71 / 98
過去へのレクイエム
過去へのレクイエム 前編
しおりを挟む
部屋に戻るとおじ様が貸してくれた古書に目を通す。
「この本は王家の血を継ぐものしか読めないんだ。」
おじ様の言葉の意味がすぐにわかる。
ディアには古書の字が読めないのだ。
「ティセの王家の血統しか読めないように制限魔法がかけてあるみたいだね。
私にはどのページも白紙にしか見えないんだ。
それに王が言っていた通り、ページすらめくれない箇所が幾つかあるんだ。」
おじ様が部屋を出る時
『私にも読めない箇所が幾つかあるんだが、もし読むことが出来たら教えてくれないだろうか?』
そう言ったのだ。
ディアが私を見つめ
「読書の邪魔をしないように退室するよ…
レイヤ、何かあったら指輪に呼びかけて…」
そう微笑むと私の額に唇を落とし部屋を出ていく。
古書の表紙には
『過去へのレクイエム』
そう書かれている。
レクイエム(鎮魂曲)
あまり明るいものではなさそうね…
ページをめくると飛び出す絵本のように本から立体の絵画が浮かび上がる。
それはまるで舞台のように演者達が物語を紡いでいく。
不浄の土地に若い夫婦が国を追われるようにしてそこに根を下ろす。
二人で協力し土地を耕し、木々を植え川を作る。
数年後には子供も生まれ貧しいながらも思いやりと愛に満ちた暮らしが続く。
数十年後には同じように国を追われた人々が集まり集落ができる。
若かった二人も白髪が目立つようになる頃には集落は国となり、ティセの初代国王、王妃となった二人は国をより豊かにするために、禁足地である森を開拓する。
しばらくすると禁足地に入った者に異変があらわれるようになった。
発熱、倦怠感、そして手足等に壊死が始まり命を落とす。
病は禁足地に入った者から、周辺へと広がっていく。
そこへ王女が現れる。
王女は病に苦しむ人々を看病し私財を売って皆に手を差しのべる。
病に倒れた王と王妃に変わり、献身的に国民に尽くす姿はまさに聖女そのものだった。
そんな時、宣教師があらわれる。
彼は不思議な力を使い病に苦しむ王を助け国の発展に力をかした。
ジッジジジジッジジジ…
絵画が乱れる。
目が眩むほどの光が視界を奪うとディアーが私の目の前にあらわれる。
絵画が巻き戻っていく…
「マッマ…これ…ちがう…」
頭の中にディアーの声が響く。
「これ…ちがう…」
バターン
扉が勢いよく開くとディアが息をきらして私とディアーを抱きしめる。
「良かった…無事で……
突然、ディアーが消えたからレイヤに何かあったのかと思って……」
ディアが私をのぞきこむ。
「怪我はない?どこか具合悪くなってはいない?」
私はディアの手を頬にあて微笑む。
「大丈夫、どこも問題はないわ……でも強いて言うなら…」
私は視線を古書へとむける。
ディアも同様に視線を古書へとむけると……
「この本は王家の血を継ぐものしか読めないんだ。」
おじ様の言葉の意味がすぐにわかる。
ディアには古書の字が読めないのだ。
「ティセの王家の血統しか読めないように制限魔法がかけてあるみたいだね。
私にはどのページも白紙にしか見えないんだ。
それに王が言っていた通り、ページすらめくれない箇所が幾つかあるんだ。」
おじ様が部屋を出る時
『私にも読めない箇所が幾つかあるんだが、もし読むことが出来たら教えてくれないだろうか?』
そう言ったのだ。
ディアが私を見つめ
「読書の邪魔をしないように退室するよ…
レイヤ、何かあったら指輪に呼びかけて…」
そう微笑むと私の額に唇を落とし部屋を出ていく。
古書の表紙には
『過去へのレクイエム』
そう書かれている。
レクイエム(鎮魂曲)
あまり明るいものではなさそうね…
ページをめくると飛び出す絵本のように本から立体の絵画が浮かび上がる。
それはまるで舞台のように演者達が物語を紡いでいく。
不浄の土地に若い夫婦が国を追われるようにしてそこに根を下ろす。
二人で協力し土地を耕し、木々を植え川を作る。
数年後には子供も生まれ貧しいながらも思いやりと愛に満ちた暮らしが続く。
数十年後には同じように国を追われた人々が集まり集落ができる。
若かった二人も白髪が目立つようになる頃には集落は国となり、ティセの初代国王、王妃となった二人は国をより豊かにするために、禁足地である森を開拓する。
しばらくすると禁足地に入った者に異変があらわれるようになった。
発熱、倦怠感、そして手足等に壊死が始まり命を落とす。
病は禁足地に入った者から、周辺へと広がっていく。
そこへ王女が現れる。
王女は病に苦しむ人々を看病し私財を売って皆に手を差しのべる。
病に倒れた王と王妃に変わり、献身的に国民に尽くす姿はまさに聖女そのものだった。
そんな時、宣教師があらわれる。
彼は不思議な力を使い病に苦しむ王を助け国の発展に力をかした。
ジッジジジジッジジジ…
絵画が乱れる。
目が眩むほどの光が視界を奪うとディアーが私の目の前にあらわれる。
絵画が巻き戻っていく…
「マッマ…これ…ちがう…」
頭の中にディアーの声が響く。
「これ…ちがう…」
バターン
扉が勢いよく開くとディアが息をきらして私とディアーを抱きしめる。
「良かった…無事で……
突然、ディアーが消えたからレイヤに何かあったのかと思って……」
ディアが私をのぞきこむ。
「怪我はない?どこか具合悪くなってはいない?」
私はディアの手を頬にあて微笑む。
「大丈夫、どこも問題はないわ……でも強いて言うなら…」
私は視線を古書へとむける。
ディアも同様に視線を古書へとむけると……
10
あなたにおすすめの小説
私の存在
戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。
何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。
しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。
しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】
藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。
そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。
記憶を抱えたまま、幼い頃に――。
どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、
結末は変わらない。
何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。
それでも私は今日も微笑む。
過去を知るのは、私だけ。
もう一度、大切な人たちと過ごすために。
もう一度、恋をするために。
「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」
十一度目の人生。
これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります
奏音 美都
恋愛
ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。
そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。
それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。
【完結】見えてますよ!
ユユ
恋愛
“何故”
私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。
美少女でもなければ醜くもなく。
優秀でもなければ出来損ないでもなく。
高貴でも無ければ下位貴族でもない。
富豪でなければ貧乏でもない。
中の中。
自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。
唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。
そしてあの言葉が聞こえてくる。
見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。
私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。
ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。
★注意★
・閑話にはR18要素を含みます。
読まなくても大丈夫です。
・作り話です。
・合わない方はご退出願います。
・完結しています。
春告竜と二度目の私
こもろう
恋愛
私はどうなってもいい。だからこの子は助けて――
そう叫びながらも処刑された王太子の元婚約者カサンドル。
目が覚めたら、時が巻き戻っていた。
2021.1.23番外編追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる