頬杖をつく女 2017.5.23 〜

鏡子 (きょうこ)

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第48章 いつかどこかで

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1985年のイラン・イラク戦争で、イラクは、イラン上空の航空機について、48時間後から無差別に攻撃すると宣言した。当時の日本国は、自衛隊による在外邦人救援ができなかった。日本で唯一国際線を運航していた日本航空も「安全の保証がされない限り臨時便は出さない」とし[14]、日本人がイランから脱出できない状況に陥った。日本の大使がトルコの大使に窮状を訴えたところ、トルコ航空は自国民救援のための旅客機を2機に増やした。215名の日本人はこれに分乗し、全員トルコのアタテュルク国際空港経由で無事に日本へ帰国できた[注釈 1][注釈 2]。

この逸話は2002 FIFAワールドカップでのサッカートルコ代表チームの活躍を機に、テレビ番組や雑誌で取り上げられた。2004年にはこれを紹介した児童書が小学生高学年向けの読書感想文コンクール課題図書になった[注釈 3]。2007年、エルトゥールル号回顧展[16]にあわせて東京都三鷹市の中近東文化センターでこの逸話に関するシンポジウムが開催され、当時の関係者[注釈 4]が出席した。

2015年、ターキッシュ エアラインズは日本乗り入れに使用しているエアバスA330型機「KUSHIMOTO号」に、1985年当時のデザインの特別塗装を施した[注釈 5]。

近年の日土交流 編集
串本町は、トルコの2つの町と姉妹都市提携をしている[注釈 6]。樫野埼灯台そばにはエルトゥールル号殉難将士慰霊碑およびトルコ記念館が建っており、町と在日本トルコ大使館の共催による慰霊祭が5年ごとに行われている。事件から125年となった2015年には、トルコ海軍の軍艦ゲティズが下関・串本・東京の3港を訪れ、串本町で行われた追悼式典に参加した[17]。

2012年2月から3月にかけて日本の外務省がトルコの民間会社に委託して行った調査によると、トルコでエルトゥールルの遭難事件を「知っている」と回答したのは29.9%だった。同じ調査で、近年の日本の経済協力案件である第2ボスポラス大橋は44.9%、マルマライ計画は52.5%だった[18]。
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