損切り女子はスパダリ彼氏と別れたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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「最近は、結婚の話なんてする暇なかったと思う。よーちゃん忙しすぎたし」
「就職する前のサユが言っていた。結婚するなら、資産は作っておかないとって。ある程度の資産は作ったし結婚できると思う」 

「仕事辞めたこと、私はまだ納得してないよ。それに、一緒に住むことも、移住の話も、全然納得してない。なのになんで勝手に決めちゃうの」
「サユと別れたくなかったから。サユは不要ってなれば損切りするだろ。知ってるよ。高校の頃も、大学の頃も、得にならないって思うと別れよって言ってくる」

「得って人聞きが悪いよ……。付き合い続けても先が見えなかったら、別れたいってだけ」
「それを損切りっていうんだよ。サユにとって不良債権にならないように生きていかなきゃいけない」
「……」

「仕事頑張って、応援してる。サユがそう言わなければ、ここまで頑張ってきてない。全部サユのためだ」

 かつて感じていたはずの恐怖を久しぶりに思い出していた。

 秀才のイケメン、もったいないイケメン、ハイスペックのイケメン。
 よーちゃんに冠される名前は色々あった。

 知識が豊富な人って尊敬できるよね、と一言言えば、あっさりと学年一位をとる。

 よーちゃんってカッコいいから、モテちゃいそうでちょっと怖いなと私が言えば、身だしなみを完全手抜きし出し、成績もかろうじて単位をもらえるレベルまで下方修正した。

 なんのアイデアもなく、なんとなく起業すると言う彼に、とりあえずは社会経験として就職しようよ、と一つのアイデアとして気軽に言えば大手企業にあっさり就職して、メキメキ出世していく。

 そう、そうだった。よーちゃんはそういう人だった、と思い出す。

「サユは俺と結婚したいって言った。だから、結婚するのに最適な男になりたい」
「結婚するのに、最適な男?」
 ってなんだろう?
 と思っていたら、
「サユはどんな男と結婚したい?」
 と聞いてくる。
「サユが望む男になるから」

 彼には自分がない。そして、全てが私中心だ。
 すっかり忘れていたけれど。

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