好感度0になるまで終われません。

チョコパイ

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作られた聖女

ベクトル違い

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「レイヤ…教会からゴーサインが出たよ。
それと父の計らいで帝国からヒューズが来ることになったよ。」

ディアにとってヒューズは一番の腹心で親友だ。
私にとってのカリアンと同じだろう。

ディアも最近ではカリアンに全幅の信頼を寄せてくれている。

「フレイヤ様、お話があるのですが…」

カリアンが口ごもる。

「何かしら?」

言い出しづらそうにうつむくカリアン。

「あの…ですね……」

言葉が途切れる。
 
・・・・・

静かな時間が流れていく。

部屋のドアが勢い開くと

「あぁ…もうまどろっこしいんだから!!」

エルザがカリアンの背中をバシーンと叩く。

「フレイヤ…私、カリアンと一緒になることにしたわ。でっ帝国に行ってフレイヤの側近になるの。」

母からの手紙を読んだ時は何かの間違いだと思った。

でもエルザの言葉で母の手紙が真実だと知る。

エルザの母と私の母は幼馴染みであり、母がティセに居た頃はエルザの母が側近として公私ともに母を支えてくれたそうだ。

そのエルザの母から、カリアンとエルザの橋渡しを頼まれたそうだ。

まさかエルザがカリアンに想いを寄せていたなんて…知らなかった。

ティセに来てからは二人でよく会っていることは他の従者から聞いていたけど、こうやって目の前の二人を見ると、過去に子供達が恋人を私に紹介してくれた時のような嬉しさと寂しさが胸にこみあげてくる。

「エルザ、カリアン本当におめでとう。」

大好きな二人が一緒になる。
嬉しいはずなのに…
この胸の痛みは何なんだろう。

「レイヤ!!」

扉が激しく開くと息をきらしてディアが入ってくる。

「ディアーの様子が変なんだ。」

さっきまでは何もなかったのに…

私はエルザとカリアンに頭を下げると急いでディアーのもとへとむかった。


「カリアン…あんたね…もうちょっと上手く立ち回ってくれないと、私が帝国にいけないでしょ…」

エルザがカリアンの背中を思いっきり叩く。

黙りこむカリアンにエルザが

「お互い納得したんじゃなかったけ…

私は帝国に自由を求めて、貴方はフレイヤが皇太子妃になっても、専従騎士としてフレイヤの側にいるために…この結婚は必要なんでしょう?

愛はなくてもお互いに尊重できると思ったんだけど…」

エルザはため息をつく。

フレイヤがティセに来ることが決まって数日たった頃、両親の話を偶然聞いてしまったのだ。

「キャサリンもフレイヤも社交の場に出たことがないのよ。
大丈夫かしら?
社交の場は女の戦場よ…
フレイヤはやっていけるのかしら……」

母の言葉の意味が痛いほどわかる。
社交の場はまさに女の戦場だ。

皆が虎視眈々と相手の弱みを握りその場を掌握しようとする。

真っ直ぐなフレイヤに女の戦いかたは不向きだ。

フレイヤの盾になり、両親からの婚姻のプレッシャーから逃れる為には…

考えに考えた結果、思いついたのがカリアンとの婚姻だった。

「それで本当にいいのですか?」

カリアンが私を見つめる。

「いい?フレイやは今まで社交の場に出たことがないから女の園の怖さを知らないの…

私は帝国貴族じゃないからフレイヤを助けたくても出来ないの!!

それに貴方は男だから社交の場についていけないし、フレイヤが皇太子妃になったら既婚者しか専従騎士になれないのよ。

お互いにとって最高の条件じゃないの?」

カリアンが大きく息をはくと

「エルザ様の幸せはそこにあるのですか?」

??? 

「私の幸せ?」

考えたこともなかった。
婚約破棄されてから愛されることはないと思っていた。

ならば一番大好きなフレイヤの為に生きていければ…そう思っていたからだ。

違う、強いて言うならフレイヤと帝国で過ごした時間が一番楽しかったのだ。

「私…フレイヤが好きなの……」

あっ…言葉にするととても安易で安っぽい感情。

でも…私はフレイヤが好きなのだ。

「カリアン…あなたも……でしょう?」

想いのベクトルは違っても、この想いは本物だから…

カリアンは小さくうなずく。

だからきっとこの決断は間違いではないはずだ。

互いに見つめあったまま互いの手を力強く握りあった。
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