好感度0になるまで終われません。

チョコパイ

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生奪

Distant eyes

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また同じ夢だわ…
これが夢だとわかるくらい何度も見続けている夢。

“レイヤ…愛してる。
今度は幸せになって”

今にも消え入りそうな声が耳元をかすめる。

貴方は誰?
切なくて胸が苦しくなる。

幼い頃から繰り返し何度も見る夢。

誰かの腕の中、耳元で囁かれる別れの言葉。

自分には全く身に覚えのない夢の中の情景。

目覚めると枕がいつもぐっしょりと濡れている。

夢の中の私にとってあの声の持ち主は大切な人だったのだろう…

父を見送った後だからか、それとも初出勤だからか、気持ちが高ぶって夢の中の男性の声がいつもよりリアルに感じた。

起きるには少し早い時刻…
胸がざわついて眠ろうにも眠れない…

こんな時は……

私は寝間着を脱ぎ捨てて練習着に着替える。

物心つく頃には父に剣を握らされていた。

「自分の身は自分で守れるようにしておかないと…私がいつも側にいてあげられるわけではないから…」

傭兵を生業としている父は娘の私に生きるための術を教えてくれた。

もちろん剣だけではなく、弓や乗馬、火のおこし方や食べられる草やキノコまで、生き残るための方法を幼い頃から叩き込まれた。

木刀を手に庭に出る。

振り下ろす度に剣はまだ明けきらぬ薄闇の空気を切り裂く。

シュッ…
シュッ…

ざわついていた気持ちがスゥッーと静まっていく。

白けていく空を見上げて父を想った。

私のたった一人の家族。
物静かで穏やかな春の日差しのような父。

そんな父が傭兵をしなくてはならない現実、
母親の形見の指輪を指でなぞる。

父は出兵前に必ず指輪に祈りをささげる。
自分の留守中に私が無事であるようにと…

だからいつしか私も父と同じように指輪に祈りを捧げるようになっていた。

「どうか神の御加護があらんことを…」



レイヤ…

髪を一つに束ね剣を振り下ろすレイヤの姿を見つめる。

ホーリーの言葉通り、私には巻き戻る前までのレイヤとの時がなに一つ欠けることなく心に焼きついている。

レイヤと愛しあった日々…

レイヤを失った日々…

繰り返される出会いと別れの全てを鮮明に覚えているのだ。

レイヤと出会う前に巻き戻った今…
ここでレイヤと出会わなければ…

あの悲劇は始まらない。

そのためにこの場所に戻ってきたのだから…

私と出会わなければ、
レイヤは悲しい想いをすることはない。

私の事を知らないレイヤ。

私一人が我慢すればいいことだ。

だから……会わなければいい…

ただそれだけなのに…
気がつけばレイヤを探してしまう。

何処にいるのか知りたくなる。

居場所がわかれば元気で暮らしているのか確かめたくなる。

遠くから見つめるだけ…レイヤが元気で暮らしているか、遠くで見守るだけ…

それだけでいい。

太陽の陽射しがレイヤを明るく照らし出す。
 
「レイヤ……」

思わず声をかけたくなる。

「殿下、そろそろ…」

ホーリーが私の背を叩く。

「あぁ…わかった。」

瞳からあふれでる涙をこらえてレイヤの姿を脳裏に焼きつける。

「レイヤ…愛してる。
今度は幸せに…」

ホーリーが魔方陣を描く…

レイヤがこちらを振り向く。

!!!

ほんの一瞬だけレイヤと目があった気がした。
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