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浮光
指輪
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これは……
記憶の片隅にもなかった場面が頭の中を流れては消えていく。
「ディア……」
自然と口に出る名前。
左手の薬指が突然光だす。
小さな男の子が宝石に呪文を唱えながら自らの指をナイフで切りつける。
赤い血が宝石に吸いこまれていく。
小さな男の子はやがて美しい少年へと成長する。
そして
「レイヤ…
一目惚れだったんだ。
話すようになってからはレイヤの内面も好きになった。
だから…無理強いはしない。ちゃんと私のことを知ってもらって…好きになってもらいたい。
フレイヤらしく私の側にいて欲しいんだ。
違う…側じゃなくてもいい…私が側に行けばいいのだから…つまり…その…私はフレイヤ・ティセ・ノーマンを愛している。」
ディア…左手の薬指にはめられた指輪。
なんで忘れることが出来たんだろう…
こんなにも私を愛してくれた人。
ルディア・オーグランド。
帝国の皇太子で私の婚約者……
今でもない、過去でもない未来の私……
???
未来の私?
私の未来?
どこまでが現実で、どこからが偽りなのかわからなくなる。
ただ一つわかることは、この胸の高鳴りと左手の薬指に感じる温もりと輝きだけ…
「王女様…フレイヤ王女……」
ハルモニア公爵が心配そうに私を見つめる。
霧がはれるように頭の中がクリアーになる。
「ごめんなさい。
少し立ちくらみがしたみたい。」
ハルモニア公爵の手をとると
「さぁ…気を取り直して皇帝陛下にご挨拶してこないと…売れる媚びは売ったもん勝ちなんですよ。」
私の言葉にハルモニア公爵の顔がゆるんだ。
貴賓室に入るとズキズキと左手の薬指に痛みが走る。
違和感を感じながらも皇帝陛下に挨拶をする。
「帝国の太陽にフレイヤ・リボーンがご挨拶致します。」
穏やかで優しい声で
「頭を上げよ。
王女、内戦で荒れ果てた王国をたった一年でここまで建て直した手腕はなかなかのものだ。
王女でなかったら帝国にスカウトしたいくらいだ。」
ズキン…胸が苦しくなる。
皇帝陛下の顔が何故かさっき見たディアの顔とどこか似ていたから...
「お褒めいただき、本当に感謝します。」
深々と頭を下げる。
パチン
皇帝が指を鳴らすと従者が私の目の前に小さな宝石箱を差し出す。
「私の息子が亡くなった時に、腹心に託したらしい…王女に渡して欲しいと…
本来なら息子が直接渡したかったのだろうが…
良かったらもらってはくれないだろうか?」
宝石箱を手に取る。
私はきっとその中身を知っている。
鼓動が激しくなる。
息が苦しくなる。
頬に温かなしずくがつたい落ちる。
震える手で宝石箱を開けると頭の中で見た指輪が光輝いていた。
「ディア……」
足元の絨毯に涙の跡が染み込んでいった。
記憶の片隅にもなかった場面が頭の中を流れては消えていく。
「ディア……」
自然と口に出る名前。
左手の薬指が突然光だす。
小さな男の子が宝石に呪文を唱えながら自らの指をナイフで切りつける。
赤い血が宝石に吸いこまれていく。
小さな男の子はやがて美しい少年へと成長する。
そして
「レイヤ…
一目惚れだったんだ。
話すようになってからはレイヤの内面も好きになった。
だから…無理強いはしない。ちゃんと私のことを知ってもらって…好きになってもらいたい。
フレイヤらしく私の側にいて欲しいんだ。
違う…側じゃなくてもいい…私が側に行けばいいのだから…つまり…その…私はフレイヤ・ティセ・ノーマンを愛している。」
ディア…左手の薬指にはめられた指輪。
なんで忘れることが出来たんだろう…
こんなにも私を愛してくれた人。
ルディア・オーグランド。
帝国の皇太子で私の婚約者……
今でもない、過去でもない未来の私……
???
未来の私?
私の未来?
どこまでが現実で、どこからが偽りなのかわからなくなる。
ただ一つわかることは、この胸の高鳴りと左手の薬指に感じる温もりと輝きだけ…
「王女様…フレイヤ王女……」
ハルモニア公爵が心配そうに私を見つめる。
霧がはれるように頭の中がクリアーになる。
「ごめんなさい。
少し立ちくらみがしたみたい。」
ハルモニア公爵の手をとると
「さぁ…気を取り直して皇帝陛下にご挨拶してこないと…売れる媚びは売ったもん勝ちなんですよ。」
私の言葉にハルモニア公爵の顔がゆるんだ。
貴賓室に入るとズキズキと左手の薬指に痛みが走る。
違和感を感じながらも皇帝陛下に挨拶をする。
「帝国の太陽にフレイヤ・リボーンがご挨拶致します。」
穏やかで優しい声で
「頭を上げよ。
王女、内戦で荒れ果てた王国をたった一年でここまで建て直した手腕はなかなかのものだ。
王女でなかったら帝国にスカウトしたいくらいだ。」
ズキン…胸が苦しくなる。
皇帝陛下の顔が何故かさっき見たディアの顔とどこか似ていたから...
「お褒めいただき、本当に感謝します。」
深々と頭を下げる。
パチン
皇帝が指を鳴らすと従者が私の目の前に小さな宝石箱を差し出す。
「私の息子が亡くなった時に、腹心に託したらしい…王女に渡して欲しいと…
本来なら息子が直接渡したかったのだろうが…
良かったらもらってはくれないだろうか?」
宝石箱を手に取る。
私はきっとその中身を知っている。
鼓動が激しくなる。
息が苦しくなる。
頬に温かなしずくがつたい落ちる。
震える手で宝石箱を開けると頭の中で見た指輪が光輝いていた。
「ディア……」
足元の絨毯に涙の跡が染み込んでいった。
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