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チョコパイ

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生奪

生奪~中編~

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「殿下!!殿下!!」

少女の様子を見に行ってから殿下はまるで廃人のようになってしまった。

「すまない。
考え事をしていて…もう一度、話してくれないかい?」

私はこんな姿の殿下を見たかったのだろうか?

声を押し殺し泣く殿下はまるで生きることを諦めているようだった。

このままでは…殿下が壊れてしまう。

帝国の魔法師の異名を持つディッヒ家の地下には禁忌魔法の書が納められている。

あの少女の記憶さえ消してしまえば殿下は元に戻るはずだ。

これは殿下のため…
私欲ではない。

自分に言い聞かせながら地下への階段を下りていく。

魔方陣で囲まれた禁忌書の部屋の扉に手をかけた時

頭の中に景色が流れ込んできた。


“よりによってあの平民女と駆け落ちするなんて…”

いえ、違う…少女の指輪、あれは間違いなくリボーン王国の王印だった。

内戦が終わった王国が現王の一人娘であるフレイヤ姫に王印を託し騎士団長と共に帝国へ逃がしたのは十五年前のことだ。

殿下が西の町に視察に行った時、視察先の平民学校の教師として働いていた少女に殿下が一目惚れしたのがことの始まりだった。

まさか殿下が身分を偽って少女と付き合うなんて思いもしなかった。

少なくとも腹心の私には打ち明けてくれると信じていた。

捜索魔法でも探知魔法でも殿下の居場所を見つけることはできなかった。

このままでは殿下が居なくなったことが世間にバレてしまう。

そうなれば殿下の築き上げてきた地位や名誉に傷ができてしまう。

婚約だって破棄しなくてはいけなくなる。

そうなったら帝国の信用問題にかかわるかもしれない。

そう私が今からやることは殿下のため、何より帝国のため…

帝国が長い間、他国の脅威にさらされずにきたのは各地にある生奪のおかげだ。

ディッヒ家の祖先である偉大なる魔術師が作った兵器。

生奪は人の心に作用し禍や厄災をもたらす。

帝国は生奪を各地に祀った。

生奪を管理するために魔法師を神官と偽りその地に住まわせ、帝国を脅かすような事が起きれば容赦なく生奪を使い排除してきた。

生奪は起動させると周囲のマナを探知することができる。

殿下のマナはよく知っている。

感知できれば殿下の居場所がわかる。
そう信じていた。

殿下を見つけられないまま十数年の年月が流れた。

数年前にマナの強い男性と政略結婚し二人の子供に恵まれた。

愛のない結婚…
なれてしまえば、どうにでもなると思っていた。

でも時折、胸をかきむしりたくなる程の虚無感に襲われる。

殿下…
今も昔も私に生を与えられるのは殿下だけだった。

そんな時、殿下から便りが届く。

愛する妻を助けて欲しいと…
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