好感度0になるまで終われません。

チョコパイ

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生奪

生奪~前編~

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最近、殿下の様子がおかしい。

もともと自分の感情を表に出すタイプではなかった。

それでも五歳の頃から側近見習い兼遊び相手として殿下の近くに居た。

幼い頃はただ殿下の友達になりたかった。

年月が流れ、気がつけば幼かった殿下が美しい少年になった頃、殿下に対する想いが友情ではなく恋だと知った。

わかっている。
この想いは間違えていると…

殿下には婚約者がいて私とは身分も違う。

でも想うくらいなら…
好きでいるくらいなら…

殿下への想いをのみ込みながら殿下の一番の腹心として側に居た。

「ホーリー、一つお願いがあるのだけれど…」

そう言って殿下はネックチェーンを外すとペアーになっているリングの小さな方を私に渡す。

「ここ指輪の持ち主を探して欲しいんだ。
多分、西の国境近くの町にいると思うんだが…」

指輪から独特のマナと聖力が感じることが出来る。

どこか殿下と似たマナと聖力…

「殿下…これはいったい……」

殿下は深々と頭を下げる。

「お願いだ。
今は何も言わずに探して欲しいんだ……
頼む。」

殿下の温もりが、まだ残った指輪を軽く握りしめる。

「承知しました。」

指輪の主を見つけるのは簡単だった。

殿下の言っていた通り、西の国境近くの町で才色兼備で既に有名だったからだ。

傭兵の父親と二人暮らしのその少女は殿下と似たマナと聖力を持っていた。

何より目をひいたのは彼女の右手の薬指にはめられたリボーン王国の王印。

ここ十数年間続いた後継者争いの内戦がようやく第一王子の勝利で終わったと聞いた。

「まさか…そんなわけないわよね。」

私はあえて指輪の話を殿下にはしなかった。

あの日、殿下は黙って少女を見つめていた。

殿下の少女を見つめる瞳は優しくて甘くて切なくて…まるで宝物を慈しむようで見ているこちらまで切なく狂おしくなる。

殿下だけを見つめていたからわかる。

殿下は間違いなく少女を愛している。

あぁ…少女のためだったんだ。

婚約者の王女の元に使いとして頻繁に公爵家の次男を派遣したのは…

気がつけば王女は一度も会いにこない殿下より、年に数回も会いに来てくれる方を好きになる。

婚約解消が決まった時、殿下は言った。

『これで一つ解決した。』と…


殿下は少女を娶るつもりなのか…
胸が苦しくなる。

あの指輪がもし本物なら…二人は結ばれてしまう。

でも…私が黙っていれば……

結ばれることはない。

大粒の涙をこぼしながら少女を見つめる殿下の背中をたたく。

いつの日にか殿下に気持ちが届くと信じて…

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