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過去へのレクイエム
抱卵
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「とりあえずティセの王に話した方がいいだろうな。」
ディアが玉子を抱えたまま私の手をとると従者におじ様との面会を取るよう指示する。
「レイヤ、ディアーに触れてみて…ちゃんと拍動がわかるんだ。」
ディアが私の手をディアーへと導く。
トクントクントクン…
アンダンテから
トクトクトクトク…
アレグレットに変わる。
「やっぱり…」
ディアが声をあげて笑う。
「ディアーの拍動と私の拍動が同じなんだ。」
??
「ほら…」
ディアが自分の胸に私の手をおく。
トクントクントクン…
アンダンテから…
トクトクトクトク…
アレグレットに変わる。
「ねっ?」
顔を赤らめて私の顔を覗きこむ。
プイッ…照れ臭くて顔を背けながら
「ディアーの力が聖力だとしたら対価は時間なのかしら?」
私の言葉にディアが
「だとしたら…なんとなくレイヤに似ているよね。」
私とディアーが似ている?
「ずっと考えていたんだ。レイヤが何故、何度も生まれ変わって人生を繰り返すのか…
ティセに来てからレイヤの過去が朧気に感じることが出来るようになったんだ…
昨日、ディアーに出会って何となくディアーからレイヤを感じたんだ。
姿形は違うけど…
うまく言えないけど…
ディアーはレイヤなんじゃないのかなって…」
!!!
「まっ待って…私がディアーなの?
えっ?ディアーが私?」
意味がわからないままディアを見つめる。
「王に確認をとらないといけないんだけどね。
正確に言えばレイヤとディアーの聖力の源が同じなんだと思う。
今はまだこれしか言えないけど…ここにレイヤの知りたかった答えがあると思うんだ。」
ディアが微笑む。
「レイヤ、私の考えが正しいのならばレイヤは決して呪われてなどいないはずだよ。寧ろ愛されているからこそ…」
トントン
「王からも取り急ぎお二人にお会いしたいとのことです。」
従者の言葉を聞いてディアが
「続きはあとにしよっか…まずはディアーについて報告しないとね。
ディアーはティセの守護神なのだから…」
玉子を抱えて歩く帝国の皇太子に周囲の目は釘付けだ。
昨日は子供を連れ、今日は玉子を抱えて…これでは帝国の皇太子としての威厳を損ねるだろうに、ディアはお構いなしだ。
あっ…この感じ
まるで父だわ。
社交界に関心すら持たない娘に世間の目は厳しかった。
それでも父は私を信じ私の好きなようにさせてくれた。
愛されている…
隣を歩くディアを見つめる。
私の視線に気がついたのかディアが私のエスコートする手に力をこめる。
「大丈夫、こう見えて私はレイヤの次に優秀なのだから…これくらいの事で私の価値は下がらないよ。」
ふっ…
息がもれる。
「そうね…そろそろ万年一位も飽きてきたから、ディアが変わってくれると嬉しいんだけどな…」
ディアの右眉がヒクリと上にあがる。
「私が芸術が苦手なことを知っているくせに…」
ディアの絵心は三歳で時が止まってしまったらしく、犬を描けば魚に間違われ、人を描けば怪物と間違われるレベルだ。
「計算も私の方が得意だわ。」
からかうようにディアを見上げ微笑む。
「運動と経済なら私の方が得意だが…」
道すがら私達二人の様子を見ていた王国の詩人が後に書いた愛の詩の一節にこう記されている。
『愛とは共に歩み
共に学び
共に遊び
共に喜び
共に苦しむ
だからこそ愛は
互いに優劣をつけず
互いに補う
悲しみも苦しみも
喜びと微笑みにかえ
ただ共に歩む』
詩集の表紙絵には玉子を抱えて歩く男性とぴったりと寄り添う女性の挿し絵が描かれている。
詩集「抱卵」は王国だけではなく帝国でも人気になり語り継がれる名作となったことを今は誰も知るよしもなかった。
ディアが玉子を抱えたまま私の手をとると従者におじ様との面会を取るよう指示する。
「レイヤ、ディアーに触れてみて…ちゃんと拍動がわかるんだ。」
ディアが私の手をディアーへと導く。
トクントクントクン…
アンダンテから
トクトクトクトク…
アレグレットに変わる。
「やっぱり…」
ディアが声をあげて笑う。
「ディアーの拍動と私の拍動が同じなんだ。」
??
