125 / 144
Kaleidoscope
BFF
しおりを挟む
「お待たせしました。」
夕焼けが街をオレンジ色に染める頃、彼女が個室のドア越しから声をかける。
興味本位だった。
父が褒める同じ歳の女王。
任命式で一度しか会った事のない女王を息子の嫁に欲しかったと言わせるほどの才女。
そんな女王が経済活動の一つとして始めたのが、各国に王国の名産品を売るアンテナショップを作ることだった。
リボーン産の石鹸や香油は品質が高く、平民向けの商品もあるので様々な層からも人気があり、今では帝国一の店とまで言われるようになった。
まさかここで女王と会えるなんて…
父が言っていた言葉を思い出す。
後継者問題で内戦が激化する中、生まれた女王は生まれてすぐに騎士団長である王妃の兄と共に身を隠した。
騎士団長自ら、女王に剣を叩き込み、弓、乗馬、料理等…生きる術を叩き込んだとされている。
だからすぐ私の護衛がわかったのだろう。
護衛が扉を開けるとトレーを手にレイヤ、否
フレイヤ女王が部屋へと入ってくる。
「改めてご挨拶させていただきます。
フレイヤ・リボーンです。
本日はリボーン王国のアンテナショップまで足を伸ばして頂いて有り難うございました。
それでは作っていきましょうか?
ルディア殿下。」
幼い子供のように笑うフレイヤに目を奪われる。
「お恥ずかしい話なんですが…私の香りの正体は香油ではなくて…
石鹸なんです。」
ポリポリと頬を掻きながら…
「私の髪は天然パーマなんです。
だから香油をつけると侍女が張り切ってストレートにしようとブラッシングするんです。
貧乏性なので、じっとしているのが性に合わなくて…」
笑いながら小瓶に入った香油を調合していく。
短く切られた爪、すらりとした長い指は小さな傷跡が幾つも残り、私の知っている令嬢とは全く違う。
傷だらけのその指ですら美しいと感じるなんて…
私はどうかしてしまったのだろう…
「父が褒めていました。
リボーン王国は女王がいる限り安泰だろうと…」
フレイヤは目を輝かせる。
「陛下が褒めてくださったんですか?
なんか嬉しいな…
殿下、出来たら女王呼びではなく名前で呼んでもらえませんか?
居心地が悪いと言うか…むず痒くて…」
気がつけば私は女王をレイヤと呼び、レイヤは私をディアと呼び合っていた。
政治の話、剣の話、本や乗馬、音楽まで…怖いくらい私達の好みや思想は似ていた。
「そろそろ…」
互いの従者に声をかけられるまで時が経つのを忘れて語り合った。
「私の好きなライラックをベースにディアが選んだオークと合わせてみたの。」
渡された瓶には水色の紙が貼ってあって、そこには“BFF”と書いてあった。
「BFF?」
私の問いにレイヤは微笑みながら
「Best Friend Foreverの略よ。
ずっと友達ていう意味なんだけど…」
胸が苦しくなった。
「ずっと友達…か……」
わかっていたはずなのに…
言葉にすると苦しくて泣きたくなる。
「ではまた…祭典で…」
レイヤが微笑む。
「あぁ…また明日……」
帰りの馬車の中、理由もなく涙がこぼれ落ちた。
ずっと友達……
友達……
レイヤの事しか考えられなくなっていく自分が惨めで愚かで…
また泣けてきた……
夕焼けが街をオレンジ色に染める頃、彼女が個室のドア越しから声をかける。
興味本位だった。
父が褒める同じ歳の女王。
任命式で一度しか会った事のない女王を息子の嫁に欲しかったと言わせるほどの才女。
そんな女王が経済活動の一つとして始めたのが、各国に王国の名産品を売るアンテナショップを作ることだった。
リボーン産の石鹸や香油は品質が高く、平民向けの商品もあるので様々な層からも人気があり、今では帝国一の店とまで言われるようになった。
まさかここで女王と会えるなんて…
父が言っていた言葉を思い出す。
後継者問題で内戦が激化する中、生まれた女王は生まれてすぐに騎士団長である王妃の兄と共に身を隠した。
騎士団長自ら、女王に剣を叩き込み、弓、乗馬、料理等…生きる術を叩き込んだとされている。
だからすぐ私の護衛がわかったのだろう。
護衛が扉を開けるとトレーを手にレイヤ、否
フレイヤ女王が部屋へと入ってくる。
「改めてご挨拶させていただきます。
フレイヤ・リボーンです。
本日はリボーン王国のアンテナショップまで足を伸ばして頂いて有り難うございました。
それでは作っていきましょうか?
