好感度0になるまで終われません。

チョコパイ

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過去へのレクイエム

種も仕掛けもございません。

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「イヤァ!!」

私の悲鳴でディアがとび起きる。

「レイヤ…」

ディアが私の肩を掴む。

「ディア…ディアーが…ディアーが……」

ディアが視線をディアーが寝ていた場所へと移す。

「たっ…たまご??」

そこには金色に輝く玉子がフルフルと震えている。

「ディアー?」

ディアが玉子に話しかけると玉子がピョンピョンと跳ねる。

「本当にディアーなの?」

私の問いに玉子はコロコロとその場を転がりまわる。

「何故、玉子なんかに…」

転がる玉子(ディアー)を見つめながらあれこれと考える。

そもそも聖木から出てきた時点でディアーが特別な存在だとわかっていたはずなのに…

たった一日、一緒に居ただけなのに…
心にポッカリと穴があいたみたいだ。

ディアが玉子に布団をかけると侍女を呼びアレコレと指示する。

「ディア……
本当にその格好で居るの?」

目の前のディアは布で玉子(ディアー)を包み込むようなスタイルだ。

まるでカンガルーだわ…
思わず笑みがこぼれる。

カンガルー?
あれ?カンガルーって何だっけ?

ズキズキと頭が痛くなる。

ティセに来てから過去のことが少しずつ思い出せなくなってきている。

今では前世の夫達の顔を思い出すことが難しくなった。

「…イヤ、レイヤ!!」

ディアが不安そうに私の手をにぎる。

「大丈夫?」

ディアの手を握り返す。

「なんか長年の謎の答えがなんとなくわかった気がして…」

私の言葉にディアが首を傾げる。

「ほら、よく言うじゃない…鶏が先か卵が先かって?」

「鶏が先か卵が先か?
それはどういう意味?」

ディアの態度で、ここがまだ発生学も生物学もない世界だと気がつく。

「そうね…先にどちらが誕生したのか?のたとえみたいなものかしら?」

「それこそ神様のおめしぼしだね。」

ディアが笑う。

「ほらディアーなんて両方になれちゃうんだもん。鶏も卵もどっちもディアーに代わりないんだし…どちらのディアーも可愛くて仕方ないよ。」

ディアらしい…そう思った。

鶏でも卵でも今のディアーを受け入れる。

「ディア、本当にそうね。
ディアーはディアーだわ。どちらのディアーも愛しくて仕方ないわ。」

私は玉子に唇をよせる。

チュッ…

私の唇が触れた部分が金色に光輝く。

「ディアーばっかりズルいよ。レイヤ、私には?」

ディアが身を屈め頬をつきだす。

「ディア、有り難う。
ディアーはディアー。
過去でもなく未来でもなく大切なのは今…今なんだよね。」

ディアの頬に唇をよせる。

もう怖くなんかない。
過去は過去だ。

私には今、誰よりも近くで寄り添ってくれるディアがいる。

「レイヤ…あいしてる。」

ディアの唇が私の頬にそっと触れた。
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