「ほら…」
ディアが自分の胸に私の手をおく。
トクントクントクン…
アンダンテから…
トクトクトクトク…
アレグレットに変わる。
「ねっ?」
顔を赤らめて私の顔を覗きこむ。
プイッ…照れ臭くて顔を背けながら
「ディアーの力が聖力だとしたら対価は時間なのかしら?」
私の言葉にディアが
「だとしたら…なんとなくレイヤに似ているよね。」
私とディアーが似ている?
「ずっと考えていたんだ。レイヤが何故、何度も生まれ変わって人生を繰り返すのか…
ティセに来てからレイヤの過去が朧気に感じることが出来るようになったんだ…
昨日、ディアーに出会って何となくディアーからレイヤを感じたんだ。
姿形は違うけど…
うまく言えないけど…
ディアーはレイヤなんじゃないのかなって…」
!!!
「まっ待って…私がディアーなの?
えっ?ディアーが私?」
意味がわからないままディアを見つめる。
「王に確認をとらないといけないんだけどね。
正確に言えばレイヤとディアーの聖力の源が同じなんだと思う。
今はまだこれしか言えないけど…ここにレイヤの知りたかった答えがあると思うんだ。」
ディアが微笑む。
「レイヤ、私の考えが正しいのならばレイヤは決して呪われてなどいないはずだよ。寧ろ愛されているからこそ…」
トントン
「王からも取り急ぎお二人にお会いしたいとのことです。」
従者の言葉を聞いてディアが
「続きはあとにしよっか…まずはディアーについて報告しないとね。
ディアーはティセの守護神なのだから…」
玉子を抱えて歩く帝国の皇太子に周囲の目は釘付けだ。
昨日は子供を連れ、今日は玉子を抱えて…これでは帝国の皇太子としての威厳を損ねるだろうに、ディアはお構いなしだ。
あっ…この感じ
まるで父だわ。
社交界に関心すら持たない娘に世間の目は厳しかった。
それでも父は私を信じ私の好きなようにさせてくれた。
愛されている…
隣を歩くディアを見つめる。
私の視線に気がついたのかディアが私のエスコートする手に力をこめる。
「大丈夫、こう見えて私はレイヤの次に優秀なのだから…これくらいの事で私の価値は下がらないよ。」
ふっ…
息がもれる。
「そうね…そろそろ万年一位も飽きてきたから、ディアが変わってくれると嬉しいんだけどな…」
ディアの右眉がヒクリと上にあがる。
「私が芸術が苦手なことを知っているくせに…」
ディアの絵心は三歳で時が止まってしまったらしく、犬を描けば魚に間違われ、人を描けば怪物と間違われるレベルだ。
「計算も私の方が得意だわ。」
からかうようにディアを見上げ微笑む。
「運動と経済なら私の方が得意だが…」
道すがら私達二人の様子を見ていた王国の詩人が後に書いた愛の詩の一節にこう記されている。
『愛とは共に歩み
共に学び
共に遊び
共に喜び
共に苦しむ
だからこそ愛は
互いに優劣をつけず
互いに補う
悲しみも苦しみも
喜びと微笑みにかえ
ただ共に歩む』
詩集の表紙絵には玉子を抱えて歩く男性とぴったりと寄り添う女性の挿し絵が描かれている。
詩集「抱卵」は王国だけではなく帝国でも人気になり語り継がれる名作となったことを今は誰も知るよしもなかった。
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