ルディア殿下。」
幼い子供のように笑うフレイヤに目を奪われる。
「お恥ずかしい話なんですが…私の香りの正体は香油ではなくて…
石鹸なんです。」
ポリポリと頬を掻きながら…
「私の髪は天然パーマなんです。
だから香油をつけると侍女が張り切ってストレートにしようとブラッシングするんです。
貧乏性なので、じっとしているのが性に合わなくて…」
笑いながら小瓶に入った香油を調合していく。
短く切られた爪、すらりとした長い指は小さな傷跡が幾つも残り、私の知っている令嬢とは全く違う。
傷だらけのその指ですら美しいと感じるなんて…
私はどうかしてしまったのだろう…
「父が褒めていました。
リボーン王国は女王がいる限り安泰だろうと…」
フレイヤは目を輝かせる。
「陛下が褒めてくださったんですか?
なんか嬉しいな…
殿下、出来たら女王呼びではなく名前で呼んでもらえませんか?
居心地が悪いと言うか…むず痒くて…」
気がつけば私は女王をレイヤと呼び、レイヤは私をディアと呼び合っていた。
政治の話、剣の話、本や乗馬、音楽まで…怖いくらい私達の好みや思想は似ていた。
「そろそろ…」
互いの従者に声をかけられるまで時が経つのを忘れて語り合った。
「私の好きなライラックをベースにディアが選んだオークと合わせてみたの。」
渡された瓶には水色の紙が貼ってあって、そこには“BFF”と書いてあった。
「BFF?」
私の問いにレイヤは微笑みながら
「Best Friend Foreverの略よ。
ずっと友達ていう意味なんだけど…」
胸が苦しくなった。
「ずっと友達…か……」
わかっていたはずなのに…
言葉にすると苦しくて泣きたくなる。
「ではまた…祭典で…」
レイヤが微笑む。
「あぁ…また明日……」
帰りの馬車の中、理由もなく涙がこぼれ落ちた。
ずっと友達……
友達……
レイヤの事しか考えられなくなっていく自分が惨めで愚かで…
また泣けてきた……
10
あなたにおすすめの小説
五周目の王女様
輝
恋愛
「私、今度はどうやって殺されるの?」
バザロス国へ嫁ぐことになった王女ジゼルは、数度の死に戻りの記憶を持っていた。 1度目は毒殺、2度目は即死、3度目は逃亡先での裏切り。どう足掻いても結婚初夜を越えられず死に戻る運命に私の心はクタクタだった。
今世の夫も「冷酷皇帝」と恐れられる皇帝レオポルド。
実は彼もまた孤独に戦い、ループする人生から脱出を図ろうする一人。
夫婦がようやく絡まりだす4度目の死に戻り。
どうやら今世は他に女がいる皇帝は全く私に見向きもしない……と思っていたら、誰にも見つからずに私に会いに来るんですが?
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
私たちの離婚幸福論
桔梗
恋愛
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
転生してもオタクはなおりません。
しゃもん
恋愛
活字中毒者である山田花子は不幸なことに前世とは違いあまり裕福ではない母子家庭の子供に生まれた。お陰で前世とは違い本は彼女の家庭では贅沢品でありとてもホイホイと買えるようなものではなかった。とは言え、読みたいものは読みたいのだ。なんとか前世の知識を魔法に使って少ないお金を浮かしては本を買っていたがそれでも限界があった。溢れるほどの本に囲まれたい。そんな願望を抱いている時に、信じられないことに彼女の母が死んだと知らせが入り、いきなり自分の前に大金持ちの異母兄と実父が現れた。これ幸いに彼等に本が溢れていそうな学校に入れてもらうことになったのだがそこからが大変だった。モブな花子が自分の願望を叶えて、無事幸せを握り締めるまでの物語です。
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
前世と今世の幸せ
夕香里
恋愛
【商業化予定のため、時期未定ですが引き下げ予定があります。詳しくは近況ボードをご確認ください】
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。
しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。
皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。
そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。
この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。
「今世は幸せになりたい」と
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる