頬杖をつく女 2017.5.23 〜

第１章 私は、絵を探す

襞襟を付けた外国人

小学生の低学年くらいの頃に見た夢が
忘れられない。

私は、外国の人たちに取り囲まれる夢を見た経験がある。

その人たちは、懸命に私に、訴えかけてきた。

「眠る女は眠っていない。タイトルを、元通りに戻して欲しい」と… 


余りにも凄まじい剣幕で訴えてこられたので、
目覚めてからも、その夢を覚えていた。

起きても尚、冷や汗が出るほどの緊張感があった。



忘れられなかった理由は、それだけではない。
その外国人の人たちは、今まで見たことのないような、変わった服装をしていた。

まるで襟巻きトカゲみたいに、ヒダヒダの襟を付けた
ブラウス…




その夢は、私に強烈な印象を残す。




何年か経って、社会科の教科書で、
フランシスコ・ザビエルが長崎に宣教師として来日した挿し絵を見た時 、私は驚いた。


「あの時、私の夢に現れた外国人と同じ服装だ！」 


16世紀当時、オランダ人の間で、ひだ襟のシャツは流行していた服装だったらしい。


ひだ襟をつけた外国人から教えてもらった情報は、一体何を意味するのか？


その時の私は、知るすべもなかった。