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過去へのレクイエム
過去へのレクイエム 後編
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ジッジジジィ…ザァザザザッ…
絵画が乱れ歪んでいく。
チカチカチカ…
ディアーの光が激しく点灯し始める。
「ディアー!!」
私はディアーを抱きしめる。
「ディアー…大丈夫、大丈夫だから…」
私の腕の中、フルフルと震えるディアーがどんどん小さくなっていく。
気がつけば抱えるほど大きかったディアーが私の手のひらに収まる大きさまで萎んでしまった。
「ディアー?」
手のひらの上でユラユラとおどけてみせるディアー。
「どうして、こんなに小さく……」
ディアがディアーを指でなでる。
「多分、私達に本を見せるために聖力を使いすぎたからだろう…」
ディアはあれを見てどう思っただろう。
私が愚かにも騙されて大勢の民の生命を奪った聖女の生まれ変わりだとしたら……
「ディア……」
「レイヤ……」
互いの名を同時に口にする。
「あっ…ディアからどうぞ……」
「レイヤから……」
息を合わせたかのように同時に話し出す。
「レイヤ…笑わないで聞いてくれないか。
あの本の騎士は多分、私の前世だと思う……
私が馬鹿だったから君を死なせてしまった……
本当にごめん。」
頭を下げるディアの肩に手をやると
「私こそ…ごめんなさい。
私がしっかりとしていたら…あんな愚かな決断をしなくてすんだのに…」
ディアが首を横にふる。
「愚かだなんて想わないよ。君は最後まで違う道を模索していたじゃないか…」
ディアーが
キュッキュッ…と鳴く。
まるで私達の謝罪合戦に参加しているみたいだ。
「ティセに入ってから過去の事がどんどん薄れていくの…それなのに自分に覚えのない記憶がよみがえるようになって…」
私の言葉にディアが
「だからかな…」
ディアが私の左手の薬指の指輪を指でなぞる。
「この指輪が私に教えてくれたんだ。
桑の実の思い出や…
過去の愛した人達のことを…
そしてそれよりも遥か昔に私達が一緒の時を過ごしたことがあることを…」
ディアの瞳を見つめる。
「私…怖かったの……
自分の記憶がどんどん薄れてしまって…そのうち私が誰かも思い出せなくなったらどうしようって…そう考えると……」
ディアが私を強く抱きしめる。
「大丈夫…レイヤが忘れても私が覚えているから…」
ディアの温もりが私を包み込む。
「でも…私……」
私の言葉を遮るようディアが
「私はこう思うんだ。
『聖女を解放せよ』
それはレイヤから聖力を失くして、聖女ではなくレイヤとして生きろという意味じゃないのかなって…
前、レイヤが言ったよね。
『好感度をゼロにしないと死ねないって…』
これって本当に好感度だったの?
聖力ではなく?」
えっ?
軽いパニックになる。
何故、私はそう思ったのだろう…
どうして私はそう信じたのだろう…
誰が?
どうして?
何のために?
私の記憶は…
私の感情は…
私の…
私は…
ディアが私の頬に口づける。
「レイヤ…泣かないで…」
ディアの言葉で自分が泣いていることに気がつく。
涙で歪んだ景色の中、机の上の古書だけが、やけにはっきりと瞳に映る。
過去へのレクイエム…
過去への……
絵画が乱れ歪んでいく。
チカチカチカ…
ディアーの光が激しく点灯し始める。
「ディアー!!」
私はディアーを抱きしめる。
「ディアー…大丈夫、大丈夫だから…」
私の腕の中、フルフルと震えるディアーがどんどん小さくなっていく。
気がつけば抱えるほど大きかったディアーが私の手のひらに収まる大きさまで萎んでしまった。
「ディアー?」
手のひらの上でユラユラとおどけてみせるディアー。
「どうして、こんなに小さく……」
ディアがディアーを指でなでる。
「多分、私達に本を見せるために聖力を使いすぎたからだろう…」
ディアはあれを見てどう思っただろう。
私が愚かにも騙されて大勢の民の生命を奪った聖女の生まれ変わりだとしたら……
「ディア……」
「レイヤ……」
互いの名を同時に口にする。
「あっ…ディアからどうぞ……」
「レイヤから……」
息を合わせたかのように同時に話し出す。
「レイヤ…笑わないで聞いてくれないか。
あの本の騎士は多分、私の前世だと思う……
私が馬鹿だったから君を死なせてしまった……
本当にごめん。」
頭を下げるディアの肩に手をやると
「私こそ…ごめんなさい。
私がしっかりとしていたら…あんな愚かな決断をしなくてすんだのに…」
ディアが首を横にふる。
「愚かだなんて想わないよ。君は最後まで違う道を模索していたじゃないか…」
ディアーが
キュッキュッ…と鳴く。
まるで私達の謝罪合戦に参加しているみたいだ。
「ティセに入ってから過去の事がどんどん薄れていくの…それなのに自分に覚えのない記憶がよみがえるようになって…」
私の言葉にディアが
「だからかな…」
ディアが私の左手の薬指の指輪を指でなぞる。
「この指輪が私に教えてくれたんだ。
桑の実の思い出や…
過去の愛した人達のことを…
そしてそれよりも遥か昔に私達が一緒の時を過ごしたことがあることを…」
ディアの瞳を見つめる。
「私…怖かったの……
自分の記憶がどんどん薄れてしまって…そのうち私が誰かも思い出せなくなったらどうしようって…そう考えると……」
ディアが私を強く抱きしめる。
「大丈夫…レイヤが忘れても私が覚えているから…」
ディアの温もりが私を包み込む。
「でも…私……」
私の言葉を遮るようディアが
「私はこう思うんだ。
『聖女を解放せよ』
それはレイヤから聖力を失くして、聖女ではなくレイヤとして生きろという意味じゃないのかなって…
前、レイヤが言ったよね。
『好感度をゼロにしないと死ねないって…』
これって本当に好感度だったの?
聖力ではなく?」
えっ?
軽いパニックになる。
何故、私はそう思ったのだろう…
どうして私はそう信じたのだろう…
誰が?
どうして?
何のために?
私の記憶は…
私の感情は…
私の…
私は…
ディアが私の頬に口づける。
「レイヤ…泣かないで…」
ディアの言葉で自分が泣いていることに気がつく。
涙で歪んだ景色の中、机の上の古書だけが、やけにはっきりと瞳に映る。
過去へのレクイエム…
過去への……
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