディリアンヌ公爵家には不利益にしかならないようだ。メルフラッツォの訴えを認めよう……そして、新たな婚約者として、メルフラッツォ。お前が公爵となれ。現公爵は公爵に向かない。引退していただこう。あぁ、キリグランド伯爵。公爵家が特別な存在であることを知らないとは言わせない。身分を弁えるように。公爵家を乗っ取ろうとしたこと、追って、沙汰を言い渡す」
“公爵”それは、この国の根幹に関わる何かを守るものです。決して蹂躙されてはならない存在です。実は、おじいさまからわたくしが次代の守り主として選定されました。ですから、お父様はあくまで繋ぎでいらっしゃるのです。繋ぎの身でありながら公爵家に不利益を与えたお父様は、公爵の座を追われることとなりました。……“守り主”は、一般には、御伽話と思われているのでしょうけどね。わたくしが守るものが何かは、誰にも明かしてはならないのです。
「父上……僕に自分で言わせてください。ファメリア・サーベンディリアンヌ公爵令嬢。君のことを好きだ。婚約者になるという名誉を僕に与えてくれないか?」
「……殿下、わたくしの名前を噛まずに言えるのですね? わかりました。謹んでお受けいたします」
美しい花束と共に差し出された指輪に指を通します。拍手に包まれました。
「メルフラッツォ様は、いつからわたくしに興味をお持ちになっていたの?」
「最初からだよ。父上にサーベンディリアンヌ公爵家を調査しろと言われた時からね。だから、父上に根回しした上で、婚約破棄と新たな婚約者として僕を認めてもらうように、動いていたんだ」
「……だから、あのリストにはやけに王国の歴史や婚約に関するものが多かったのですね」
「先例を探していてね。五十年ほど前にも婚約者を尊重しない男性の婚約破棄が認められた例があって。それを父上に見せて説得したんだよ」
そう笑うメルフラッツォ様は、我が家の家名をすらすらと暗唱なさるのでした。
200
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない
エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい
最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。
でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
異母姉の代わりに嫁いだら、お相手の伯爵様が人面犬だった
朧月ひより
恋愛
平民として母とつつましく暮らしていたエレナだが、母の治療と引き換えに男爵家の娘になるよう迫られる。
男爵の狙いは、姉の代わりに「化物伯爵」と恐れられる男に嫁がせることだった。
あっという間に伯爵家に送られたエレナが見たのは、犬の体に人の顔をもつ、呪われた伯爵の姿。
「だめ、堪えきれない……」
恐怖どころか笑いのツボにハマったエレナは大爆笑――が、なぜか婚姻が成立してしまう。
月日がたち、美しい青年の姿を取り戻した伯爵とエレナは、婚儀の準備を進めていた。
だがそこへ、かつて婚約を押し付けた姉が現れ、伯爵を奪おうと画策する――。
王子の影武者と婚約した令嬢、“フラれた女”として王都で噂されているけど気にしません!
大井町 鶴
恋愛
王子と見紛う青年の正体は、極秘に育てられた影武者だった。
任務、それは王子として振る舞い、誰にも正体を悟られないこと。
だが彼の前に現れたのは、王子が婚約者にと選ぶことになる、宰相の令嬢。
(惹かれてはいけないのに、惹かれる)
気持ちを抑えてクールに振る舞う彼に、彼女はこう言った。
「殿下が、殿下ではない……そんな気がしたのです」
聡くて大胆な彼女と、正体を隠す影武者。
これは、海辺の別荘でふたりが静かに幸せを育むまでのヒミツのお話。
婚約破棄された令嬢は、“神の寵愛”で皇帝に溺愛される 〜私を笑った全員、ひざまずけ〜
夜桜
恋愛
「お前のような女と結婚するくらいなら、平民の娘を選ぶ!」
婚約者である第一王子・レオンに公衆の面前で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢セレナ。
彼女は涙を見せず、静かに笑った。
──なぜなら、彼女の中には“神の声”が響いていたから。
「そなたに、我が祝福を授けよう」
神より授かった“聖なる加護”によって、セレナは瞬く間に癒しと浄化の力を得る。
だがその力を恐れた王国は、彼女を「魔女」と呼び追放した。
──そして半年後。
隣国の皇帝・ユリウスが病に倒れ、どんな祈りも届かぬ中、
ただ一人セレナの手だけが彼の命を繋ぎ止めた。
「……この命、お前に捧げよう」
「私を嘲った者たちが、どうなるか見ていなさい」
かつて彼女を追放した王国が、今や彼女に跪く。
──これは、“神に選ばれた令嬢”の華麗なるざまぁと、
“氷の皇帝”の甘すぎる寵愛の物語。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
婚約者を奪う女と言われた私、13番目の婚約者と対峙する
大井町 鶴
恋愛
エドウィジュ伯爵家のエリアーヌには歴代の婚約者が12人もいた。そんな彼女は『悪女』と呼ばれている。なぜなら、彼女は姉たちの婚約者を次々と奪ったとされているから。そして、目の前には13人目の彼がいた。目の前の男性・ベルトランは、そんなエリアーヌだからこそ結婚したいと言っている。ほんのりざまあ、たっぷり溺愛、サクサク読める伯爵令嬢の逆転ラブストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる