好感度0になるまで終われません。

チョコパイ

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Kaleidoscope

Antenna shop

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「女王様自ら接客もするんですか?」

ナタリーが呆れ顔で私の髪を編み上げる。

接客は言わば店の宣伝マンだ。

化粧とチャイナドレスを売るためには購買意欲を高める必要がある。

ブロンドの髪をチャイナドレスと同じ生地で作ったリボンと一緒にゆるい三つ編みを作りサイドに流す。

上質なシルクと美しい刺繍をあしらったチャイナドレスは完全オーダーメードで売り出す。

これが上手く行けばかなりの民が仕事にありつける。

内戦の傷跡は深く、任命式から一年経った今でもその日暮らしを余儀なくされる民がまだまだ王国にはいる。

今回の帝国への訪問は国にとって重要な意味を持つのだ。

従業員に化粧品とチャイナドレスの説明をしていく。

従業員用に作らせたチャイナドレスはスリットが浅く刺繍もないシンプルなものだ。

だからこそオーダーメード用に作らせたカタログの説明が重要になる。

スリットの深さや刺繍の柄や大きさ、配置によってチャイナドレスはガラリと印象を変える。

スキンケアーの使い方、化粧の仕方と教えていきながら開店前の時間をフルに使って従業員全員に教える。

「覚えていて下さい。
貴女方一人一人が王国の宣伝マンだと言うことを…」

王国で育った彼女達は戦争で家族を亡くした者もいる。

初めは私の事を嫌う人もいた。
でも今では…

「フレイヤ様みたいな深いスリットのチャイナドレスも着てみたいんですが…」

「袖の変わりに同じ生地で作ったロンググローブで腕を隠すのも可愛いと思うのですが…」

「貴族の方むけにクリームの大容量を作れば顔や首だけではなく手足にも使いやすくなると思います。」

積極的に意見を言い合い、王国のために共に戦ってくれる戦友みたいになってくれた。

ナタリーが嬉しそうに

「女王にとって彼女達は大切な仲間なんですね。
お茶会やパーティーが好きじゃないので、お友達が出来ないんじゃないかと心配してました。」

母の専従侍女もしていたナタリーにとって私はきっと娘みたいなものなのだろう。

「ナタリー、明日からは大変なんだから今日はゆっくり休んでちょうだいね。」

そう言ったにもかかわらずナタリーは会計やお茶の支度を率先して手伝ってくれた。

「フレイヤ様の言いつけ通りビラを貼っておいたから、いつもよりお客様が沢山、いらっしゃいます。」

捌ききれない客は隣接された王国のフードやお茶を楽しめるサロンへと通す。

アンテナショップ待ちのお客様はドリンクが半額になり焼き菓子を一つプレゼントするサービスを提供している。

「サロンも八割埋まっています。
本当にフレイヤ様の商品はすごいですね。」

従業員の一人が嬉しそうに話す。

接客は半年ぶりだ。
アンテナショップを作った日、お忍びで手伝いに来たことがある。

あの時はお客様が来なくて不安だったっけ…

『平民用のシンプルな香りつきの石鹸を販売してみたら…』

そう意見してくれた従業員のお陰で今では帝国一の人気店と言われるまでになった。

客足が落ちないまま、閉店間際まできた。

「すいません。
こちらの香油なんですが…」

後ろから声をかけられ振り返る。

ブロンドの美しい男性が香油を手に私を見つめたまま固まっている。

ズキン…
一瞬だけ胸が苦しくなった。
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